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異世界転移なんてありふれている  作者: たかしゅー
ラントヴァッサ王国
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追憶の迷宮4

 今日からダンジョンへ挑戦だ。そして気分はどんよりとしている。


「全く勝てなかった…」


「ははは…」


 気分が沈んでいる原因にダンジョンは関係なく、昨夜ずっとやっていたゲームが原因だ。

 勝率1割も無かった。


「おはようございます」


 昨夜のリザルトを思い出して唸っているとエレナさんが来たようだ。


「おはよう」


「おはようございます」


 振り向いた先にはブレザーにスカートという、ある意味お馴染みの服装をしたエレナさんがいた。唯一、コートの代わりにローブという部分が日本の学生と違うのだが。


「見たところマサキさんが惨敗した様子」


「そうですね、でも次は負けません…」


 それを聞いたエレナさんとユキトがヒソヒソと、それでいて俺に聞こえる声で「ギャンブルで借金を作りそうな発言ですね」「そうだな…」なんていう会話をしている。


「き、聞こえてますよ?」


「聞かせているのだ。マサキ、ギャンブルだけはしないように」


 何故か注意を頂いた。

 何故だ…


「では行こうか」


「はい」


 何故だとまた唸りそうになりつつ宿を出る。そして買い出しは昨日の時点で終わっているので寄り道せずに大神殿へと向かう。

 道中には屋台などもあり、食欲を刺激される。

 朝御飯はしっかりと食べているので、食べ過ぎて動けないなんてことがないように今回は我慢だ。

 美味しそうな臭いの誘惑を我慢しながら歩いていると円形の広場に出た。その広場はこのルーデンドルフの街の正門と大神殿を繋ぐ大通りの途中にあり、店などもあるためとても賑わっていた。


「…」


「どうした?」


 賑わう広場の奥に佇む大神殿。

 行き交う人々や店の前で客を呼び込んでいる人たちの活気の良さ。

 そんな風景に圧倒される。


「いや、何でもない」


「見えている通り、この道を真っ直ぐ行けば大神殿だ」


 さあ、いよいよダンジョンだ。ダンジョンに対する興味や怖さというのは7対3くらいで興味が勝っている。


「ああ」


「まだもう少し歩くが―――心の準備は大丈夫か?」


 マンガやアニメの主人公のような大冒険はできないだろう。というか神様に「できるよ? やる?」と聞かれても全力でお断りだ。


「大丈夫だ…と思う」


「マサキにとっては初めてのダンジョンだ。そして戦闘経験も無いに等しい」


 ユキトとエレナさんは何度もダンジョンに挑んでいるのだろう。全然緊張しているように見えない。


「だな」


「―――怖いか?」


 争い事など精々友達と口論するくらいだったのだ。興味の方が勝っているというだけで怖いとも思っている。


「そりゃぁもちろん」


「今ならまだ引き返せるが?」


 引き返したいと言ったら引き返してくれるだろう。だが残念ながらその先の未来は見えない、見る気もない。


「さっさと行こうぜ」


「そうか」


 何とまぁ優しいご主人様だ。目付きは鋭く、第一印象は『怖そうな人』だったが全然怖くない。

 ユキトが「そうか」と言ったきり無言で歩く。

 歩いていると階段が見えてきた。大通りの終着点、ダンジョンの入り口、大神殿だ。

 階段の前まで行くと一度立ち止まり、大神殿を見上げる。大神殿にはどうやら扉は無いようで、冒険者が出たり入ったりしているのが見えた。


「ようこそマサキさん。ここがラントヴァッサ唯一の超巨大ダンジョン『追憶の迷宮』です」


---


 大神殿の中にはギルドのカウンターや食堂があった。他にも道具屋や救護所のような所もある。奥には騎士団の詰所もあるらしい。

 そして大神殿の中央には地下へと続く階段があった。


「あの地下へと続く階段がダンジョンの入り口だ」


 階段付近のスペースがダンジョンに挑む人たちの準備スペースになっているようで、そこで準備を整える。といっても俺はあまり準備するようなことがないのだが。

 エレナさんは拡張鞄から杖を取り出していた。タクトのような短いタイプの杖ではなく、先端に丸い水晶のようなものが付いているのが特徴だろうか。

 ユキトとエレナさん、ついでに俺の準備が終わると階段を降りていく。降りていくと部屋があり、その中央には大きな水晶のようなものが宙に浮いていた。エレナさんの杖に付いている物と似ているが大きさはこちらの方が圧倒的に大きい。


「何だこれ…」


「転移結晶です。マサキさん、これに触れてみてください」


「お、おう…」


 恐る恐る転移結晶に触れると少し魔力が抜き取られたような気がした。


「他のフロアや部屋にも転移結晶が存在します。そうやって触れておくことで、触れたことのある転移結晶の近くへ転移できる魔法具、のようなものです」


 要するにセーブポイントか。


「さて、向こうの階段をもう少し降りていけば追憶の迷宮1階だ」


 そう言ったユキトにつられて降りてきた階段とは反対側の方へ目を向ける。そこには下へと続く階段があった。

 他にこの部屋でやることはなく、そのまま下へと続く階段を下っていく。

 そしてたどり着いた場所は薄暗い洞窟だった。

ようやくダンジョンにたどり着きましたっ…


読んでくださった方に感謝。

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