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7話 ダンジョン―1階層 その1

 ダンジョンの攻略に向け、腰に万能ナイフを付け、【疾風の剣】を背中に担ぐ。


「トーヤさん、出発前にお話しがあります。私はS級の魔術師です。今まで黙っててごめんなさい。今回のダンジョンはトーヤさんがメインに戦ってもらいます。万が一はサポート致します」


 それからミイはダンジョンの事をいろいろ教えてくれた。

 ・ダンジョンはまだ解明されていない事が多く、 

 魔獣がどこから湧くのかわからない。

 ・ダンジョンの中は明るく、低層階は洞窟になっ 

 ているが中層、深層は湿地帯や砂漠、草原とな 

 っている。

 ・魔獣は低層は弱く、深層は強いが稀に低層にも 

 強い魔獣が現れる。そのままダンジョンを出て

 町を襲撃する場合があり、ギルドが討伐を依頼  

 している。

 ・ダンジョン中の魔獣を管理する為、有名なクラ  

 ンはギルドから依頼を受け定期的に魔獣を減ら 

 している。


「今日は一層だけなので難しくはないと思いますので、楽に行きましょう」


「わかった。ありがとう、ところで今日のミイの服装は魔法使いだね」


「はい、魔術師ですので(笑)、似合ってますか?」


「うん、とっても似合ってるよ」


「ふふっ、ありがとうございます。では行きましょう」


 町を出て【岬の迷宮】まで歩く。途中、山の上に廃墟の様な城が見えた。

 ダンジョンの入口までやって来た。入口は大きく、探索者達が出入りしている。


「ギルドから低層階の地図を貰ってあります」


「へぇ、地図があるんだ」


「はい、大手クランは地図を作りながら探索してギルドに売っているのです。低層階ならギルドからただで貰えますよ」


 ダンジョンを進むと探索者のパーティーがゴブリンと戦っいた。邪魔をしないように戦い方を見る。


(なるほど、剣の使い方はああするといいのか)


 更にダンジョンを進むと、


「トーヤさん、ゴブリンが前方から来ます。3体です。3体1では分が悪いので後方のゴブリンは私が魔法で倒します」


「わかった」


 俺は剣を抜き構える。ミイは何時でも魔法が使える様に集中して構えている。

 ゴブリンがこちらを見つけると濁った赤い目をギラつかせて襲ってきた。ゴブリンは剣使いが一体、残り二体は弓使いの編成だ。後方のゴブリン二体が俺に向けて弓の弦を引き絞ろうとしたその瞬間―。


――ボン!! ボンッ!! 


 ゴブリン頭上に鮮烈な赤の魔法陣が現れ、巨大な炎の塊が怒涛の勢いで落とされ、二体のゴブリンをあっという間に包み込む。悲鳴をあげる隙すら与えず、弓使いのゴブリンたちは一瞬で丸焦げの炭塊へと変わり果てた。


(あれが魔法か、凄い破壊力だ)


 目の前には先頭のゴブリンが剣を振りかざして迫っていた。

(焦るな……さっきダンジョンで見かけた先輩パーティーの凄腕剣士の動きを思い出すんだ……!)


 俺は視界を鋭く狭め、ゴブリンが力任せに振り下ろしてきた鈍い鉄くずのような剣を、身を捻ってギリギリで回避する。空を切って態勢を崩したゴブリンの懐へ一歩踏み込み、鋭い一閃をその胸元へ叩き込んだ!


 ズバーーーン!!


 心地よい手応えとともに、鮮やかな軌跡を描いて剣が通り抜ける。ゴブリンの体は斜めに真っ二つに切り裂かれ、断末魔もなく黒い煙となって消滅した。そして地面には、ポツンと小さな石ころのようなものが残された。


「ふぅ、流石【疾風の剣】斬れ味がいいね。ミイも援護ありがとう」


「どういたしまして。これがパーティーの連携です。(疾風の剣の性能に助けられたとはいえ、初めての戦いでゴブリンを真っ二つにするなんて。実戦経験のほとんどない人が一撃でゴブリンを真っ二つにするなんて……。やっぱりトーヤさんの持つ『器用さ』のスキルが、体捌きや剣技の精度にまで強烈に作用しているんですね……)」


「魔法初めて見た!魔法は手から出る訳ではないんだね」


「はい、基本は魔力で構築した魔法陣をから出ます。遠隔での出し方は経験が必要です。最初は手の前に魔法陣を出してそこから魔法が出るイメージで行うとよいでしょう」


 剣を鞘に収め、手を前に出し、頭の中で激しく燃え盛る炎のイメージを強く思い描き、集中力を高めていく。

 すると、手の平の前の空間に微かな光が集まり赤い魔法陣が現れる


「えい!」


ぽすっ……。


 気合とともに手応えを期待して叫んでみたが、魔法陣からは頼りない煙と、煙草の火ほどの小さな火の粉がふっと漏れ出ただけで、そのまま不発に終わって床へ落ちて消えた。

 

「はは、上手くいかないや」


「いきなりは無理ですよ。(初めてで魔法陣を構築し炎を出せるなんて……なんて規格外なんですか……)」 


「ところで、ここに落ちているのが魔石?」


「あ、はい。そうです。魔石です。忘れずに回収しましょう」


「これが魔石か、石とは違う。なんか生命感があるような気がする」


「魔獣のコアですからね。魔獣によって大きさや色が違いますよ」


 魔石を拾い袋に詰め、奥に進む。途中、探索者に会えば挨拶を交わし、戦闘中なら戦い方を観察する。


「こんにちは、新人です。宜しくお願いします」


「おう、新人か。奥は魔獣が強くなるから無茶するなよ」


「ありがとうございます」


 魔獣と遭遇すれば、観察した戦い方を実践した。ゴブリン程度ならひとりでなんとかなりそうだ。


「ミイ、任せて今度はひとりで倒す!」


「お任せします。危なくなったら直ぐに援護しますね」


 襲って来たゴブリンは力任せに振り下ろしてくる剣を、【疾風の剣】で受け止め、そのまま押し返し敵の体勢を大きく崩した隙に鋭く切りつける!

弓を放って来たゴブリンの矢を剣て払い、一気に地を蹴って懐に入り斬りつける。


(よし……! だんだん剣の使い方が分かってきたぞ……!)


 ◇


「かなり奥まで来たな。ん、あれはなんだ?」


 拾いエリアに来た所で隅に機械らしきを見つけた。


「これは機械兵の魔獣ですね。1階層にはいない魔獣です。どなたかのパーティーが倒したのでしょう。機械兵は倒しても消滅しないのです」


「ふぅん、そうだ!これ持って帰ろう」


「え!どうするのですか?」


 俺はニヤニヤしながらバラバラになった2体の機械兵のパーツを袋に詰め込んだ。


「荷物も多くなったからそろそろ帰ろうっか」


「そうですね。(機械兵が余分な気がするのですけど……)」


「あ!あそこに宝箱がある!」


 岩のくぼみ豪華な宝箱があった。俺は近づこうとすると、


「あ、トーヤさんいけません、離れて!!」

読んでいただきありがとうございました!


次回投稿 11/4 7時 予定


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