5話 調合で器用さ覚醒―2
ギルドに到着し、メリッサさんにポーションの納品をする。
「メリッサさん、ポーション10本です。お願いします」
「はい、わかりました。……ク、クロフトさん!この色これ高級ポーションじゃないですか。ちょっと薬剤師に確認しますのでお待ち下さい」
メリッサさんはポーションを持って薬剤室に走って行ってしまった。
「失礼します。モーリーさん、このポーションを鑑定してもらってよいですか?今、納品されたんですが」
「そんなに慌ててどうしたんだ、メリッサ?これは、色を見れば高級ポーションだね」
薬剤室の奥から出てきた男性は、身長が高くて眼鏡をかけている。35歳の若さで薬剤室の室長をしている。
「そうなんですが、駆け出しの探索者の方がポーションの納品にいきなりこれを持ってきたので」
「ポーションの納品で?わかったよ、調べてみるからちょっと待っててくれ」
ー◇ー◇ー
「色や成分はやっぱり高級ポーションだね。味は……美味い!!なんだこの味は!!これポーションなのか!!」
「メリッサ誰が作ったんだ?納品者に合わせてくれ!」
2人で薬剤室から出てトーヤの前にやって来る。
「クロフトさん、お待たせしました。モーリーさんこちらの方がこのポーションを納品されたクロフトさんです」
「薬剤師のモーリーだ」
「君がこのポーションを作ったのか?どうやったらこんなに美味い高級ポーションが出来るんだい?
レシピを教えて貰いたい!」
モーリーさんは興奮して前のめりになっている。トーヤは困惑しながら
「落ち着いて下さい。レシピは秘密ですので教えられません。ごめんなさい」
「そうか……、そうだよな……、大事な資産だからな。
すまなかった、クロフト君。それならこの高級ポーションを200本発注する。空き瓶はメリッサから送らせるから。値段は普通の高級ポーションは1本300ゴールドだか特別に400ゴールドで買い取ろう。
頼んだよ」
「え、ちょっと……」
モーリーさんは聞く耳も持たす、興奮しながら薬剤室に戻って行った。
「それではクロフトさん、今回の10本分は4千ゴールドで買い取りますね。ギルドカードをお借りします」
メリッサはギルドカードを受け取りキャッシュレジスターに通す。
「はい、これで入金完了です」
「クロフトさん、200本分の空き瓶は直ぐに届けますね。完成した分から納品して頂いて結構ですよ」
「分かりました。それでは出来次第納品します」
まさかこんなに注文がくるとは思ってもみなかった。器用さのスキルがこんなに役に立つとは。宿に急いで帰る。
宿に着き部屋のドアを開けながら
「ミイ、ただいま。大変だよ! 高級ポーション200本も注文貰っちゃったよ!……えっ! 何この薬草の数!」
「おかえりなさいトーヤさん、こうなると思って薬草採りに行ってきました。リンゴとブドウもありますよ」
「ミイは何でもお見通してだね、助かるよ」
「はい、手分けして調合しましょう」
◇
慣れもあるがナイフが思い通り動かせる為、効率も上がり、2日間で何回かに分けて納品した。
「最後の納品に行ってくる」
「お願いします、トーヤさん」
残りの20本を持ち、ギルドに向かった。
「メリッサさん、最後の20本です」
「受け取ります。合計200本で8万ゴールド入金しておきました。クロフトさん、この高級ポーション評判がいいですよ。モーリーさんからの伝言でこのポーションを持って来てくれれば何時でも買い取るからと」
「分かりました、ありかとう、メリッサさん」
これで当分お金の心配はない。
宿に戻ろうと思ったが、商店が並ぶある店に向かう。
「おじさん、これ買うから少し工房貸してもらえる?」
「おう、いいぞ」
「ありがとう」
俺が来た店は雑貨屋だ。花の髪飾りを買い、これに猫の飾りを取り付けて……、出来た!
「お!、兄ちゃん器用だな。うちの店で働けるぞ」
「ありがとう、おじさん。でも俺探索者だから」
おじさんにお礼をいい店を後にした。
宿屋に着き部屋に入ると、ミイが心配そうに
「トーヤさん、遅かったですね」
「ごめんね、ミイにこれを渡したくて、いつも助けてくれてありがとう」
先程買って作り上げた髪飾りを渡す。
「え、いいんですか。猫が付いてる!かわいい」
ミイは嬉しそうに受け取り髪飾りを付けると
「どうですか、トーヤさん?」
「とってもかわいいよ、似合ってる」
ミイの目に涙が溢れ出す。
「ありがとうございます。とっても嬉しいです」
そっと抱き寄せ
「前世でもミイに出会えて精神的限界から救われたんだ。だからミイにはとても感謝している。ありがとう」
「私こそ、一人でとても寂しかった時にトーヤさんに出会えて嬉しかったです」
そう言ってミイは俺の背中に手を回した。お互いに抱きしめあった。ミイの頬を優しく撫で、そっと唇を重ねた……。
◇
宿屋の夕食を食べ、部屋に戻る
「そろそろ、この宿も10日になるね。何処かに拠点を構えないと。ポーション作りの工房もほしいし、ミイが手伝ってくれた分のお金を払わないといけない」
ミイはお金はいらないというが、そういう訳にはいかない。
「トーヤさんは律儀ですね。なら、パーティーを組みましょう。小さいですか、クランを立ち上げるのです」
「クラン?」
「そうです。クランです。まぁ会社みたいなものですかね。クランの口座を作り、そこから毎月給料を貰うのです。もちろんトーヤさんがリーダーですよ」
リーダーは正直ピンとこないけど、ミイにお金も払えるならとクランを立ち上げる事にした。
「クランの名前はどうしますか」
「名前かぁ。【月夜の猫】はどうかな?初めて会った夜の名前」
「ふふ、いいですね。では明日、ギルドに登録しましょう。その後、新しい拠点(家)も探しましょう」
読んでいただきありがとうございました!
次回投稿 11/2 7時 予定
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