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10話 からくりロボ その2

「あの……一体、私に何をすればいいのですか?」


 ミイは少しだけ困惑した様子で小首を傾げ、丸い大きな目をパチパチと瞬かせながら尋ねた。


「俺の魔力はまだ未熟で出力が安定しないから、ミイの強力な魔力を貸してほしいんだ。ミイの莫大な魔力でこの子たちの動力源を駆動させ、俺の魔力で細かい命令系統の基盤を流し込もうと思う」


「……わかりました。でも暴走すると困るので一応攻撃用の魔法陣は展開しておきますね」


「そうだね。お願い、助かるよ」


 ダンジョンでゴブリンから回収した魔石を2個し机に置いた。


「まずは一太郎から始めよう。この2個の魔石の一つは動力にし、もう一つを命令系統にする。動力の方を魔力が多く入りそうだからミイ頼むよ」


「わかりました。トーヤさんも一緒にやりましょう。魔石に両手をかざしてください」


「こうかな」


「そうです」


  トーヤの両手の上にミイ両手を重ねる。


「では、手から魔力を流し込みます。身体中の魔力を手のひらに集める様なイメージで。一太郎を動かすと念じながらです。いきます!せーのっ!」


 ミイの手が熱くなり、何かがじわりと流れ込んでいるのが分かる。これがミイの魔力、なんて温かくて優しい魔力なんだ。俺も集中してミイの膨大な魔力に自分の微力な魔力を継ぎ足す。一太郎を動かすイメージを念じ続ける事1分程、手のひらの魔石が赤く光りだした。


「凄い!これが動力炉(コア)になるのか」


「そうです。次は命令系統です。こちらは脳に直接プログラムを書き込むようなものなので、より慎重にお願いしますね」


「わかった」 


 さっきと同じ様にミイと魔石に魔力を送り込む。暴走しないように慎重に

 1.トーヤとミイの命令は絶対

 2.人間に危害を加えたり攻撃してはならない

 3.勝手に屋敷(工房)の外へ出てはならない

 基本の命令をインプットし、後はポーションの製造手順と調合レシピを頭脳へ叩き込んでいく。


 ―魔石は青く光出した。


「よし、出来た!」


「今から魔法陣展開します。魔石を取り付けたら直ぐにその場を離れて下さい!」


 一太郎の頭に青い魔石、体に赤い魔石を組み込み、素早く離れる。


 キュイィィィィィィーーーーン!!


 静まり返った工房の中に、金属音が甲高く響き渡る。一太郎の機械の体がガタガタと激しく振動しる。


『起動システム、正常ニ完了。マスター、ご命令を』


「おお……!おはよう、君は一太郎、俺はトーヤ、彼女はミイだ。君のやってはいけない制限事項は覚えているかい?」


『イチタロウ……、トーヤ様、ミイ様……認識完了。私、一太郎はトーヤ様とミイ様の命令に絶対服従します。人間に危害は加えません。無断で屋敷の外には出ません』


「上出来だ。一太郎、早速ポーションを作ってみて」


『了解しました』


 一太郎は机に移動し、薬草を取り出す。4本の腕を器用にフル稼働し教えた通りに作業する。わずか10分で高級ポーションを2本作り上げた。


「ミイ、どうだい? ポーション作りは一太郎に任せて他の事が出来る様になった。これで生活費や資金の心配はしなくてすむね」

 

「凄いですよ。壊れたただの機械兵をこんな便利なお手伝いロボットに改造してしまうなんて、誰も思いつきませんよ」


「まだまだ、こっちのハコぞうも動かそう」


 一太郎と同じ様に魔石を2個使い、同様に魔力を注ぐ。


 ガタガタガタガタ…


『親方、おはようッス!」


「おお、おはよう(なんか軽いヤツだな…)。」

「君はハコぞうだ。君の仕事は荷物持ちだ。彼女はミイ。あっちの機械兵は一太郎だよ。皆大切な仲間だ、仲良くな」


『了解ッス! ミイさんもよろしくッス、一太郎もッス』


「あ…、はい、よろしくお願いします」


『宜しくです、ハコぞう』


 ハコぞうの体を開けて中を覗き込むと、その内側は底の見えない奇妙な空間――いわゆる『異次元収納(アイテムボックス)』の空間になっており、どんなに重いものでも、どれだけの量でも無限に放り込むことができ、しかも必要な時は一瞬で自由に取り出せる仕様になっていた。ダンジョン探索において、これほどチートで便利な荷物持ちロボットは他にない。 


「君達の部屋はこの工房だからね。人目にはつかないように」


『『了解 (しました・ッス)』』


「さあ、【月夜の猫】の仲間が増えたよ。楽しくなるね」


「楽しみですけど、町の人や特にギルドには絶対見つからない様にしないといけませんね」


「そうだね。工房には他人を絶対入れないようにしないとね」


ミイはふと何かを思いついたように悪戯っぽい、しかしどこかゾッとするような美しい笑みを浮かべた。


「そうだ!トーヤさんの特訓を考えていたんです。

ポーション作りは一太郎がやってくれるから時間が作れますね」

「剣と魔法の腕を上げましょう。A級の探索者まで駆け上がれるまで特訓しましょう。」


「えっ、ミイはそんなキャラだったっけ?」


「ふふっ、明日から特訓ですよ。楽しみにしていてくださいね、トーヤさん♪」


「は、はい…お手柔らかにお願いします」

読んでいただきありがとうございました!


 次回投稿 11/7 7時  予定


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