7 騎虎の勢い
「ごめんなさい」
俺はセレに心の中で謝罪した。これは俺の意志じゃない、無理やりだから。職場の先輩だから仕方ない。酔っているから理性が働かない。抵抗したけど周りの目があって仕方ない。色々と言い訳が浮かんで、少し心が軽くなる。
“据え膳食わぬは・・・”そんな言葉がチラッと頭に浮かんだ。
「私が教えてあげる」
ラブホの部屋に入りドアを閉めると、藤さんが俺に抱き着いてきて、俺の耳元で息を吹きかけながら、囁いた。
「待って。待って、藤さん」
「どうしたの? ここまで来て、怖気付いたの?」
「いや、そう言う事じゃなくて・・・」
「なら、何なの?」
「実は・・・」
俺は遂に隠していた昨日の顛末を正直に話した。途中、のどが渇いたので、備え付けの冷蔵庫から、ミネラルウォーターを取り出して飲んだ。
「アレを女房に握り潰されて、駄目なんだ」
藤さんは何のことやら風な表情で俺を見ていた。そして「見たい」とのたまった。
そんな事出来る訳ないじゃないか、よく考えろよ。そう言いたかったが、グッとその言葉を飲み込んで、首を横に振るのが精々だった。
「本当にあるんだ、そんな事」
「そうだよ」
「肇ちゃんの奥さんて、凄い強いのね」
「強いと言うか、何と言うか」
「どんな奥さんなの」
「『どんな』と言うと?」
「例えば、スッゴく力が強いとか」
「どうなのかな? 力はそんなに強いとは思わないけど」
「プロレスラーだったりして?」
「そんなんじゃないよ」
「それじゃ、体格が良いんだ」
「体格か・・・ そうだな。俺より背は高いよ」
そんな埒もない会話をラブホのダブルベッドに腰かけてしていると、急に可笑しさがこみ上げてきた。
ダブルベッドに腰かけている俺に対し、藤さんは後ろからスラックスを下ろしに掛かった。
「何するんですか! 止めてください!!」
「いいから、いいから」
そう言いながら藤さんはベルトを外し、俺はトランクスをまとった下半身を晒した。
「トランクス派なんだ」
俺のトランクスを見ながら、彼女は俺のトランクスを下ろそうとする。俺にその気がないとは言わないが、多少は抵抗感がある訳で。最も彼女と物理的に叡知に進むような体調ではなかったので、安心感もあったし、女房に対する罪悪感も・・・ 多分・・・。
彼女にトランクスを下ろされ、俺は湿布薬で包んだ息子を彼女に見られた。
「本当なのね。実際にこの目で見たのは初めてよ。へえ、こうなってるんだ・・・」
彼女が俺の息子に手を伸ばそうとしたので、俺は大急ぎで息子を隠した。
「駄目だよ。本当に痛いんだから」
「可哀そう・・・ でも可笑しい」
声を殺して彼女は笑った。そうだと思う。こんな事、漫画の世界だよ。現実の世界にそんな事ある訳ないと思うんだけど、俺が経験した以上、これは皆にも起こりうる可能性があるんだよ。本当だよ!
あの時は2分で痛みが引いたので、そのまま放置してたんだけど、朝起きたら赤く腫れていて、小便をする時に痛みが走って、酷かったんだ。仕方ないので包帯で息子を包み、その上に湿布薬で覆ったんだ。傍から見ると立派な息子に見えるんだけど。紺順番を間違えると・・・ 想像してみてよ、分かるよね、男なら。




