↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/39

37 悪魔の囁き


 ベッドでつやとイチャイチャしていたら、突然エドの声が頭の中に入ってきた。

「相も変わらず、良からぬ企み事か?」

「エド?」


「そうさ、誰だと思った」

「地獄に帰ったんじゃないんですか?」


「お前との交渉が終わっていないのに、帰還できる訳がないじゃないか」

「だって、ベルナールが認めたのは俺との接触でしょ?」


「代償がそれだけだと思っていたのか?」

「そう言いませんでした?」


「忘れた。記憶にない」

「そんな・・・」


「一つ、悪魔の気質を教えてやろう。良く聞けよ。地獄から召喚された悪魔は、召喚者との契約によって魂を手に入れたなら、それが地獄の悪魔業界での業績になるのさ。業績を積み重ね段々と地位が向上し、軍団を任される軍団長になるのが最終目標さ」

「自分等と変わらないんですね」


「そうさな。人と大差ないな。しかしだ。地獄の業火は決して軍団長だろうとも、地獄からの脱出を可能にはしてくれない。もし強行しようものなら、その身は業火によって焼け焦げ、永遠の灼熱地獄に堕ちて、天界に復帰する希望が失われるのだよ。だから召喚された以上、地獄に帰還するまで、この世で愉悦を貪るように動き回るのさ」

「悪魔は地獄の業火に耐えられないですか?」


「そうさ。何物も地獄の業火から逃げられる者はいない。例えルシフェール様でさえも」

 そう言うエドの声には、何処か陰鬱な響きがあった。


「それで、今まで何処にいたんですか?」

「この世と地獄との狭間だよ。一応地獄の様子も知っておかないと、指示が出せないだろ」


「そうですか。それなら何で大井と連絡を取らないんですか?」

「何で、魔女になったと思っている者と態々軍団長たる吾輩が連絡を取らにゃいけんのだ」


「だって、部下でしょ?」

「違うね。部下は地獄界に住まう者だけ。この世の者はその下僕さ。それにお前との約束で吾輩は観音菩薩として接した積もりなんだが」


「そうでしたね。失礼しました」

「それでどうだ。相当お前の魂も汚れてきたぞ、我等と遜色ない程度にな」


「それ褒めています、腐しています?」

「評価しているのだが、不満か?」


「否・・・」

「それならどうだ。一度で良い。馬頭観音と共に地獄で最後の掃除を手伝ってくれ」


「ですから、セレの気持ち次第って言ったでしょ」

「それは聞いた。しかし吾輩もお前の頼みを聴いてやったではないか」


「それは感謝しています」

「そんな言葉よりも行動だ」


「もう少し待ってください。少なくともセレの機嫌が直るか、するまで」

「分かった。だが早くしてくれよ」


「はい」

「一つ教えてやる。隣りの女、先程から頻りに何か言っているぞ」


「え?」

 言われて俺はつやの顔を見たら、つやはふくれっ面で俺に何か言っていた。


「私の言う事、全然聞いていないじゃない」

 機嫌悪そうに一方的に話す。


「どうやってしてくれるのか、聞いているのよ」

 ああ、あれね。


「ご免。その方法を色々考え巡らせていたんだよ。だから“心ここに在らず”になっちゃった」

「それなら教えてよ」


「君にも菩薩の境地に達してもらう」

「え?」


「分かんない? 『大井と同じ体験をしてもらう』って言ったの」

「今の言葉、本当?」


「そうさ」

「私も菩薩の境地に浸れるのか・・・」

 彼女在らぬ方向を見ながら呟いている。


「私が管長になるのか・・・ 私が教団を引き継ぐのね。何からしようかしら? 手始めに何をするの?」

「気が早いよ。未だ菩薩の境地に達してないのに。


「ねえ、何時してくれるの?」

「少し待ってね。部屋の模様替え(管長室への盗聴器設置)もあるから」


「早くしてね。やりたい事が沢山あるの」

「何をしようと君の勝手だけど、大井のように振舞ったら君も・・・ 分かるでしょ」


「それは知っているわ。それよりも他人の為に奉仕する何て、もう勘弁して。自分の可能性に賭けてみたいのよ。分かるでしょ?」

 相当鬱憤が溜まっているんだな。エドに幻影を見せられただけで、こうも立場が変わってしまうんだから。何か考えさせられるものがあったんだろうな。そう思うとこのつやも、人のエゴと虚栄と我欲に躍らされているんだと分かり、少しは同情心が湧いてきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。