↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/39

27 敗戦処理


 その夜に俺は賃貸マンションへ帰って来た。今は便利になったもので、俺の親の代には埼玉からの帰路は、東京を経由して千葉に戻る路線しかなかったのに。直で帰ってこられる線があるなんて、死んだ親父もビックリだろうな。


 11時近くになっていたが、セレは起きて俺を待っていてくれた。但し、晩飯の用意はしていなかった。これは仕様がない。帰宅が何時になるか分からなかったので、外で済ませてくると伝えてあったから。

 風呂は? 用意してあった。これは当たり前。一旦沸かせば後は保温だけだから、○○でもチョンでもできる。


「ただいま、マ・シェリ」

「お帰り、モン・シェリ」


 帰って直ぐ、俺は風呂に直行した。気を張っていたのもあっただろう。兎に角疲れた。こういう時はシャワーではなく、湯船に全身浸かると、疲れが取れるようだ。

 親が仕事で忙しかったせいか、俺は子供の頃、祖父母と共に入浴していた。その影響なのか今も比較的熱い風呂が好きなので、43度の温度設定にしているが、セレの後の風呂は40度設定なのだ。


 俺が設定温度を上げた途端、セレが戸を開けて入ってきた。何? と思っていると、「一緒に入りましょう」とさ。

 間が悪いったら、ありゃしない。仕方ないので保温温度を下げ、彼女に合わせる。


「疲れた?」

「一寸ね」


「それじゃ私がマッサージしてあげる」

 そう言って俺の後ろに回り、肩を揉んでくれた。こうしていると、普段は口うるさい癖に、妙に優しいところもあるんだなあと思う。肩も解れ、気持ちも和らいだので、お返しとばかりに「今度は俺がやるよ」と言って彼女に正対し、両肩から両腕にかけて揉む。そしてその手をバストに持っていき、揉みしだこうとすると、

 バシッと彼女の平手がさく裂した。


「イテ!」

「余計な事しないで」

 怒りながら、風呂場から出て行ってしまった。やっちまった・・・ 機嫌が良かったから、大丈夫かなと思っていたが、駄目だった。


 急いで風呂から出て着替え、居間にいる彼女に謝った。

「ごめんなさい」

「もうしないでね」


「はい。唯ね、君の素晴らしい裸体を見ていたら、無性に欲しくなってね」

「場所が違うでしょ。風呂場は嫌よ」

 この言葉で俄然萎えた気が盛り返してきた。


「じゃ、後でね」

「・・・」

 このところご無沙汰だったから、俺の気力も臨戦態勢になってくれたし、彼女もこの時間まで俺を待っていたんだから、受け入れ態勢はOKな筈。


 急いで歯磨きをして、口臭は大丈夫。トイレも済ませて、パジャマに着替え、寝室に行く。

 セレは既にベッドの中で待っていた。俺はベッドに潜り込む前にパジャマを脱ぎ捨て、下着も脱いで身には何も着けない。勿論アレも着用しない。


 遠慮なく頂きます。俺はベッドに入り彼女に軽く口づけをした。彼女もそれを待っていたかのように俺を抱きしめる。暖かい肢体だ。それに柔らかくて、弾力があり、肌の張りもほどほどにある。唯、一寸ヒゲが濃いのが気になるか。金髪だから見た目には分からないが、間近で見ると分かるから。

 気分は盛り上がり、俺は両手を彼女の肢体に巡らし、軽いタッチを繰り返す。彼女の気分も随分解れてきたのが分かる。

 頃合いは良し。俺が身体の向きを変え、彼女の下半身に向かおうとしたら。


「ご免ね。どうもアレが近いの。だから・・・」

 それはないよ、モン・シェリ。

「駄目なの?」


「うん」

「近いの?」


「多分」

「本当に?」


「うん」

「どうしても?」


「無理みたい」

「無理か・・・」


 準備万端整えたのに。諦めきれない俺は、無理を承知でお願いしてみた。

「せめて口は?」

「駄目。又にしましょう」


「でもなあ・・・」

「・・・」


「手でも駄目?」

「又ね」


 何度彼女に懇願しても駄目だった。気力充満の俺は萎える事を知らない不動明王だ。怒髪天を衝くこの状態を如何にして鎮めるというのだ。猛り狂う俺をどうしてくれよう。


 ベッドで考えても状況は変わらない。俺はベッドを出、トイレに入った。そして敗戦処理。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。