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異世界のもふもふカフェレストランで、君は私を独占する  作者: 陰陽@4作品商業化(コミカライズ・書籍・有料連載)


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第9話 私たちって、変かな?

「ねえ、聞いた?ここの料理、食べると本当に回復するんだって。」

「古傷が治るって噂、本当だった……!」

「もふもふが可愛すぎて、癒し効果倍増だよ……!」


 初日でリピーターが続出した。翌朝には、すでに店の前に行列ができていた。冒険者、商人、近所の主婦、果ては貴族の令嬢までがお忍びで。皆が目を輝かせて待っている。


「今日もあのムース食べたい……!」

「私はアリシアさんのパスタ!昨日の残り香が、まだ体に残ってる気がするくらいよ……本当にくせになるわ。」


「俺はもふもふに会いたくて来たんだ……もふもふと過ごしていれば、いくらでも料理を待っていられるよ。今日こそ肩に乗ってもらうんだ。」

 カウンターでは、千尋と蒼生が並んで微笑み合っていた。


「蒼生、すごいね。もうこんなにお客さんがいっぱい」

「千尋のスイーツが人気すぎるんだよ。私の料理も、千尋の付与のおかげで効果が倍増してるもん。」

 千尋が照れくさそうに笑う。


 ルルゥとパルゥが二人の間に飛び込み、ルルゥ!パルゥ!と鳴きながら甘える。

 それを撫でてやる二人。店内は、笑い声と幸せなため息と、もふもふたちの可愛い鳴き声で満ちていた。


「今日もお疲れ様。」

「たくさん頑張ったね!お風呂に入ろう?背中流してあげる!お客さんにいっぱい臭いつけられたでしょう?全部落としてあげるから。」

「もー。またそんなこと言ってー。」

 蒼生の提案に、千尋がうなずいて、二人でお風呂に入る。


 教会は、子どもたちが、蒼生が<豊穣>のスキルで育てている野菜や果物の収穫を手伝ってくれ、子どもたちもたくさん栄養のある食事がとれるようになっていた。


 また、もふもふカフェレストランの売り上げで、新しい服を買ったり、勉強が出来るようにもなっていた。


 将来大きくなったら、<もふもふカフェレストランルルゥ&パルゥ>で働きたいという子どもも多い。


 二人は完全に住居をもふもふカフェレストランの三階に定めていた為、教会に泊まることは既にないが、小さい子どもたちは、千尋たちと寝たいと寂しがっているとも聞いた。


 もふもふカフェレストランの休日になったら、その都度もふもふカフェレストランを解放し、子どもたちと遊ぶことで、そのさみしさも多少薄れているようだった。


 ちなみに二階はもふもふたちが夜寝る場所となっている。テイムしているとはいえ、さすがに目の届かないところで、食器などが置かれている場所に、もふもふたちを自由にさせるのは、なんとなく危ない気がして、夜はカフェスペースは閉鎖している。


「ねえ、落ち着いたら、私たちの推し、探してみる?」

「えっ?」

 蒼生の提案に、既にアズライアンに会っていた千尋はドキッとする。


「ここは❝2❞の6年前の世界だからさ。職場に押しかけて探すっていうのは難しいと思うけど、せっかく遭遇しやすいスキルを取ったんだもん。遠くからでも、ひと目見たいじゃない?生推しは、さすがに拝みたいよ!」


 この生活を軌道に乗せるのが優先だから、今はそんなに時間さけないけどねー、と蒼生が言う。


「う、うん、そうだね……。」

 拝むどころか、その素肌に触れてしまい、エアバイクに二人乗りで送ってもらったなどとは、どうにも言い出せなかった。


「あと、やっぱり聖地巡礼よね!子どもたちにばかり時間を使ってて、全然観光できてないんだもん。」


 もふもふカフェレストランはまだ始まったばかりで、盛況とはいえ、教会の敷地を借りていることと、しばらく世話になっていた恩もあり、教会にお金を入れることを優先している為、老後の貯金などは出来ていない。


「まあ、念願かなって、千尋とお店が出来ているから、そこまで急いでもいないんだけどさ。」

 狭いバスタブの中で、蒼生が腕を絡めて肩に頭を乗せてくる。


「死んだと思ったし──まあ、実際死んだんだけど。一緒の世界に、記憶を持ったまま転生出来るとは、思ってもなかったし。」


「そうだね、私も今の蒼生との時間が、一番大切で幸せ。」

 千尋は蒼生の頭に頭を乗せてほほ笑んだ。


 千尋にとって蒼生は自分にだけ降り注ぐ太陽だ。すべてを溶かして温めてくれる。いなくなれば心臓が凍り付く。


 そのぬくもりを求めるように、肌に触れる蒼生のぬくもりに緊張が溶かされて、ウトウトしそうになる。


「……ていうかさ。私たち、女の子同士だよね……。普通に考えたら、こんなにくっついてるの、変って思う人もいるのかな。子どもの頃からの習慣だけど、今までと違う体になったからか、なんか不自然かもって、違和感を感じる。」


 それを聞いた蒼生が突然慌てだす。

「変じゃないわよ!他の人は、子どもの時にそうしなかったから、今更そうするのが変なだけでしょ?私たちは特別なんだもの!」


「まあ……それもそっか……。」

 千尋が納得するようにつぶやいたことで、蒼生はホッとため息をついた。




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