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異世界のもふもふカフェレストランで、君は私を独占する  作者: 陰陽@4作品商業化(コミカライズ・書籍・有料連載)


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第43話 ❝1❞のヒロインvs❝2❞のヒロイン②

 服の背中が焼け、皮膚が焦げ、血が滲む。蒼生はさらに左手の球体を回転させながら、冷たく続けた。

「五発目。」

 ズガンッ!!今度は頭上から落ちてきた雷の牢獄が、アグノラを地面に叩きつけた。


 衝撃で土が爆ぜ、彼女の体が半分埋まるほどに沈む。アグノラは血を吐きながら、這いつくばった。

「はあ……はあ……!な、なんで……こんなこと……。」


「ずいぶんと器用に逃げるものね。まだ、聖女として覚醒もしていないでしょうに。脅しのつもりで、直接ぶつけていないとはいえ、雷の牢獄に閉じ込められないだなんて、大したものだわ。さすがは❝2❞のヒロイン聖女といったところかしら。」

 蒼生はゆっくりと近付いてくる。


 新しい黒い球体を二つ同時に生成し、両手に一つずつ浮かべた。

「前世で私と千尋を殺したのも、あなたでしょう?今世でも、千尋に手を出そうとするなんて……。」

 蒼生の瞳が、わずかに細められる。


「とうてい許せることじゃないわ、」

 ドンッ!ドンッ!二つの雷の牢獄が同時に放たれ、アグノラの両側に着弾。アグノラは身をよじって必死によけた。


 雷撃が彼女の体を左右から挟み撃ちにし、悲鳴を上げさせる。アグノラが必死に体を起こそうとするが、蒼生は容赦なく次の球体を生成した。

「まだまだ、終わりじゃない。あなたが二度と千尋に手出ししないと誓うまで、これは続くわ。」


 ズドンッ!ズドンッ!ズドンッ!連続六発の雷撃が、アグノラを容赦なく叩き続ける。森の中が青白く光り、雷鳴が轟き渡った。木々が次々と倒れ、地面は黒く焦げ、土が爆ぜて舞い上がる。アグノラはもう立ち上がれず、地面に這いつくばったまま、激しく息を荒げていた。


 服はボロボロに焼け、髪は乱れ、血と埃にまみれている。蒼生は新しい球体を一つだけ生成し、それをアグノラの頭上にゆっくりと浮かべた。

「これでトドメよ……まだ、あらがうつもり?」


 アグノラが、血の混じった息を吐きながら、恨めしそうに蒼生を見上げる。

「なんで……あなたが……こんなに強い……ただの豊穣の聖女じゃない!攻撃方法なんてない筈だわ!」


 蒼生は無表情のまま、球体をさらに回転させた。

「私は、千尋を守るために賢者になったの。あなたみたいな、ただの邪魔な女に、千尋を傷付けさせるわけにはいかない。」


 蒼生は静かに、しかしはっきりと告げた。

「千尋への加害をやめるつもりがないのなら、これで、終わりにするわ。やっぱりあなたを殺した方が、早そうだから。」

 蒼生が、頭上の黒い球体をゆっくりと下げていく。


 雷の牢獄がアグノラの頭に近付くにつれ、内側の稲妻が激しく唸り始めた。アグノラの瞳に、初めて本気の恐怖が浮かぶ。

「……やめ……やめて……!」

 その瞬間──アグノラの体が、突然白銀の光に包まれた。


「……っ!?」

 蒼生の雷の牢獄が、彼女の体に触れる直前で、弾かれた。光の膜が、アグノラの周囲にゆっくりと広がっていく。

 白銀色で、月光を固めたような、綺麗で冷たい光の壁。アグノラが、血まみれの体を震わせながら、ゆっくりと立ち上がった。


「……覚醒した……?聖女の力に……。」

 彼女の声が、わずかに震えていた。

「私は……結界の聖女として……覚醒したのよ!」


 蒼生の表情が、初めてわずかに強張る。アグノラの周囲に張り巡らされた白銀の結界が、ゆっくりと輝きを増していく。

「今度は……私が、攻める番よ。」

 アグノラが、周囲の結界の力を高めていく。


「私は、魔を打ち払う結界の聖女。アグノラ・エンデル。あなたの賢者の力なんて、私の結界の前では無力よ。」

 蒼生は歯を食いしばった。

「くっ……!」


 蒼生はさらに二つ、三つと球体を増やし、連続で雷を叩き込む。しかし、どれもアグノラの周囲で弾かれ、地面を焦がすだけだった。そしてそれは、そのまま蒼生に跳ね返って来る。そして、魔を退ける結界は、触れると魔力を持つ者に、ダメージを与え、そのまま攻撃に転じることが出来るものだ。


 局地的なものではあるが、結界としては、結界に近付くものにダメージの恐怖を与えて退けることが出来るし、自分の周囲にだけ展開すれば、対魔力持ち限定だが、無敵モードになることが出来る、結界の聖女の能力だ。


 その結界を周囲に展開した上で、アグノラは蒼生に何度もタックルをかましてくる。それと同時に豊穣の聖女の力で傷を治す。その繰り返しだったが、アグノラはそれだけでなく、結界の内側からナイフを突き出してくる。


 蒼生が逃げられないよう、雷の牢獄から逃げた素早さで、蒼生の退路に回り込み、結界で体当たりし、ナイフで威嚇を兼ねた攻撃を仕掛けて来る。蒼生はついに痛みに悲鳴を上げた。




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