第14話 原作レシピを再現しよう!
今日はもふもふカフェレストランは定休日、二人は完全なオフだ。ルルゥとパルゥを連れて、千尋と蒼生は新メニュー開発のために森へ出かけた。朝もやがまだ残る修道院の裏門をくぐると、千尋が大きく伸びをした。
「ふぁ~……今日は朝から頑張ろうね、蒼生!」
隣を歩く蒼生が、それを見て優しく微笑む。
「うん。千尋が元気だと、私もやる気が出るよ。今日は特に、原作再現メニューに挑戦するから、昨日から楽しみで!先に目が覚めちゃった。」
蒼生は興奮気味に言う。
昨日の夜、新メニューについて相談した際、千尋が提案したのだ。
「ねえ、蒼生。どうせなら原作再現しちゃおうよ!『悠久のロマンスを君と2人で❝2❞』に出てきた、あの『星降る夜の銀果実のタルト』とか、『不死王の秘薬スープ』とかさ……!」
その提案に蒼生がくすっと笑う。
「アズライアンの好物だったよね、あのスープ。主人公が作って、そう名付けられたんだよね。私も食べてみたかったんだ。ゲーム画面で見ただけで、絶対美味しいって思ってた。」
「でしょ!?アズアズが『……意外と美味いな』って呟いてるシーンのスチル、表情が最高だった……!今なら私の錬金術で、ゲームより本物に近づけられるはず!」
ルルゥが千尋の興奮につられたのか、興奮して千尋の頭に飛び乗り、尻尾の玉を四方八方に揺らしている。
二人の頭や肩の上で、ルルゥとパルゥが楽しげにじゃれ合っていた。
今朝は、ルルゥ(狐の錬金術師精霊)は、三本の尻尾をゆらゆらさせながら「ルルゥ~♪」と喉を鳴らし、パルゥ(フクロウの賢者精霊)は「パルゥ……」と眠そうに目を細めつつも、今は蒼生の頭にちょこんと止まっている。
蒼生の<豊穣>の力は強力だが、「無から有は作れない」。
だからこそ、種になる植物や希少なハーブ、果実、魔法の香辛料を直接森で探す必要があった。
新メニューは、月イチと、季節ごとに出したい――それが二人の共通の目標だった。森の入り口に着くと、木々の間から柔らかな光が差し込んでいる。ここも原作で採取に向かった森だ。千尋と蒼生は目を輝かせた。
「ルルゥ!ルルゥ~!」
翻訳すると「私も手伝うよ!新しい料理を作ろう!」とでも言っているのだろうか。ルルゥは千尋が探している素材を、森の中を飛び回って探してくれる。
パルゥも蒼生の肩から飛び立ち、落ち着いた声で「パルゥ……」と、ルルゥに同意するように羽を広げて反対方向に飛び立ち、素材を探し始めた。
二人は夢中になりすぎてはぐれないよう、しっかりと手をつなぎ、森の奥へ進んだ。
足元には朝露に濡れた苔がふかふかで、時折可愛い小動物や魔物が顔を覗かせる。ルルゥが足元を前足で示すように、トントンと地面を叩き、ルルゥ~!と鳴いた。
千尋がしゃがみ込んで、草むらをかきわけると、銀色の葉を持つ珍しい植物を見つけた。
「これ!『月露草』だよ。原作で『星降る夜の銀果実のタルト』の隠し味に使われてたやつ!蒼生、〈豊穣〉で育ててみて!」
蒼生が手を翳すと、柔らかな光が月露草を包み込んだ。一瞬で花が咲き、種が実る。種を収穫し、これを教会近くの農場にしている場所に植えるのだ。
「こっちはパルゥが『トンテテ』を見つけたわ。」
「早速種にしよう!」
蒼生が<豊穣>のスキルを使い、種に変化させる。次々と素材を発見し、種にしていく。
「できた……!これでタルトのベースが揃うね」
千尋が嬉しそうに種を丁寧に摘みながら言った。
「あと、『不死王の秘薬スープ』に必要な『血の珊瑚草』も探さないと。アズライアンに出会う機会があったら、食べさせてあげたいものね?」
「うん、もちろん!」
「どんな顔するかな……って、想像しただけでニヤニヤしちゃう。」
蒼生がからかうように千尋の頰を軽く突いた。そう言われた千尋は、思わずゲームのスチルを思い出してしまい、頬が赤くなってしまう。
ルルゥとパルゥが二人の間をくるくる飛び回りながら、まるで祝福するように光の粒子を散らした。
「ルルゥ~♪」
「パルゥ!」
その時、茂みの奥からキラキラ光る銀色の果実が見えた。千尋が声を弾ませる。
「あ!『星降る夜の銀果実』!原作のデザートに必須のやつだよ!蒼生、早く!」
二人は笑い合いながら駆け寄り、収穫を始めた。森の中は、千尋と蒼生と、ルルゥとパルゥの楽しげな声と、甘い果実の香りでいっぱいになった。森の木漏れ日が、二人の笑顔を優しく照らしていた。
「さっそく農場で育てましょ。絶対再現してみせるんだから!」
お目当てのものをすべて手に入れた二人は、手をつなぎながら森を出て、教会の裏手の農場へと向かった。
「うん。原作再現メニュー、絶対に大成功させよう。」
蒼生が千尋の手を強く握り返した。
「もちろん。お客さんをびっくりさせちゃおう!」
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