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目的地に到着

 馬車が宿を出発してから随分と経ったような気がする。一向に次の目的地に着く気配がないんだがどうなってるんだろう?

 俺は少し疑問に思い魔力で周りを確認する。設定を半径五十メートルにし、視てみるとただ森が広がっているだけだった。本当にこんな所に村なんかあるのか?そう思っていると、


 「そろそろ次の目的地に着きます」


 「分かりました」


 一応返事はしておくが、隠れろとか言われているわけではないので馬車の中でゆっくりくつろいでいる。

 それよりも周りに村がない事は確認している。半径五十メートルに設定したからダメだったのか。多分そういう事だろう。今度は百メートルに設定すると確かに村の端っこを確認できた。

 馬車はゆっくり進んでいるのであと三十分くらいで着くだろう。一応シルクの方を見るとぐっすりと寝ていた。あどけない寝顔がまた癒される。

 ぼーっとしていると馬車は停止した。どうやら到着したみたいだ。前回と同じように御者には「ここに居て下さい」と言われた。

 馬車の中にいればいいので俺は魔力を使って御者の動向を追う。監視しているとやはり呪い子(イクス)が集まっている場所に行く。そこには呪い子(イクス)と彼らを連れてきた大人がいる。それ以外には全く人が見当たらない。子供達は親と引き剥がされ泣いている。

 御者は全く気にせずに子供達に金属の首輪をつけていた。その瞬間から借りて来た猫の様に大人しくなった。

 一体この首輪にはなんのチカラがあるんだ?俺は自分の首輪を触りながら思う。俺は何故か影響がない。シルクも記憶は無いがそれを無視すれば影響はそれほど大きくないと言えるだろう。そもそも首輪は破壊したし。だが、ほかの子供は一向に話さないし、そもそも体勢がずっと同じままだ。

 色々と考えていると子供達を連れて御者が戻ってきていた。彼は子供達を後ろから馬車に乗せるが、何故か俺は後ろに追いやられ新しく来た子達が前に座った。増えた人数は男の子が2人の女の子が3人の計5人。横目で5人を確認するがシルクのように意識がある人間は見当たらない。

 追加された子供を観察してると馬車が動き始めた。念の為に『魔力感知』を使って魔力核の大きさを確認するが、大した大きさの奴はいなかった。

 観察していると目の前から視線を感じるのと同時に、


 「アクシス」


 急にシルクに声をかけられた。珍しく彼女の方から話しかけてきた。今は新しくやってきた子供達によって御者との距離が取られており、実質話ができるにはシルクぐらいだったのでここで話しかけてきてくれるのはありがたい。


 「どうした?」


 それでも狭い馬車の中じゃ会話は御者に聞こえる可能性があるので小声で聞き返す。


 「ううん、何でもない」


 そう言って眉を顰めて頬を膨らましてシルクはそっぽを向いてしまう。

 昔から人の不機嫌になった時のあのピリピリとした空気には敏感だったからな。シルクも機嫌が悪くなった事はわかる。しかし何故急に不機嫌になったんだ?


 「怒っているのか?」


 「別に怒ってない」


 まあ、本人がそう言うなら怒ってないんだろう、多分。俺はそう思いそれ以上深くは追求しなかった。

 ただシルクはアクシスが新しく来た女の子をじっくり見ているのだと思っていた事、更にアクシスが見ていた女の子に嫉妬していただけだった事にアクシスはこの先も気付くことはない。

 その後シルクと会話をすることもなく、ただ時間だけが過ぎていった。




 気がつくと馬車は止まっていた。顔を上げると目の前にいるシルクはすぅすぅと寝息を立てていた。他の子供達も寝ている。御者は席におらず、魔力を視ても見つけられない。それどころか周りは木々が生い茂っており森の中だと分かる。

 御者がいないんだったら外に出れる。ずっと座りっぱなしで尻が痛い。俺は周りの奴らを起こさないように静かに立ち上がると外に出る。体をグッと伸ばして息をたっぷり吸う。


 「んん〜、森の中は気持ちがいいな」


 既に夜なのか辺りは暗くなっている。だが完全な真っ暗、という訳でもなく空に浮かぶ月や星がランタンの灯の様な優しい光を放ち、明るい。

 魔力を使って常に50メートルほど見える様にしてはいるが御者の姿が見えない。護衛は全員がぐっすり眠っており起きそうもない。これは何かあるのかも知れない。

 そう思い警戒していると馬車の方からガタッと物音がした。一瞬、肩をビクッとさせてしまったが平静を装って振り向くとシルクが馬車から降りてきていた。


 「なんだ、シルクか…どうしたんだ?」


 そう聞くと走って寄って来て勢い良く抱きついてくる。


 「お、おい!?本当にどうしたんだ?」


 「起きたらアクシスがいなかったから探しに来た」


 「そうか、それは心配かけたな」


 俺はシルクの頭を軽く撫でる。満足そうに微笑んだところを見ると機嫌は良くなった様だ。

 しかし、御者がいないことだけが気になる。魔力を視ていると何かが動いた。距離にしても数メートルしか離れていない。それも少しずつこっちに近づいてくる。


 「シルク、何かが近づいて来ている。馬車の中に戻っていろ」


 「アクシスは?」


 「俺は大丈夫だ。だから早く中に入れ」


 「わかった」


 シルクは納得してくれた様で馬車へ走って戻って行った。中に入った事を確認すると俺は動いている何かに近づいて行く。

 茂みの中に入るとそこにいたのは御者だった。まだ俺には気付いていない様子だ。俺は後ろからそーっと近づき、声をかける。


 「何をしているんですか?」


 「うわッ!ってなんだアクシス君でしたか…驚かさないでください」


 そう言ってほっとしたように息をつく。


 「いや、こんなところで何しているんですか?」


 「まあ、ちょっと実験ていうか…」


 御者は言いたくないのか、顔を背け口籠る。まあ、言いたくないならいいんだが。そう思っていると再びこちらに顔を向け、


 「僕のスキルのテストをしていたんです」


 言うのかよ!と心の中でツッコミを入れてしまった。ここまで素直に答えてくれるならもう少し深い質問でも答えてくれるのか?


 「ちなみにどんなスキルなんですか?」


 「『強制睡眠』ていうもので、時間と範囲を自分で決めるとその中にいる人はみんな強制的に眠らされるというものです。でも不思議ですね?みんなさんまだ寝ているのに君はもう目覚めている。どうしてなんでしょう?」


 御者は俺を見つめながら不思議そうに首を傾げる。それは俺のスキル『超越』が状態異常を無効するという項目を俺が追加した結果だ。どうやらちゃんと働いている。

 しかし馬鹿正直に「僕のスキルの力です」なんて言ったらどんな顔をされるか。というわけでスキルはないという程で話すことにした。


 「何故なんでしょうね?僕にはスキルというものがまだないようなので」


 この嘘が通じるかわからなかったが納得した様に頷き、


 「そうですか…もしかしたら気づいていないだけで既にスキルがあるのかも知れませんね。イクスは先天性のスキル持ちが多いっと聞きますし」


 なるほど。つまり普通の人はスキルを持った状態では生まれてこないという事か。という事はもしかしたらシルクもスキルを持っている可能性があるのか。あとで確認してみよう。


 「そうなんですね。初めて知りました」

 

 「そろそろ時間が切れる頃ですね。馬車に戻るとしましょう」


 そう言って御者は立ち上がり、馬車の方へ歩いて行く。俺もつられて後ろを追いかける。護衛はまだ寝ており、起きていない。御者は御者席に戻り、俺も客車に乗り込む。

 中に入るとシルクが俺を見ると嬉しそうに微笑んだ。


 「どうしたんだ?顔に何か付いてるか?」


 自分の顔を触りながら聞くとシルクは首を横に振り、


 「ううん、違う。遅かったから心配してた」


 俺がちゃんと帰って来て安心したということか、多分。彼女は感情表現があまり豊かではない。ちゃんとその意味であってるのか分からないんだよな。


 「それは心配をかけた。悪かったな」


 言いながら俺はシルクの隣に座ると優しく頭を撫でる。

 その間に魔力を視ていると護衛がようやく起き始めた。そのついでに幌の隙間から陽の光が差し込み客車の中を明るく照らした。どうやら日の出の様だ。


 「朝になったので出発します」


 御者が言うと馬車が動き始めた。

 しかし、腹が減った。昨日は夜から飯を食っていないし、どうにかして飯を調達しないとな。何かいい方法はないか考えていると袖を引っ張られた。

 顔を向けるとシルクがお腹を抑えて俺を見つめていた。


 「やっぱり腹が減ったか?」


 そう聞くと何も言わずに小さく頷く。本当に御者が近くにいる時には喋らないな。それとも腹が減って話す気力もないのか?まあどっちにしても腹を満たさないとな。

 転移の魔法を使ってどこか適当な店の食料とか盗れないだろうか。やってみよう。

 俺は村が見えるまで魔力の範囲を拡大させる。丁度、朝食の時間なのか家の中を視ると堅そうなパンにスープが2皿あった。俺は皿の下に魔法陣を展開し、俺も自分の手の上に魔法陣を展開する。


 「『転移』」


 そう言うと魔法陣が発光し、光が収まると両手の上にはパンとスープの入った皿があった。


 「よし!成功だ」


 「アクシス、すごい」


 シルクは目を輝かせながら俺に言う。俺は手に持ったそれをシルクに渡す。


 「いいの?」


 「大丈夫だ。それより腹が減ってるんだろ?」


 「ありがとう」


 シルクは皿とパンを受け取る。何もなくなった両手に再び魔法陣を展開して先程の家にあったもう1人分の食事を転移させる。

 御者にバレると面倒なので心の中で「いただきます」と言い、食べ始める。それを見てシルクも食べ始める。

 美味くもなく不味くもなく味は普通だった。ひとまず腹が膨れればいいので味の良し悪しはこの際どうでもいい。

 味の事や今後どうするかについて考えながら食べているといつの間にか食べ終わっていた。横を見ると丁度、シルクも食べ終わっていたのでシルクから空になった皿を受け取り、元の家に戻しておく。

 食事も済んだのでシルクに少し聞きたい事を話す。


 「シルクはスキルとか持ってるのか?」


 「すきる…ってなに?」


 そもそもスキルを知らないか。いや知るはずもないな。記憶が無いらしいし、呪い子(イクス)にそんな事を言う奴もいないもんな。

 それはなら昔テオスから聞いたスキルの確認方法でも試してみるか。

 俺はシルクに顔を向けると小声で伝える。


 「俺が今から言う事をやってくれ」


 「うん、わかった」


 「いいか、まずは人差し指を立てて」


 「こう?」


 「そうだ。それで空中を軽く押す、と出て来るはず」


 今思えば何も考えずに空中を触るだけで水色のパネルが出て来るって不思議だよな。


 「アクシスなんか出てきた」


 「水色のパネルみたいなやつか?」


 「うん、それとなんか『無効化』って書いてある」


 『無効化』ってやつがシルクのスキルってことか。つまり、このスキルがあったから他の子供みたいに感情のない人形みたいにならなかったってことなのだろう。


 「それがシルクのスキルだ。詳細は文字を一回触ると出て来ると思うぞ」


 「わかった。やってみる」


 そう言うとシルクは何もない空中を触っている。側から見たらなかなか不思議な光景だな。


 「出てきた」


 「なんて書いてあるか読んでくれ」


 「魔法とスキルを無効にするって書いてある」


 ザックリしているな。もう少し詳しく書いてあると思ったんだが…いや、俺が直接確認すればいいか。確か人に見せるには…見せたい相手を考えながらパネルを触る、だったか?まあ、なんでもいいや。


 「シルク、俺の事を考えながらもう一回パネルを触ってくれないか?」


 「わかった」


 そう言って彼女が空中を触ると水色のパネルが出てくる。俺はパネルに顔を近づけ、『無効化』というスキルの詳細を読む。

 読むのに夢中で気がつかなかったが思った以上に2人の顔の距離が近くシルクは顔を赤くしていた。

 シルクのスキルの詳細をまとめると、最初にシルクが言った魔法とスキルを無効にする、というもの。ただし身体強化系のスキルなどの自身に影響のないスキルは無効できない。魔法は認識もしくは触れれば効果をなくすことができる。難点として自分が無効化のスキルを持つ者と認識しない限り正しく発動せず、中途半端なスキルになってしまう。

 という事らしい。なかなか面白いスキルだ。自覚しなければ中途半端なスキルになるとはな。

 シルクに記憶が無いのに他のやつと違い喋れるという事はこの中途半端な状態の時のスキルが発動したからなのだろう。あくまで予測だがな。

 つまりはこの首輪がなんらかの力を持っているのだろう。シルクの場合はスキルを自覚させたし、そもそも俺が首輪をぶっ壊したから大丈夫だろう。

 シルクにも自分がどういう力を持っているのか知っておいてもらわないと。


 「いいかシルク。お前のスキル『無効化』だがかなり強い」


 「そうなの?」


 「ああ、もしかしたら俺よりも強いかもな」


 「じゃあ、アクシスの役に立てる?」


 「ああ、俺がピンチの時は助けてくれ」


 「任せて!」


 珍しくシルクが感情が分かり易いものになったな。そんなに俺の役に立つのが嬉しいのか?分からんものだ。まあ、また後で暇な時にシルクのスキルが何処までのものか実験しよ。

 シルクにパネルを閉じさせて馬車の外を魔力を視ながらぼーっとしていた。




 それから特に問題も起こる事はなく5日が過ぎた。呪い子(イクス)の子供もだいぶ増えだいたい20人弱になった。かなりギュウギュウ詰めで狭い。今回はこれで終わりらしいのでこのまま村に行くらしい。話によると今日中には着くとの事だ。

 馬車の揺れにもだいぶ慣れ、酔わなくはなった。しかし今回に限って慣れただけなので次回馬車に乗る時はまた酔うだろう。ていうか、もう二度と乗らねぇ。

 馬車に揺られるだけの時間だけが過ぎていき、体感で約3時間ほど経った。魔力で外を観察しているが森の中は木々が生い茂っており、景色は何一つ変わらない。


 「そろそろ村に着きますよ」


 ぼーっとしていると御者が声をかけてきた。

 そういえば、御者は一度も村の名前を言っていない。言ってはいけない名前なのか?聞いても答えてくれる可能性は低いが一応聞いてみるか


 「ひとつ聞きたいんですけどなぜ一度も村の名前を言っていないんですか?」


 「あれ?説明していませんでしたか?」


 御者は惚けたように首を傾げる。俺は「はい」と答えると、


 「この国ではあまりこの名前を出しちゃいけないですよ。まあ、理由としては呪い子(イクス)が集められている場所を知られないようにすることですけどね」


 「でも、呪い子(イクス)ってこの国では劣等種みたいな感じで蔑まされてるんじゃ無いんですか?」


 「一般の人からは、ですけどね。国の本当の歴史を知ってる一部の貴族や王様は保護したいって事なんだそうです」


  「そうなんですね」


 俺は頷きながら返事をする。

 不思議なもんだ。国の偉い人間は本当の歴史を知っているから俺達を保護するためにわざわざ一個の場所に集めて周りの人間から見下されないようにするってことか。


 「それで村の名前はなんて言うんですか?」


 「マレディクシオン村です。この名前は街中ではあまり出さないようにしてください。噂程度ではありますが、それでも街の方々知っていなすので」


 「大丈夫です。街中に行くことがほぼほぼ無いでしょうし」


 「それも確かにそうですね。…っと見えましたよ」


 御者がそう言って真っ直ぐ先を指差す。俺はその方向を魔力で視ると確かに村があった。かなり大きく人も沢山いる。

 俺は少し胸を躍らせながら馬車の中で待機していた。





 「着きました。それでは後ろを開けるので降りてください」


 御者はそう言うと席を降りて後ろの開ける。そこから続々と感情のない子供達が降りていく。俺とシルクは一番御者席に近かったので降りたのは最後だった。

 客車から降りると村の人達が集まってきた。周りの人を見ると髪と瞳の色は俺達と同じ人間しかいない。なるほど、確かに呪い子(イクス)しかいないようだ。

 周りを見ているとガチャッと何かが外れる音が聞こえた。音の方を見ると御者が鍵を使って首輪を外していた。不思議なことに首輪を外された子供達は静かにはしているものの目に光が宿り、感情が戻っているようだった。

 この首輪はここまで運ぶときに子供が騒がないようにするための道具なのか?よく分からないな。

 そんな事を考えているといつの間にか俺の番になっていた。ガチャッという音と共に二つに外れた。

 全員分の首輪を外した御者は一度馬車に首輪を置きに行き再び戻ってきた。


 「それでは皆さん気に入った子供を連れて行ってください」


 御者がそう言うと大人たちは子供を連れて行く。不思議なことに大人も子供も嬉しそうだということだ。大人はわかる、ただ、なぜ子供が嬉しそうにするのかがわからない。それによく見れば、子供の姿が何処にも見当たらない。もちろん、連れてこられた俺たち以外で、だ。ここに来て分からないことだらけだ。

 観察しながら考えていると服の袖を誰かに引っ張られた。引っ張られた方を見れば、シルクが俺の袖を軽く掴んでいた。


 「大丈夫か?」


 「うん、それでも少し怖い」


 「そうか。まあ、大丈夫だ。俺がいるんだから」


 ひとまず、声をかけて安心させる。そんなやりとりを見ていた六十代後半の老夫婦が俺たちに話しかけてきた。


 「君たちは兄妹かい?よかったら家に来ないか?」


 これはこれは、変に若い訳でもなくこの村のことをよく知っていそうなジジイに誘われてしまった。一瞬ナンパかと思ってしまったが見た感じと優しそうな声だし大丈夫そうだろ。兄妹っていうのも都合がいい。


 「そうです、多分。それと是非お願いします」


 シルクが記憶を失っていることから考えると他の奴らも多分そうなんだろう。という訳で俺も記憶が無いフリをする事にした。

 シルクはやはり一切言葉を発さなかった。


 「じゃあ、自己紹介をしよう。ワシはゴースファータ。こっちは妻のグライジンじゃ。2人は名前は覚えているのか?」


 「はい、それだけは。僕はアクシスです。こっちは妹のシルクです。これからお世話になります」


 「それじゃあ、家を案内するからついてきて」


 グライジンがそう言うと歩き始めた。俺とシルクはその後ろを付いて行く。

 少し歩くと一軒の家の前に止まった。


 「ここがワシらの家だ。今日からここが2人の家にもなる」


 そう言うと玄関を開け、家の中を案内してもらった。俺とシルクは2人で一つの部屋を用意してもらった。そのあとは村を案内してもらい、手続きがあるとかで2人は出て行った。

 2人になった俺たちは外に出て少し村の開けた場所に歩いて行く。


 「シルク、緊張するのは分かるんだが流石に一言も喋らないのはどうかと思うぞ」


 「それは…わかってるんだけど」


 「いいか。信用出来ない奴との会話なら無理にしなくてもいいが、適当に返事くらいはしろよ」


 俺は極力優しい言い方でシルクに伝える。納得してもらえたようでシルクも頷く。そのままそこに座り、そよ風に当たる。肩にコテンっと何かが乗っかった。横を見るとシルクが俺の方に頭を乗せて眠っていた。

 どうしようか、少し行きたい場所があるし…

 俺は少し悩むとそっと動いてシルクを仰向けに寝かせる。そして俺は御者がいる場所へ走って向かった。

 馬車の前まで来るとちょうど御者が片付けを終えていたところだった。


 「あの聞きたいことがあるんですけど…」


 「どうしたんですか?」


 「何故この村には子供がいないんですか?保護を目的とするんだったらこの村では自由に暮らしてもいいんじゃ無いんですか?」


 俺は先程疑問に思ったことを御者に問う。


 「それはですね、昔からこの国の決まりとして定まっているそうです。ですから私には答える事は出来ません」


 「そうですか、分かりました」


 「それでは」


 御者は席の上で一礼をし、そのまま王宮へ帰っていった。

 俺は急いでシルクのところに戻るとそこでまだ気持ちよさそうに寝ていた。俺も彼女の隣に座り、そのまま後ろに倒れ込む。雲一つない青空を見ながら、

 これからはこの村で楽しくスローライフになれば良いな、と思った。

29話目の投稿になります。作者の霊璽です。

今回でひと段落しました。幼少時代はこれで終わりになると思います。まあ、もしかしたら続くかも知れないです。次からは村での生活を少しやりたいと思います。

そして期間が空いてしまい申し訳ありません。熱中症やらなんやらで書けない期間が結構空いてしまいました。次回は極力開けない様に努力します。

それではまた次回の話で…‥‥

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