表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/38

昔々の話

―――父さんが説明するにはこういう事らしい。

 遥か昔、まだ神がこの世界に存在していた頃の話、大体二千年ほど前だ。そこには、各生物の上位種と呼ばれる存在がいたらしい。その存在は、神がこの世界にやって来た時に各生物の原点として最初に作った生物だった。今なお存在してる上位種の事を幻獣と呼ぶそうだ。だが、幻獣はその存在を確認することが出来ず、今や伝承やお伽話の世界でしか出てこない。だが、確実にこの世にいるとされている。

 そしてもうこの世にはいない上位種をイクスと呼んでいる。これってルナが俺の髪の色を見た時に言った単語だよな?まあ話を聞いていればその謎も解けるだろう。よし、話を戻そう。

 もちろん、人間にも上位種がいた。それも6人。人間の上位種は他の種族と比べて数が多かった。普通は2体いるかいないからしい。彼らは自分達の劣等種である人間を作り出した。そして、作り出された人間が二千年という長い期間をかけて繁殖し今の数になったらしい。

 だが、人間の上位種はこの時代には存在していない。その理由は簡単だ。滅びたのだろう。そして、上位種が滅びた理由は、人間が彼らを恨みそれが積み重なって破滅に追い込んだ事が原因らしい。

 彼ら上位種は自分達が神だと偽り、作った人間を奴隷のように扱い自分達は人間から搾取して楽に暮らしていたそうだ。その時の人間の暮らしはかなり貧しかったがそんな事はお構い無しと言った感じに人間をこき使っていたらしい。上位種に良いように使われている事に気が付かなかった人族はそれが当たり前のように暮らしていた。不満に思う者もいたが、逆らったところで殺されるだけなので誰も何も言えなかった

 しかし、その生活に疑問を感じていた6人の人間が彼らを殺す計画を立てた。そして、その日の夜に彼らの寝床に忍び込み殺そうとした。だが、数人の人間の異変を感じていた上位種の何人かが起きており暗殺は出来なかった。暗殺をしようとした6人は顔を隠していたためバレはしなかったが上位種は人族をさら貧しい生活へと追い込んでいった。

 しかし6人の人間は諦めていなかった。彼らは上位種に身体能力では圧倒的に劣っているのでそれを補うため、また対抗するために武器を作り、鍛錬をした。そして約一ヶ月の時を経て武器が完成した。武器としては剣と刀が3本ずつ。ただ普通の剣と刀ではない。それらには特殊な素材が使われているし、大剣や片手剣など長さなど個人に合わせて少し違いがある。現在、その武器の一つである剣が国宝として大事に王国の王様しか知らない部屋で保管されている。そして、6人の人間は一ヶ月の鍛錬である力を得た。それこそがスキルと呼ばれているものだ。スキルと命名したのも6人のうちの1人だそうだ。6人はそれぞれに別のスキルを得たが、基本的には身体能力や五感の強化だった。そして最初は鍛錬をしなければ得ることが出来ない力だったらしい。

 彼らは新しく得た力、『スキル』と武器でまた上位種を殺す計画を立てた。今度は暗殺ではなく正面から堂々と勝負を挑む形で。彼らは上位種のところに行き下剋上を申し込んだ。上位種達は簡単に了承した。ただ、すぐに戦い始めると周りに被害が出かねないということで全員で近くにある何もない平原に移動した。

 平原に着くと上位種と人間で一定の距離を置き戦闘態勢に入る。上位種達は武器を持っておらず、全員が素手だ。人よりも身体能力が高い彼らが人の武器を使えば武器の方が壊れてしまうのである。

 人間の方は各自の武器を鞘から剣を引き抜き、構える。そしてスキルを発動する。まあ、見た目だけでは分からないんだが。しかし、確実に彼らは強くなっている。そして、人間達対上位種達の戦いが始まった。互いに6人ずつなので各自1対1の勝負だ。

 最初こそは上位種が押していたが時間が経つに連れて少しずつだが、確実に人間が押してきている。それでも苦戦を強いられたようだが、自身を強化するスキルがあり、長く上位種にこき使われてきた人間達は体力もあるが、上位種達はそうではない。確かに強いことは強いが鍛錬をしてきていなかった彼らは2日目の夜には体力が尽き、遂に上位種が人間に負けた事で戦いは終わった。そして、上位種達は6人の人間の手によって処刑された。

 その日の朝、上位種を殺した彼らは他の人間に自分達は自由だと宣言し、それから人間の生活は一気に変わった。搾取する者がいなくなった事で貧しかった生活は裕福になり、暮らしも安定した。そして上位種を殺した6人を英雄として祭り上げた。その6人が1人ずつ国を作り王様として世界の平和を維持し続けた。その子孫が今の各王国の王様らしい。

 それからは特に脅威が現れることも無く数年の時は安定した暮らしが出来ていたそうだ。しかし平穏とはそう長く続かないものだ。

 ある日、突然白髪、紺碧の瞳の容姿の上位種に似た子供が世界の各地で稀に現れるようになっていた。そしてその子供達は魔力と身体能力が普通の人間より高かった。彼らは上位種の生まれ変わりだと思った英雄達は彼らを人里離れた辺境の地に隔離し、力の強力な者は処刑をした。更に人間は自分達が上位種にやられてきたことと同じように彼らを蔑み、劣等種などとバカにする始末だった。幾ら身体能力や魔力が普通より高くてもそれを使う者の意識が低ければ想像力が乏しくなり、魔法も弱くなる。そうする事で人間でも勝てるようになる。そして人間達は自分達の方が上だと呪い子(イクス)に思い込ませた。

 そして最後についた呼び名が上位種の呪いを受けた者という事で「呪い子(イクス)」になったそうだ。

 そういった事が二千年もの間、行われて来たのだ。


 そして、現在。俺はベッドの上で王様から昔何があったのかを聞いていた。

 どうやら俺はその話に出て来た上位種と同じ容姿をしているそうだ。つまり、白髪に紺碧の瞳、何よりも普通の人間よりも高い魔力と身体能力。父さんが言っていた先祖返りにも納得がいく。


 「では、僕は処刑されるのでしょうか?」


 疑問に思った事は王様に率直に聞いた。一瞬でその場にいた全員が凍りついた。何かまずいことでも聞いたのだろうか?疑問に思い、周りを見回すと王様が俺に気がつき質問に答えてくれた。


 「すぐに処刑、というわけではない。基本的には話そにも出て来ていたが人里離れた村に行ってもらうだけだ。そこには他にも君のような人達がいるんだ。ひとまずはそこに暮らしてもらう事になるだろう」


 俺は無言で頷き、顎に手を添えて考える。

 なるほど、俺以外にも白髪の奴らがいるのか。それならその村に行ってもいいかな。しかしすぐに処刑はしないって事はいつか殺されるって事だよな。

 俺が黙っていると王様がみんなに、俺以外、部屋から出ていくように言った。そして、不思議に思いながらも父さん達は部屋から出て行った。そして部屋に残った俺に王様が話しかけてきた。


 「君はルナとは友達なんだよな?」


 「はい、多分そういうことになるんだと思います」


 何を聞かれるのかと思えば意外に単純な質問だった。あいつとは友達関係なのかよく分からないからとりあえず適当に返しておく

 そう答えると王様はうんうんと頷いている。そして話の続きを始めた。


 「実はな、今この国のあり方を変えようと思っているのだ」


 「はぁ……。それって因みにどんな事をしようと思っているんですか?」


 「まあ、君には言っても問題ないだろうが決して他言は無用だ」


 「分かりました」


 「今しようと思っている事はこの国の治安の改善だ。お世辞にもこの国の治安はいいとは言えない。領主である貴族達との会議でも、どうも窃盗や人攫いが多くなってきているらしいのだ」


 まあ、確かに俺も前に一人で街に出た時に人攫い的な奴に襲われたな。灰も残らずに燃やし尽くしてやったが。


 「特に呪い子(イクス)が攫われる事が多くなってきているのだ。理由としては人間より下の存在で力が強いからという事があるらしい」


 「そうなんですか?」


 そう聞くと王様が首肯した。そしてまた王様が口を開いた。


 「私達でもこの国にいる呪い子(イクス)全員を把握し切れていないのでな。それらの者達が闇取引でやりとりされているらしいのだ」


 ある程度王様の話を聞いたが、この国の治安が悪い理由が分かった。しかし、人攫いが前に俺を見た時に高く売れると言っていたのはこういう事だったのか。

 しかし、なぜ俺にこんな話をするのか、未だに王様の考えが分からん。よし、聞いて見よう。


 「あの、王様。なぜ俺にこんな話をするんですか?」


 「それはな、君には協力して欲しいからなんだ。実はな今私や君の父上を含む一部の貴族達で呪い子(イクス)に平民と同等の権利、つまり平等権を与えようという話が出ているのだ」


 という事は、俺と同じ見た目つまり呪い子(イクス)は平民以下の扱いって事か。確かに普通の人間を攫って売るよりは罪の意識が低くなる。


 「それで俺は何をすればいいのでしょうか?」


 「ひとまずは呪い子(イクス)達のいる村に行ってそこで暮らしてもらう。そして私達でどうにか他の貴族を説得して呪い子(イクス)達の平等権の話を通す。その後君には君達の権利を示す為に王国立の学校に入学して貰いたいのだが、協力してくれないか?」


 王様が問いかけてくると俺は考えるように腕を組む。

 なるほど、協力とはそういう事か。まあ、学校生活というのも悪くないな。15歳で死んでるから高校生活が出来なかったし。何なら中学校も卒業できてないし。

 俺は王様への返答を決めて腕を組むのをやめて王様の方を向く。


 「分かりました。その話お受けします。ですが王様。約束ですよ?」


 「そうかっ、よかった!ああ、分かっている。必ず君を、いや君達を救って見せよう!」


 「それでは、僕はそろそろ父上達の所に戻ります。」


 俺はベッドから出て部屋の扉へ向かって歩いていく。途中で王様が俺に話しかけてきたので振り向いた。


 「君には一旦苦しい思いをさせてしまうが、こちらも出来るだけ早くこの提案が通るように尽力しよう。それとこの件の事だが君の父上と母上には私から伝えておこう。」


 「ありがとうございます。本当に助かります。それでは、失礼します」


 俺はドアの前で一礼して部屋から出て行く。ドアの前で軽く腕を上げて伸びをする。

 流石に、疲れた。しかし、貴族の意味の分からない勉強をしなくていいのは嬉しい。そして何よりも辺境の地という事は今まで以上に魔法の訓練が出来そうだ。

 王様が父さん達に伝えてくれるっていうし俺は別れの挨拶でも考えておくか。

 俺はそんな事を考えながら父さん達のところに向かう。

19話目の投稿になります。作者の霊璽です。

今回の話は昔まあ大体二千年ほど前の話になります。この話はまた機会が有れば詳しく書きたいと思っています。(外伝的な感じで)

まあ、次回からアクシス君がどうなって行くのか楽しみにしていて下さい。

後、投稿が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。気長に待ってもらえれば嬉しいです。

それではまた次回の話で(次回は二十話だよ!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ