ついに王宮へ!
部屋に戻ってとりあえず、椅子に座る。
「はぁ、疲れた〜」
思わずため息と疲れが口から出てしまった。肉体的にはそんなに疲れてはない。バカ神( テオス)が無駄に俺を強くしたからな、体力もかなりあるようだ。今回の疲れっていったら精神的に、だな。王都の人間がどれ程強いのか、それと変な奴がいないかを警戒しながら行動していたから結構疲れた。俺は窓を開けて外を見る。太陽のの位置からして昼を少し過ぎたくらいか。夜会にはまだ時間があるし、昼寝でもするか。そう思いベッドに移動し横になった。疲れていた事もあってすぐに眠りについた。
* * *
今日はアクシス様と一緒に王都に行ったのですが、最高でしたね!アクシス様と手を繋ぐ事ができるとは思いませんでした。思い出すだけで今も顔が緩みそうになってしまいます。
しかし、まさか転移魔法をお使いになるとは…あの年で魔法を使える事自体普通ではあり得ないことなのですが、一体どこで覚えたのでしょう?とりあえず、ご主人様に報告しておきましょう。アクシス様には、内密に、と言われましたが流石にこればかりは黙ってはいられませんからね。私は、ご主人様の部屋の扉をノックした。
「入れ」
「失礼します」
「リリアか、どうしたんだ?アクシスと王都を周っていたんじゃないのか?」
「はい、アクシス様が十分満足されたので戻って参りました。それで、少しお話しがあるのですが、今はお時間は大丈夫でしょうか?」
「ああ、問題ないぞ、どうしたんだ?」
「アクシス様が魔法をお使いになりました。それも転移魔法を…」
「なんだとっ!それは事実か!?」
「はい、私も一緒にアクシス様と転移でここまで帰ってきましたので」
「そうか!やはりアクシスは天才だ!私の剣技も一度手合わせしただけで習得してしまうぐらい天才なのだ。魔法はシイラが教えていたが、まさかもう使えるようになるとは…しかも転移魔法か…」
「ご主人様、この話をした事はアクシス様には内密にしておいて下さい。アクシス様には誰にも言うなと言われておりますので」
「わかった。報告ご苦労であったな」
「それでは、失礼します」
私は、ご主人様に一礼をして部屋から出て行った。そして自分の部屋に戻り、椅子に腰をかけました。「はぁ」と軽いため息をついてしまいます。アクシス様、大変申し訳ございません。アクシス様との約束を破ってしまいました。心の中で謝罪しておきます。しかし、普通に魔法を使っていました。前から奥様に教えてもらってはいたらしいのですが、まさかあそこまで使えるとは思いませんでした。
ひとまず、夜会まではまだ時間はありますし、アクシス様が何かしたい事はないか聞きに行きましょう!
私は、椅子から立ち上がり、部屋を出て、アクシス様のいる部屋に向かった。
アクシス様の部屋の扉の前に立ちノックをした。しかし、返事がないです。少し…ほんとに少しですよ?心配なので中を覗いてみます。
「アクシス様、入りますよ」
部屋の中を覗いてみると、アクシス様がベッドの上で寝ておられます。私は、この時二つの気持ちが浮上してきました。一つ目は、このまま自分の部屋に戻ること、二つ目はアクシス様に近寄ってお顔を拝見すること。どちらにしましょう?と私は1分ほど悩んで結論を出します。
悩んだ結果、近づくことにしました。だって、寝ているのですよ。普段は、メイドとしての仕事をしているのでアクシス様に近づく隙がないのです。なので、今なら近づいても大丈夫でしょう。
私は、アクシス様の寝ているベッドに近づきました。すうすうと寝息をたてて寝ている姿を見ると、とても癒されます。なんて可愛いのでしょうか、この世のものとは思えませんね!
「はぁ、可愛い…」
思わず言葉が口から出てしまいました。これは、ずっと見ていられます。しかし、もうそろそろ今夜の夜会の準備をしなくてはなりませんから。
くっ、いやです。ほんとは離れたくはないです。しかし、そんな悠長なことは言ってられませんからね、最後にアクシス様の寝顔を脳裏に焼き付けてアクシス様の部屋から出て行きます。私は小さなため息をしながら自分の部屋に戻りました。
* * *
「ん、ふわぁ〜あ。ああ、よく寝た。今何時くらいだ?」
ベッドから降りて窓を見るともう日が沈みかけていた。多分、四時くらいだろう。そしてなぜこんなにあやふやなのかと言うと俺の部屋に時計がないからだ。それより、そろそろ王宮の夜会の時間じゃないのかな。そんな事を考えていたら、部屋の扉がノックされた。はい、と返事しながら扉を開けると、リリアが目の前に立っていた。
「おはようございます、アクシス様。そろそろ王宮に行く時間なので起こしに来ました」
「ちょっと待ってくれ。なんで俺が寝てたって知ってるんだ?俺は誰にも寝るなんて言ってないぞ」
「そ、それは、先程お部屋をのぞいた時にベッドの上でお休みになっていたので…」
言い訳を言ってはいるが声がどんどん小さくなっていくので最後の方は聞き取れなかった。表情もいつもより少し暗い。しかし、そこまで申し訳なさそうにしなくてもいいのに。とりあえず、怒ってない事だけ伝えよう。
「別に怒ってるわけじゃないから。ちょっと不思議に思っただけで。それより、そろそろ王宮に行く時間なんだろ?じゃあ、早く行こう」
「はい、承知しました」
リリアはそう言って部屋から出た。俺もその後に続いた。準備はリリアや家の使用人達が全て済ましてくれてるはず。俺はリリアに着いていき玄関ホールに向かった。
玄関ホールに着くと父さんと母さん、その他にも使用人達がいた。さすが、王宮の夜会ってだけあって二人ともいつもと違うな。父さんは燕尾服、母さんは青のイブニングドレスを着ている。
「おっ、やっと来たか、アクシス」
「すいません、父上。王都を観光した後疲れて寝てしまいました」
「いや、気にするな。夜会なのだから夜遅くまでいる可能性もある。途中で眠くなったら大変だからな。疲れは取っといた方がいい」
「はい、それでもう出発するんですか?」
「ああ。だが、その前にお前の服装をどうにかしないとな。リリア、アクシスを正装に着替えさせてやってくれ」
「はい、承知いたしました。それではアクシス様、こちらに来て下さい」
そう言われながら俺はリリアに連れてかれた。返事をする間もなかった。確かに格好は夜会っていうかパーティー向けの格好はしてないけど…そんなに引っ張らなくたっていいんじゃないですかね。そう思いながら、俺は着替えるための部屋に連れてかれた。
十分後
俺は、また玄関ホールに来た。今度はちゃんとした服装で。ちょっと首元が気になるし、まあ着慣れないなぁ。
「あら、アクシス、似合っているじゃない」
「そうですか?どうも着慣れないです」
母さんと話していると執事と話し終わった父さんがこっちに振り向き、口を開いた。
「よし、全員揃ったな。それじゃあ、出発するぞ」
父さんがそう言い、玄関ホールを出て門の前に止まっている馬車に乗った。今気づいたのだが、一緒に行く人が、父さん、母さん、俺、そしてリリアだという事。多分、リリアは俺の監視役だろう。しかし、リリアが一緒に来るとは思わなかった。
そんな事を考えていたら、馬車が出発していた。夜会ってどんな事するんだろう?やっぱ、踊ったりするのかな。いや、でもそれは舞踏会か。じゃあ、夜会って何すんだ?まあ、いいか。現地に着いてからのお楽しみって事にしよう。
そんな事を考えていたら、いつの間にか馬車が止まっていた。
「アクシス、王宮に着いたぞ」
「あ、はい。今行きます」
俺は馬車から降りると目の前には、いかにも中世ヨーロッパの宮廷って感じの城があった。ただ、周りは鉄格子の柵に囲まれている。辺りは薄暗くなってきており、城の照明などの光でキラキラしている。
俺は、初めて見た王宮のあまりの大きさにただ圧倒されていた。呆然としていると、父さんに呼ばれた。父さんの声がする方を向くと。いつの間にか父さん達は門の入り口に立っていた。
「アクシス、早くしないとお前だけ中に入れないぞ」
父さんは少し笑いながら、俺に言った。俺は、「すぐ行きます」と言い、父さん達のところへ小走りで走って行った。
13話目の投稿です。作者の霊璽です。
今回は、リリアがメインで書きました。誰も知らないリリアの一面を前面に出した感じの話になってます。そして今回の話では、ついに王宮に着きました。次回から夜会の話になると思うのでお楽しみに、ですね!
それでは、また次回の話で……




