ガサキさんはヒロインになりたくない
龍城ヶ崎玉藻の前は困惑していた。
「え?」
「うん、幾久しく!」
父と母を説得するのに一月。そしてなんとか転校出来ることは出来たが友人である千城島薫とは違うクラスだった。
「えっと、私はどうすればいいのでしょう?」
「首を縦に振って承諾してくれれば嬉しいかな。」
「はいこれで宜しいでしょうか?」こくり
言われるがままに首を縦に振ってしまう。
「あの.....なぜお手手を繋いでいるのでしょうか?」
「手を繋ぎたいから?」
「あの、お二人方の顔が物凄く怖いのですが?」
「気にしない方向で行こう!」
「いえいえ!物凄い形相で間に挟まれているのですが!」
「気にしない気にしない。」
手を離しガサキさんから離れる。
「ちょっと、どこ触って!やめ、ん!」
両者から脇や腰回りを突つかれまくるガサキさん。
(よし、今のうちに逃げよう。)
ガサキさんをその場に残し教室を後にするのだった。
「うわ、モテ男が来たよ。」
屋上についてみれば親友である山田が横になり空を見上げていた。
「屋上は鍵がされてる筈だけど?」
「鍵屋の息子にこんな南京錠が解けないと?」
山田の家系は代々鍵屋で、廉太郎も家を継ぐと聞いている。
「隣、座るよ。」
「いやだよ、どっか行けよ裏切者。」
「裏切者って酷いな。」
山田は苦笑を浮かべ視線を空に戻す。
「山田、俺はどうすればいいと思う?」
「俺に聞くなよ、そんなこと。」
「いや、普通こう言う事って親友に聞くよね。」
「親友だったけ?」
「酷いな、はは」
山田は目を閉じると此方へと身体を倒し目を開く。
「まぁお前さんが夜桜の事を前から好きだったのは知ってる。けどよ、彼氏作って実は自分の事が好きでしたって言われてもふざけんなって気持ちしかわかないわな。」
何かをいい返そうとするが言葉が出ない。
「確かに告白しなかったお前や夜桜にも問題はあるけど、やっぱり違う男を作るってのは、な。」
童貞らしい考え方だが一理ある。
「千城島も千城島だ。あれは夜桜に対しての対抗心と.......」
「あれは対抗心ってより..... いや、なんでもないよ。」
山田の言葉が止まり口を開ける。
「おまえ......もしかして素顔を見られたのか?」
「うん。」
山田は声高らかに笑う。
「はは、だからあんなにお前さんに入れ込んでんだな。」
納得した様子の親友の笑みに思わず自分も口元が緩む。
「ねぇ、俺は親友エンドでもいいと思ってるんだけど?どうかな。」
「俺はホモエンドはゴメンだね。お前さんがTSして美少女になれば話は別だけどさ。」
「美少女になったら山田に変な事されそうで嫌だな、はは。」
何故ハーレムものの主人公はモテて尚も親友の男とつるむのか?答えは簡単だ。
「やっぱり友達といたほうが落ち着くよね。」




