夜桜月花(8)
「さて、アロマの設置も完了したし_________後は飲み物に精力剤を投入するだけ。」
キッチンにて野獣が如き眼光を見せる夜桜雅。
「ただいまー!」
すると年の離れた妹が帰ってきた。高2の自分に対し妹は小学2年生。
(嘘.........なんで?今日はピアノのお稽古の筈なのに!)
歯軋りをしながらリビングにて姿を見せる妹へと身体を向ける。
「月花、ピアノのお稽古はどうしたの?」
「今日はお休みだってー」
最悪だ.........せっかく彼とハッスル出来ると思っていたのに。
(待って、もしかして友達との約束を取り付けてるかも)
「友達と遊びに行く約束とかした?」
「ううん。今日は家でごろごろするー」
「でもせっかく晴れてるのに勿体ないよ?」
「じゃあお姉ちゃん、お買い物に連れてってよー」
ぐっ、そう来たか......
「ごめんね、今日は私も遊ぶ約束してるんだ。」
「もしかしてお兄ちゃん!!」
「.............「月花も一緒に遊ぶー!」
いやぁあーーー!!ふたりきりでいちゃいちゃ出来ないじゃん!だってこの子は______
ピンポーン
「お兄ちゃんが来たんだー!月花出るねー!」
「あ、待って!」
私がお出迎えしたかったのにぃ!
「お兄ちゃん!」ダキ
扉を開けると勢いよく抱きつく幼馴染(妹)。
「_____月花、久しぶり」
「もう、なんで一ヶ月以上も月花に会いに来てくれなかったの!」
頬を膨らませぷんぷんと怒った様子を見せる幼馴染妹。ちなみにだが月花の読みはゲッカである。
「あはは、ちょっと忙しくってね。」
「寂しかったんだからね٩(๑´0`๑)۶」
抱きつく月花の頭を撫でてやる。
「ごめんごめん」
「許さないんだから!絶対に将来、月花が大きくなったらお嫁さんにしてよね!」
「大きくなってまだ俺の事を好きでいてくれたらね。」
それを聞いた幼馴染妹は笑顔を浮かべ、抱き締める力が強くなるのだった。
「約束破ったらお尻の穴から針千本のましまーす!」
いや、それかなりエグいからね.......
「こーら!月花、そんな約束しちゃお兄ちゃんだって困るでしょ?」
「お兄ちゃんは困ってないもんねー」べー
幼馴染さんはぷるぷると震えていた。
「月花、残念だけどお兄ちゃんとの結婚の約束は出来ないの。だって私と結婚するんだもん。もちろん、結婚式には呼んで上げるから私達の晴れ姿は是非見に来てね。」
「あぁ〜あ、お兄ちゃんが可愛そう。こんな愛が重い人に付き纏われて疲れるに決まってるよー。でも安心だね、お兄ちゃん。月花ならどんな事をしても許して上げられるよぉ?浮気以外なら、ね。」
あぁ姉妹って似るものなんだなぁ.....(遠い目)
「ぐっ、だから妹が家にいない時に誘ったのにぃ!!」
地団駄を踏み、恨めしく妹を睨む。反対に妹は余裕をもった表情で引っ付いていた。
「ねぇお兄ちゃん、月花のお部屋に行こうよ?」
くいくいと裾を引っ張られる。可愛いな、畜生。
(___________やっぱり小学生は最高だぜ!)
幼馴染がグググと恨めしく此方を見るが、流石に約10歳も年の差があると強くは出られないらしい。
「月花の部屋に入るのは初めてだよね?」
扉のドアノブへと手を掛けると神妙な面持ちになる幼馴染妹さん。
「うん、そうだね。」
「お兄ちゃんは驚くと思うけど.........月花のこと、嫌いにならないでね?」
......8歳の少女が其処まで言う部屋とはどのような部屋なのだろうか?
1、ぬいぐるみに溢れた部屋
2、ピンク一色の可愛いらしい部屋
3、禍々しい何か見てはいけないものを内包した部屋
是非とも選択肢一番であって欲しい!
「もちろんだよ、月花。」
優しく頭へと手を置くとえへへと可愛らしい笑顔を浮かべる。
「じゃあ、開けるね。」




