女王サマと顔合わせ
50話目です。約束通り新作を投稿いたしました。作者のページから読めるので良かったらそちらも見て行ってくださいませ。
「そーいえばレギーナのステータスを確認してなかったな」
何やかやで後回しにしてたよ。どれどれ…?ほうほう、ステータス傾向としては知力と敏捷が高く、技量が若干低めと言った感じだった。なるほどなるほど…スキルの方はどうかな?
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スキル
《飛行Lv.6》《劇毒針Lv.7》 《統率Lv.1》 《眷属召喚Lv.5(30/80)》《女王の威厳Lv.1》《人化Lv.3》
称号
《突然変異》《恋の奴隷》
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《飛行》はレギーナの方がスキルレベルは高いんだ。普段から飛んでるからかな?一体どの位飛べるんだろ。要検証、っと。
で、《劇毒針》…例のレシピのオリジナルか。効果は『確定で毒、麻痺、出血の内一つの状態異常付与&確率で毒、麻痺、出血、壊死、倦怠、撹乱、脱力の状態異常をランダムに付与(重複はしない)』か…強すぎだ。確定で状態異常を喰らう上、それとは別に状態異常の付与判定が来る。しかもこれ、『数を限定してない』から、下手すると最大で8個状態異常を喰らうことになる、と…うん、ヤバい。
それから《統率》…これはパーティーメンバーへの常時バフか。今は全ステータス1.1倍と控えめだけど、限界まで育てればかなり強いスキルになる筈だ。次。
《眷属召喚》は…『眷属を呼び出す。スキルレベルで呼び出し上限が変動』…どーいうこっちゃ。と言う訳で。
「レギーナ、もう起きてるでしょ?」「…ギギ」
バレちゃった、みたいなニュアンスの声(?)と共にレギーナがベッドから静かに飛び立つ。着陸地点は僕の頭。そんなにソコが気に入ったのかな。ちなみにレイは未だ夢の中。まあそれはともかく。
「レギーナ、ちょっと《眷属召喚》を使ってみて。一度どんなスキルか見ておきたい」「ギィ!」
まっかせて!と言わんばかりに彼女が脚の一本を振り上げると、その瞬間何もない空中にいきなり穴が空き、そこから大小の蜂が数匹現れた。なるほど、働き蜂は彼女の眷属なのか。…考えてみれば当然か。
「ギィ、ギギ」「「「「ギュギィ〜」」」」
一番最初に現れたひときわ大きな個体が軽く脚の一本を上げると、彼女に付いてきた数匹の小さな−とはいえ普通の蜂の数倍はある−蜂たちが僕に向かって飛んで来てそのまま肩やら腕やらに次々止まった。不思議と『親愛』の感情を彼女たちから感じるし、肩に止まった子が顔を擦りつけたりしているからされるがままでいられるけど、虫嫌いの人達だったら強制ログアウトモノだろうな。多分 《テイム》のお蔭だろうか。意思疎通をサポートする的な。
「ギィ!ギィギギ!」
レギーナが何を思ったのか、前脚でバッシバッシと僕の頭を叩きながら唸り声を上げる。イテテ。
《くぉらぁー!なぁにワタシの御主人様に馴れ馴れしくくっついて、ちょっとは女王たるワタシに遠慮とか無いの?!てゆーか肩に止まるなんてズルいズルいずーるーいー!今スグそこを退きなさい!いや、退けぇぇぇ!》
…なんだ、今のは。
《大体なんで御主人様も無抵抗なのよ!もしかしてアレなの?!ドMなの?!こんな毒虫共に集られても動じないなんて!ムキャー!》
《お嬢様、それを言うのであれば貴女もその毒虫です。そして思念が漏れてます》《ふー、ふー、はぇ?》
なんか、唐突に声が…
《…ごめん、ちょっと思考止まってた。…うん、大丈夫。ワタシは大丈夫。何も問題無し…よし、準備出来たからもう一回さっきの言って》《承知致しました。お嬢様、『思念が漏れております』》《…》
頭に響く声は、全て女性の声だった。その中でも特に大きな声は、頭の上のレギーナの動きと連動して…
「…」《…》
沈黙。声が消えるとともに頭の上でガサゴソバタバタ動いていたテイムモンスターの動きが止まる。そして数秒後、僕はおもむろに頭の上に陣取るレギーナの身体を掴んで持ち上げた。
《??!》
何やら声にならない叫びが脳を駆け巡るが、そんな事はお構いなしにジタバタもがくレギーナを顔の正面に持っていく。
「…」《あ、え、あうぅ…》
真っ向から彼女を見据える。視線を逸らそうにも、もがこうにも、4本の指と数本の血の触手で身体をガッチリ固定され、残りの親指2本で顔を両サイドから押さえつけられた彼女に出来る事は、自分の主人の顔を、自身をガン見する黒い隻眼を、そのオレンジ色の複眼の全てで余す所なく見つめる事だけだった。
「…今のは、君だね」《は…はいぃ…》
やっぱりレギーナだったか…それならそうと言えばよかったのに。
「どうして話せる事を黙ってたのかな?」《そ、れは…その…そんな事出出来るなんて知られたら、気味悪がられると、思って》
…彼女が話す度に、彼女の身体の震えが強くなる。…すこしイジメ過ぎたか。
「そんな訳無いでしょう。大体、僕がその程度で君達を恐れるような輩なら、君達は此処にはいない」
そも、ゲーマーやフィクションに触れたことのある者ならモンスターが喋った所でいちいち動じないだろうし。そんな事を考えながら、彼女の頭を撫でる。すると、
BOMB!
軽い破裂音と共にレギーナが白い煙に包まれる。…って重っ?!いきなり重くなったぁ?!これってまさか…!
「ほんとに…?ほんとに、ワタシのこと嫌わない?」
…白煙が霧消する。僕の手の中にいたのは大きな女王蜂では無く、黄色と黒のワンピースを着て、その橙の目元に涙をためた大体120cm位の少女だった。
ぐすぐすと目を擦る少女を膝に乗せ、お付きと思しき大きな蜂の話を聞く。
《私達がこの様に貴方様と会話出来るのも、偏にお嬢様の《人化》スキルに因るものです》
そもそも、《人化》はこの様にモンスターを人の姿に変じるだけでは無く、変身前でも念話と言う形での意思疎通を可能にするスキルであった。
「そこまでは僕も見たから知ってる。でも君達までそれが波及するとは説明には書いてないよ?」《ええ。ですがそこで《眷属召喚》の効果が顕れるのです》
???どういう事?
《今、お嬢様と貴方様とは《テイム》という『契約』によって精神的、魔力的に経路が繋がっている状態にあります。そしてお嬢様と私達は主とその眷属という関係…即ちこちらもこちらで魔力的経路が成立しているのです。故に貴方様とも間接的とはいえ経路が繋がった、と言う訳です》
そうか…レギーナが中継器の役割を果たしている訳か。
「…なんか悪意のある言い方」「そうかな?」《ええ、気のせいですよお嬢様》
レギーナのサラッサラの黒髪を軽く漉きながら、話を続けるよう促す。
「それで、君達は僕にとってどういう扱いなのかな?」《恐らく、通常のテイムモンスターとは違う扱いになるかと。例えば、お嬢様は死んでも復活出来ますが、私達はそうではありません。これは私の推測ですが、私達はお嬢様の装備品、あるいは装飾品の様な扱いなのでしょうね》
はぁぁ……なるほど。てっきり復活可能かと…そんなにうまい話はない訳か。それじゃあ、君達は何が出来るの?
《基本的には貴方様やお嬢様の戦闘の補助となります。私達もそこそこ戦えますし、イザとなったらお嬢様のステータスやスキルを一時的に借り受ける事も可能ですので》
マジすか。
《ええ。《我らが王の威光》というスキルです。最も、使用中はお嬢様がすごく弱体化されるのであまり使いたくはないのですが》
そうなのか。それじゃ、最後の質問といこうか。
「レギーナは《人化》スキルを最初から持ってたけど、あれはこの子だけなのかな?」《いいえ。私達の女王は常に《人化》スキルを所持した状態てで産まれてきます》
…またわかんなくなった。あれってユニーク的な奴じゃないんだ。
《左様でございます。というのも、》「待って…そこから先は、ワタシが話す」
レギーナが彼女の話を遮ると同時に僕の膝から降りる。その目は真っ直ぐ僕を見据えていた。
「あのね、女王がなんで《人化》を持ってるかって言うとね、その…えっと…」
あー、言い難いなら言わなくても…無理して聞き出したい訳でも無し。
「うう…そうじゃなくて…ワタシ達の種族って、メスしか産まれないの」
そうなの?!知らなかった…じゃ、子供は皆無性生殖なのか…
「違うの…」
…ゑ?
「女王が《人化》を持ってるのはね、その…人間のオスと交わって…子供を作る為なの…」
………………………デジマ?!
《マジです》
唖然とする僕に向かって止めを刺す働き蜂筆頭(仮称)。だが無慈悲なのはここからだった。
《つまり貴方様はお嬢様の番。…期待しておりますので》「ナニを期待してるのかなキミたち?!」
顔合わせはこんな風にカオスに満ちた物となった。が、その間レイは全く目を覚まさなかったという…
「あ、それはワタシが毒液叩き込んだから」「何やってんの君」《流石お嬢様。早速ライバルを蹴落としに掛かったのですね》
アハハ…まぁ、よろしく頼むよ、みんな。
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