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闇に紛れて

45話目です。


やっぱり駄目だった…投稿ペース、週1位にしたいな…

 「それじゃあナオミさん。貴女は何故僕を尾行するようなマネを?」


 僕がインタビュー(尋問)を開始すると、彼女はピクリと体を震わせる。


 「は、はい…あたし、リアルでいろんなところを探検したりするのが好きで、電脳世界(こっち)でも似たような事してるんです」

 ほうほう、それで?


 「それで、このイベントでもマップ埋めたり廃墟探検したりしてたんですけど、いくつか不審な点があって…それを調べてるうちに、島の護り神について辿り着いたんです」


 ふーむ…すごいなこの人。聞いたとこ住民から情報提供を受けた訳でも無いのに、自分の足だけでそこに行き着いたのか。でも、それと僕を尾行したことと何の関係が?


 「ええと、たまたまです」

 「…シュウ…!(特別意訳:…もう一回いっときますかこのストーカーが…!)」


 こら。ナオミさんが怯えてるでしょ。ごめんなさいね、ウチの子が。


 「す、すいません。でも、実際そうなんです」

 

 彼女曰く、僕を見つけたのは本当に偶然だったそうで…護り神の情報に辿り着いた後に、「森の中に現れる少女」の噂を聞いて恐らく何か関連があるか、もしくはその少女が噂の護り神サマではないか、という事までは短時間で推理出来たはいいものの、その中心点である少女とは接触できなかった。で、行き詰っていた彼女の前に現れたのが僕というわけ。


 「ごめんなさい。たまたま食堂でご飯食べてたら後ろから話が聞こえてきて…そんなつもりは無かったのに…」


 そう彼女は頭を下げるけど、「別に謝らなくても。盗聴されると思って無かった僕が迂闊だっただけで」むしろ、あの会話から僕が少女に会ったと推測できる人はそういないと思うな。あれ?そう考えると彼女って実はすごい?


 「いずれにせよ、その事はまだ秘密にした方がいいと思う…多分」


 何しろ、相手の目的も実体も不明なのだ。もし彼女が本当に何らかの形でイベントに関わっていて、それが多くの人々の命を左右するとなると、このタイミングで情報公開した所で無用な混乱を招くだけだろう。少なくとも、はっきりしたことが分かるまで伏せておくべきだ。


 「ですね。まだ分かんないことだらけですし…あ、それについてなんですけど、この先にちょっとした廃墟があるんです。そこで色々興味深い情報(テキスト)があったんですが…行きます?」


 行きますとも。男の子はいくつになっても冒険好きなんですから。でも…


 「こんな所まではるばるやってきたお客さんを、もてなさないのは流石にマナー違反でしょうね」「?」


 ナオミさんは不思議そうな顔をしていたけど、レイの顔からはさっきまでの不機嫌そうな表情が消え失せ、盛んに舌を出し入れして警戒していた。


 「あの~…何が」「シッ。誰かいます。恐らく声は距離的に聞こえてないと思いますが、それでもこの状況でじっと動かず気配を殺しているのはおかしい。十中八九こちらを伺っているとみて良いでしょうね」そう断言すると、彼女のいる方向からくぐもった悲鳴のような声が聞こえてくる。見えないことに対する恐怖もあるだろうに、とっさに自分の口に手を当てていたようだ。


 (ど、どうすれば…)ナオミさんがコソコソと声を抑えながら身を寄せてくる。(そうですね…取り敢えず、出迎えましょうか)(へ?)間の抜けた声を出した彼女を尻目に、インベントリから戟を取り出して…投げる。どこへ?勿論、こちらをチラチラ窺ってくる不届き者のいるところへ。


 ドゴォ…ン…!「む、外した」ま、最初から避けられるかなーとは思ってたけどね。さて、どう出る?


 そう僕が身構えた数秒後、礼とばかりに数十個のナイフがこちらに向けて飛来してきた。「ま、全部叩き落すんだけどね」即座に《アームズチェンジ》を発動。手がヌンチャク(フールミネ)の重さを実感した0.5秒後には、一方の棒を軸にして回転させ、もう一方の棒で即席のシールドを形成していた。


 (これは…牽制…かな?)足下に散らばったナイフを見ながら、僕はそう判断した。あと多分、抗議も含めてるんだろうな。(さて、どうするか)12時の方角から急速に誰かが近づいてくる。多分、怒ってる。どうしよ。


 一人なら逃走も視野に入れる。でもナオミさんがいることを考えると…

 「迎撃、かな…」思わず心の声が漏れたその時。


 「あ、あの…良い方法があるんですけど…」




 数秒後。その場に姿を現したのは、身長150㎝位の、フードを目深に被った人影だった。その手には十手のような形をしたナイフが握られている。人影はその場でキョロキョロ辺りを見回し、目当ての誰かがいないと見るや、マップを確認し、それと思しき反応を見つけると、口の端を吊り上げてその場を去っていった。


 その、数十秒後。


「やれやれ…」


 木の葉と土煙を巻き上げながら、ベディが地面から現れた。

 

 「思ったよりあっさり騙されてくれましたね」


 服についた砂を払い落としつつ、ナオミもその場所に現れる。


 「そうですね。それにしても、それが派生スキルですか」「ええ。でも、適当にスキルを取ったらこうなっただけですよ。それに、まだ完全に使える訳じゃないし」


 彼らが追跡者の目を欺いた方法。それを説明するためには、このゲームのスキルについて説明せねばならない。


 このゲームでは、プレイヤーはジョブを選択し、ジョブにあったスキルを選択して成長させ、それにあったステータスを育成するのが定石である。だが、スキルが成長する際、選択したジョブや今までのプレイスタイル、果ては個々人の特殊技能によって今までに無いスキルやジョブが誕生することがある。これをプレイヤーはまとめて《派生》と呼称している。


 今回使用されたのは、ジョブ《スカウト》もしくはその派生ジョブの《忍》のプレイヤーが一定回数『姿を隠す』《隠行》スキルを自然環境の中で使用したことで発現した《隠れ身》スキルである。ちなみにナオミはまだ《忍》ではないので、使えるアーツは《木の葉隠れ》ただ一つである。


 「その一つが強力なら今はいいでしょう。『姿を隠している間、敵マップ内にダミーの反応を出現させる』…これだけでも十二分に強力です」


 そんなことを話しながら、二人は歩き出す。ナオミが示した、この島の護り神についての手がかりがあるかも知れない場所へと。

いかがでしたでしょうか。皆様の応援が作品の養分となります。よかったらブックマーク等して頂けると幸いです。

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