口は禍の元。もしくはフラグとか、言霊とか。
39話目です。えらく間が開いてしまいました…申し訳ない。リアルで忙しかったのと、インフルエンザ(2回目)にやられていたもので…
「うあー…」ようやく終わった…予想の斜め上のオチだったけど…まあ、もう声を掛けられる事は無いからいい、のか…?
〈一時間前(ゲーム内時間)〉
結局、あの三人はなかなか自分たちの負けを認めようとしなかった。それどころか、「あいつはチーターだ、だから自分たちのような懐の深いギルドしか入るところがないだろう、だから来い(意訳)」という謎理論を展開して譲らなかったのだ。
「はぁ…」処置無し、と言ったところかな…とぼんやり思いだした頃。
「おぉう、お前ら何やってんだぁ…?」気炎を吐いていた3人の後ろから、低く唸るような何者かの声と、何か金属を地面にこするような音が聞こえてくる。その途端、彼らの動きがピタッと止まった。
「レ、レキさん…」「応、俺だぜ…」レキと呼ばれた、全身の至る所に鎖を溶接した重装鎧を身に纏っていた男は、ゆっくりと得物と思しき所々歪んだ片刃の大剣を引き摺りながらこちらに近づいてくる。
「手前ェ等…見てたぞ…具体的には最初からな…確か俺ァ言ったよな…強引な勧誘はギルドの『格』を落とすと…何か?手前ェ等、俺の顔に泥塗る気か…?」「い、いえそんなつもりは…」
「チッ…まあいい。手前ェ等への処分は追って伝える…分かったらとっとと消えろ…これ以上は俺の堪忍袋の緒が持たねェぞ…?」「ヒィ!わ、分かりました!すぐ立ち去ります!」そう言うなり3人は回れ右したかと思うと、あっという間に走ってその場からいなくなってしまった。…あの速度を出されていたら負けてたよ…
「全く…悪りィな、兄ちゃん。うちのボケ共が申し訳ない…あのボケ共は前々から発言力目当ての悪質な勧誘でウチの上層部でも問題になっててな…今までは俺たちの見えないところでコソコソやってたようだが…これだけ証人が居るところで、しかも俺の目の前で仕掛けたんだ、もう見逃さねェ…奴らは追放処分にする…だから、今回はそれで手打ちって事にしちゃあくれねェか…?」淡々とそう告げると、彼は僕に向かって深々と頭を下げた。
「…分かりました。謝罪を受け入れます。だから、このようなことはこれっきりにしてください」あまりに大事になるのは僕も望んでないし。これ以上面倒な事にならないのならそれでいいや。
「済まねェ…兄ちゃんの事はウチでも注目しててな…もう少し順を追ってスカウトする手筈だったんだが…この分だと望み薄だな…」「ですねぇ。最近はこんなんばっかなもんで…こんな思いするなら今後『ギルドには入らない』って宣言した方が良いですかねぇ…ハァ…」
…正直、この時は本当にうんざりしてたんだよ。だからぽろっとこんな言葉が出てきちゃったけど、まさかあんなことになるなんて…
《誓約が成されました》
…ん?何だ今のアナウンス。…気のせいかなんか嫌な予感がするんだけど。
だが、無慈悲にもその予感は的中する。
《ギアススキルスロットが解放されました》
《誓約《破れぬ誓い》が発現しました。ギアススキルスロットに配置されます》
《スキル《宣誓》を習得しました。サブスキルスロットに配置します》
⦅ギアスを宣言したプレイヤーが現れました⦆
…もはや何も言うまい。次々鳴り響いたアナウンス。しかも最後の、ワールドアナウンスじゃないの。そんな大々的に宣伝するようなことしたのか?
「…今なんかしたか?」「…多分」嫌な予感がするなあ…ちょっとヘルプページ(最近存在を知った)で確認…あ、件のギアス何たらが追加されてる。何々…『ギアススキルスロット:宣誓によって行われた誓約を収める場所。Lv.が20の倍数になるごとに一つスロットが増える。基本解除不可』
『基本解除不可』…『解除不可』…(オイちょっと待て、もしかしてこれって…)あまりにも不穏きわまるその一文の放つプレッシャーに負けた僕は、慌ててステータスを確認すると…
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Name:bedi 性別:男性
Lv.11
種族:ヴァンパイアロード
状態:健康
1stjob:ランサー Lv.2
2ndjob:鍛冶師 Lv.2
⋮
メインスキル:残り枠0
《槍術Lv.1》《格闘術Lv.1》《鑑定Lv.3》《闇魔法Lv.3》《操血Lv.3》《従魔術Lv.1》《高速機動Lv.1》《隠密行動Lv.1》《料理Lv.1》《霧化Lv.1》《飛行Lv.1》
サブスキル;8
《女神ポラリスの加護Lv.-》《女神ピクシスの加護Lv.-》《鍛冶Lv.1》《見極めLv.1》《吸血Lv.1》《峰打ちLv.1》《棒術Lv.1》《宣誓Lv.1》New!
ギアススキル:1
《破れぬ誓い:強度8》New!
⋮
《破れぬ誓い》
強度:8(ペナルティ:???)
誓約;『他人のギルドに入らない』
ギアス。ゲッシュとも。力と引き換えに神と交わした誓約であり、己に課した制約。これを破るという事は…すなわち神を侮辱することと同義である。
効果
戦闘時のみ全ステータス上昇(60%)
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…どういうこっちゃい。色々とツッコミどころが多いのはもうこの際脇に置こう。だが、何だこの「ペナルティ;???」って。詳細不明かい。ステータス欄仕事しろ。
「おい、何かあったか…?」一人でモヤモヤしているとレキさんから声を掛けられた。そんな変な顔してましたかね。
「いや、これ…」僕がこれを見せると、彼の表情がみるみるうちに曇っていく。いや、曇るを通り越して…「怒って、らっしゃる…?」
「あのボケ共…どこまでも余計なことを…どう料理してやろうか…!」あ、これは怒ってらっしゃいますね。あの人たちきっとロクな目に遭わないだろうなぁ…取り敢えず冥福を祈っておこう。南~無~。
結局、彼とはその後フレンドコードを交換して別れた。「奴ら…タダじゃ済まさん…絶対に…」って言ってたし、恐らくあの3バカは地獄を見ることになるだろう。ちなみに何故そんなことになったかと言うと、どうも彼、ほとぼりが冷めたらゆっくり時間をかけて勧誘する腹積もりだったようで…お冠だったのもそう言う理由。なんと油断ならないことか…
今回、初めて対人戦をした訳だけど…正直勝てたとは言え、かなり課題が残る戦いだった。今回は運よく勝つことはできたけど、次もこうとは限らないだろう。幸いにもこの戦いでやるべきことははっきりした。なら…あとはそれを実行するだけ。そんなことを考えながら、僕はその場を後にしたのだった。
で、現在。
「ギルドかぁ…別に入っても良かったんだけどねぇ…」
ーまぁ、あいつらが欲しいのはお前…いや、『俺たち』の戦闘能力だろうからな。お前のことだ、早晩破綻してたさ。それなら、これでよかったんだろうよ。
むぅ…アキに反論したいところだけど、僕があまりコミュニケーションが得意ではないことを考えると無いと言えないのがまた癪だ。
ーそれに、あれで良かっただろ。これで余計な『雑音』に煩わされずに済む。
そうなんだけどさぁ…こういうゲームってギルドに入ってナンボ、みたいなところあるじゃない…
ーま、今回はご縁が無かったってスッパリ諦めな。それはそれとして、お前テスト大丈夫か?仮にも国立だぞ?
うぐ、た、多分大丈夫。ほら、最悪教科書丸暗記すればいいし、授業も真面目に聞いてるし。
ー…小論文は?
…さ、対策始めよっと。
ーさては面倒くさがって後回しにしてたな~?
はいそこ、うるさい!
そんなこんなで、アキに茶化されながら、僕は今回のテストの最大の鬼門の小論文対策を始めるべくベッドから起き上がるのでした…
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