腹が減っては何とやら
37話目です。いよいよ公式イベント編、スタート…!
2019/01/29 称号を一個忘れてました…申し訳ない。
パチ、パチ、パチ…「ウーム、ムムム…」ベディは今、真剣な面持ちで火と格闘していた。その顔は険しく、油断ならない物と対峙しているかのようで…
「…今っ!!」彼が火と格闘していた理由。それを知るには少し時計の針を戻す必要がある。
「…メンテナンス?」7月初頭。世の大学生の脳裏に「期末試験」の文字がちらつき始めるころ。今日もアナザーにログイン…しようとしたけど、ソフト選択画面に表示されたのは「メンテナンス中」の文字。(あー…メンテがあるってのは知ってたけど何時だったかは確認しなかったなそういや…後回しにしちゃってた)
幸いあと数十分でメンテは明けると公式サイトに書かれていたので、暇潰しがてらパッチノートを確認してみる。「ん~何々…お、ステータスで使用可能アーツが表示されるようになるのか。これは便利…お、隠しクエストについて情報が出てる…ふむふむ、完了まで受注している事も分からないクエスト…『ヒドゥンクエスト』っていうのか。それから…ほうほう」
…パッチノートの内容は、大きな変化が主に4つ。
一つ目は先程彼が確認したとおり『ステータス画面での使用可能アーツの表示』。プレイヤーから「いちいちスキルの画面から確認するのが手間」という意見があったことから追加されたようだ。
二つ目は『称号の効果の追加』。これまで称号は取得しても特に意味が無かったが、これからは称号ごとに特殊な効果が発動するとのこと。また、今現在所有している物についても何らかの効果が出るのだそうな。
三つ目は『クエスト進行度の表示の追加』。これもプレイヤーからの「クエスト中、どの位進んだか分からなくなる」という指摘があったからだ。
そして四つ目。『空腹度の追加』。これにより、プレイヤーは常に食糧を持ち歩く必要性が出てきたのである。空腹度が0になると少しずつHPゲージが減り、最終的には死亡してリスポーン地点まで戻されてしまうからだ。
その他、行ったことのある場所へのファストトラベルの実装や、レベルキャップ解放(Lv.100)、バランス調整等、細々とした追加要素が並んでいたが、最後に書かれた一文に彼の目は釘付けになった。
「イベント…?」そこに書かれていたのは…
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第一回公式イベントのお知らせ
7月10日より、another world chronicle内にて、第一回公式イベントを開催致します。詳細は公式サイトまで。
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で、数十分後。メンテが明けたからログインしたけど、ステータス画面には僕が今まで覚えたアーツや魔法が一覧になっていた。これは分かりやすいね。
それから、称号欄に!マークがついていた。確かめてみよう…
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祝福を受けし者
レア度:レジェンダリ
効果
幸運+25
スキルポイント+10
スキルポイント取得時に得るスキルポイント+1
特殊行動による追加効果の付与確率上昇
取得条件
神より祝福を受ける
従魔の主
レア度:アンコモン
効果
プレイヤーの獲得経験値の50%分の数値を従魔の経験値に加算
取得条件
《テイム》を成功させる
誰かのヒーロー
レア度:エクスクルーシブ
効果
クエスト完了時の経験値1.1倍
取得条件
ヒドゥンクエストを一回成功させる
ジャイアントキラー
レア度:レア
効果
自身の大きさより大きい敵に対してのダメージ1.5倍
取得条件
自身の大きさの5倍以上の大きさの敵を倒す
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しっかり効果が追加されてるね。…なんか気のせいか地味に強力なものが多い気がするけどそれは気にしない方向で。で、だ…
ステータスの、パラメータの欄。そこに書かれた《EN:100》の文字。これが新しく追加された空腹度か…とりあえず町のお店で何か食糧を調達しよう。これからは少し遠出するのにも食糧が必要になるわけだし…
「え、売り切れ?」またか。これで五軒目だぞ…「そうなんだよ!今日に入ってから急に売れ初めてねぇ。今すぐ出せるのってなると肉や野菜位しかないんだよ。ごめんねぇ」
まあそうだろうね。皆考えることは一緒か。この分だと、ここらの店からすぐ食べれる食糧は買い占められてるだろう。さてどうしたものか…
「…無ければ作れば良いじゃない」
と言うわけで、現在。
用意するもの。店で売れ残ってた塩漬け肉(豚、と言うかイノシシのバラ肉、ブロック)。家具屋さんからタダで貰ったなんか香りの良い木のチップ。
まず水にさらして塩抜きをする。切れっ端を焼いてみて良い塩梅に塩気が抜けたと感じたら、水気をしっかり切った上で、即席で作った燻製機の中へ。あとはじっくり、燻されるのを待つばかり…で。
「…今っ!!」燻製機のフタを開けると、そこには茶色になった肉の塊があった。十分に燻された肉は辺りに香ばしい香りを漂わせている。
「よしこれで完成…じゃ、味見してみようか」と一人呟いたその時。
⦅スキル《料理》を取得しました。サブスキルスロットに配置します⦆
⦅レベルが11に上がりました。スキルポイントを6得ました⦆
おっとー。ここで突然のアナウンス。確かめてみると、「料理の出来栄えや工程の短縮に関わる」スキルだった。また、《促進》と《熟成》というアーツが使用可能になった。これらはどちらも調理工程の短縮に関わるアーツだ。これに関してはちょっと期待外れかな。
まあ正直スキルの出現を狙って料理してた訳だから、一応及第点の結果って感じかな?まあ、そのことは後で考えよう。今はコイツを焼くことに集中せねば。
ベーコンがパチパチ音を立てて焦げていく。脂が弾けるそのたびに、香ばしい香りが食欲中枢をノックする。……そろそろ、いいかな?
ただ焼いただけ、付け合わせも何も無いけど、見た目はそれまでの苦労もあってか、とても美味しそうだった。
で、鑑定結果がこちら。
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焼きベーコン
完成度:C
効果:EN+15・ダメージ上昇(+5)
製作者:ベディ
カリカリに焼いたベーコン。スキルなしで作った割には出来栄えはそこそこ。でもこの味を基準にするとなるとほんの少し塩分過多か。
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…なんか批評が入ったな。やっぱり少し塩抜きが甘かったか…こういうのもスキルを積極的に使えば改善されて行くんだろうね。効果は空腹度の回復と、それとダメージブーストか。料理によっては何か追加効果が付与されるみたいだ。で、僕は《祝福を受けし者》の効果でそれが出やすくなっていると。それで…
「…じゅるり」…物陰からこちらを窺う15対の光。あれは、なんだ⁈…まあ子供たちなんですけどね。ここ、ロイカさんとこですから。「こら!人のご飯を物欲しそうに見るんじゃありません!」そーら、ロイカさんがすっ飛んできた。
「まあいいじゃないですか。皆さんもどうです?見ての通り、少々一人では手に余る量ですので」「『まあいいじゃないですか』じゃないですよ全くもう…ベディさんもベディさんですよ。そもそも、なんでうちの庭先で野営の練習をするんですか。外に幾らでも場所はあるでしょうに…」…そうなんですけどね。何となくっていうか。
結局、お昼もまだだったという事なので、僕が《料理》スキルの試運転がてらお昼を作ることとなった(料理の手伝いとも言う)。「そういえば、あの後あそこの神殿ってどうなったんですか?」まだ様子を見に行けてないんですが。「ええ…まず、あそこは一旦閉鎖することになりました。何しろ完全にあの怪物に破壊されてしまいましたからね…それに、あそこの神官が今回の下手人でしたから、町の皆さんの苦情とか…」ああ、でしょうね。
下手人はあの時ご老人に「二心あり」と言われたあの神官だった。なんでも、いつの間にか、知らないうちに居付いていて、何時からそこにいたのか誰も覚えていないそうだ。記憶をいじったのだろうか…
「かもしれませんね。まだ未発見のスキルに、記憶や認識を操作するスキルもあって不思議じゃありませんし…幸か不幸か、あの怪物による町の皆さんへの被害がすくなかっただけ、よかったんでしょうけど…」まあ、冷静になってみれば、あまり手放しで喜べる状況ではないでしょうね。そら、これで終わりっと…
「毎日こんな量こなしてんですね」「ええ。でも慣れました。スキルもありますものね。これでも《料理》スキルはLv.6で持ってますから」あ、そうなんですか。道理でやたら手際が良いと…「スキルレベルが上がれば材料さえあれば一瞬で料理を用意できるらしいですよ?王都でそういう話を聞いたことがあります。さあ、料理も出来たことだし、ご飯にしましょう」
「ふぃ~、ごちそうさまでした」何だかんだで居座る結果になっちゃったな。そろそろお暇しよう…「また来てくださいね、ベディさん」そう微笑む彼女の笑顔は、どうにも僕には眩しかった。
…しっかし、きれいに治ってたな、ロイカさんの腕。《欠損回復ポーション》を貰ってて本当に良かった。…傷口にかけたそばから肉と骨が膨れ上がって再生する様は、ちょっとグロかったけども。まあなんにせよ良かった。仮に障害とか残ってたらどうしようかと…
「あー、そこのキミ」?今、呼ばれたの僕?「うん、そうそう。キミ、先のボス戦で大活躍してたよね。その腕を見込んで、うちのギルドに入ってもらいたいな~って思ってね」はあ、さいですか。…最近、こういうのがよく来るんだよね。なんか、「君の実力が~」みたいな、怪しい宗教勧誘みたいに話を振って来る人たち。何をどう間違ったら僕に話が来るんだろうか。あの戦いで活躍してた人は他にいるだろうに…
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