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動き出した悪意

28話目です。そろそろボス戦…!

2018/12/13 そういえばマフラーしてるはずなのに表情分かるんかと思ったので修正。


 -冒険者ギルド 受付カウンターにて-


 「例の連続死傷事件についてですか?少々お待ちを…」町中心部の神殿から全力疾走でギルドにたどり着いたベディは、到着するや否や受付カウンターに直行、例の通り魔事件についての情報を漁りにかかった。


 「今のところ、犯人との交戦報告はいくつか上がっていますが、どれも制圧には至っていません。また、犯行現場を押さえようとこちらも何度も試みていますが、全て空振りになっているのが現状です…」


 恐らく出没地点が不規則であるのが影響しているのだろう。情報は無きに等しかった。


 「ヘイ、何やってんだ」その声に振り返ったベディの視線の先には、彼の数少ないフレンドであるクロたちのパーティだった。




 「なるほどね…」事情を聞いた彼らだったが、いまいちベディの言葉を飲み込み切れていなかった。これは当然だろう。彼らは話こそ聞いていたが、ベディと違い、この町に漂う不快な違和感を感じていなかったのである。

 

 「一応、こっちでも気を付けてみるけど…あまり当てにしないでね」こう言ったはいいものの、恐らく有力な情報は手に入らないだろう。少なくともクロはそう思っていた。



 が、「いえ、皆さんには少しやって貰いたいことがあるんです」






 

 数十分後。


 ベディの姿は町の外、ちょうど一人目の犠牲者が出た場所のすぐ近くにあった。


 装備はいつも通り、どうやら回復ポーション用の薬草の採取に勤しんでいるらしい。


 「シュウウ…」「分かってる。でもこれも重要だからね。僕らの生命線だ」そう言いながら彼らは薬草と思しき草束を摘んでいく。


 そんな彼に近づく人影が一つ。


 サッ、サッ、サッ…


 足音を殺しながら人影はベディの無防備な背中に近づいていく。その手にはギラリと光る何か。


 人影はベディのすぐ近くまで近づきその手の獲物を振りかざし…


 ()()()()()


 ベディの()()に受け止められた。


 「⁈」「予測が当たったか…」やや渋い表情であったが、それでも彼のHPゲージは多少も減っていない。


 …共通項は無きに等しかった。だが、現象には必ず理由が存在する。それがどんなに理解出来ないモノであったとしても。


 被害者には共通点は無かった。なら何故彼らは狙われた?なにがいけなかった?


 …答えは実に簡単だった。「『周囲の目が無いところで一人きりの所を狙う』…こんな簡単なことに最初に気づけなかったのは完全にこっちのミス…でも、もうこれで終わりだ」


 だが、そうベディが言い終えると共に人影は即座に獲物…刀身が中途で「く」の字に折れ曲がった奇剣(ククリナイフ)を手離し、袖にでも仕込んでいたのか、サバイバルナイフほどの刃渡りの刃物を取り出し、突き出してきた。


 もちろん、苦し紛れの不意打ちである。予想することは容易く、また来ると分かっていれば防ぐのも同様だった。


 刃物を突き出した右腕を左の脇で抱え込み、フードを被った顔面へ裏拳を叩きこんで悶絶させる。

 たたらを踏んで後退した人影に対し、ベディは左脚を振り抜く。ピンポイントに蹴り飛ばされた刃物は、弧を描いて草むらの向こうへと消えていった。


 「……ッ!」万事休す。不利を悟った人影は身をひるがえして逃走しようとした。しかし彼を迎えたのは平原の風ではなく、衛兵達が走る多くの足音、そしてそれに伴う土煙であった。


 「なんだよう、そっちに当たりが行ったのか」「まあ良かったじゃない。これで万事解決ね」町の中と外で囮として歩き回っていたクロたちも駆け寄ってくる。「まだです。少なくとも彼を確保しなければ」


 だが、そうそう簡単にはいかない。そうこう言っている間に、人影が距離を詰めてきた。狙いは…


 (ルナさんですか。弱そうなものを狙う…普通は最善手ですが、今は悪手ですね)「えい」


 ズドゴッ!!

 

 …人影のみぞおちにいい一撃が入り、体が浮きあがった。


 「大人しくして。痛くするから」「いや痛くしたらダメだから。ていうか最近筋力も上げてるのね…」「最近火力に目覚めた。ぱわーいずぱわー」ラグがたしなめるも、彼女は気にも留めていない。


 「やれやれ、それじゃあ…王手(チェックメイト)です。大人しくして頂けると」これで終わりだ…皆が思ったその時。


 (…二ィッ)不意に起き上がった人影が口元を歪めて笑った。そして、(ヒュッ)煙のように姿を消した。


 「「「「「「なあっ…!」」」」」」消えた、一体どこへ、皆の脳裏を様々な思考が通過して行く。


 「あンの野郎…ッ!」誰かが発した、地の底から響くような声に思わず振り返るクロ。そこには…


 「やりゃぁがったなぁッ…!」町の方角を見据え、マフラーを外し、獣の如き憤怒の形相を浮かべたベディがいた。


 「ベディ君…」クロが何か声を掛けようとしたその瞬間!


 <開始条件が全て満たされました。グランドクエスト『奇々怪々なる百の腕』を開始します!>

いかがでしたでしょうか。皆様の応援がこの作品の養分となります。良かったらブックマーク等していっていただけると幸いです。

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