表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
90/126

4-25 拒絶

丸一ヶ月休んでしまい、申し訳ありませんでした。オトギ生活再開です。

「お、お父サマ! どうか落ち着いて! 落ち着いてくださいまし!」


 私の両手をギュッと握り、懸命に落ち着かせようとするヂマリちゃん。ああやっぱり、一生懸命な女の子って良いよねぇ。だけど……


「あ、ありがとう……。落ち着いたよヂマリちゃん……」


 私は彼女を真っ直ぐ見る事が出来なくなってしまっていた。平静を装い笑顔を取り繕うが……だめだ、上手くいかない。作り笑顔もろくに出来ないなんて、どうして私はこんなに馬鹿正直なんだろうな。これじゃあヂマリちゃんが心を読まなくたって、動揺を気付かれてしまうじゃないか。

 しかし、ヂマリちゃんから出た言葉は思いがけないものだった。


「あのっ! お父サマ! 釈明させてください!」

「へ? 釈明?」

「先ほどの件につきましてです! ひどい誤解をさせしまってごめんなさい!」

「誤解って……何かあったっけ?」

「具体的に申しますと、ワタクシが頬を赤らめ、困った顔になってしまった件について……です」

「いやっ! そ、その件は…」


 アメリカならタイ~ホ間違い無しな事案なわけで……。ケシカラン妄想をした私に一方的な非があるわけで……。オッサン的には「まったく、しょうがないにゃ~」と軽く流してほしいわけで…・。そこを深く掘り下げられてしまうと、とても困ってしまうわけで……。勘弁してほしいわけなのですが…。


「違います! 違うんです! だってワタクシ、全然イヤじゃありません! ワタクシもお父サマと手をつないで、お花畑をお散歩したいです!」

「ぎゃ~~~~!!! 口にしちゃイヤ~~~!!!」


 私は慌ててハナナちゃん達を見て、ホッと胸をなで下ろす。三人ともテーブルに並んだ料理にご執心で、こちらには無関心のようだ。

 いや、別にハードボイルドを気取っていたわけではない。バレたからといって社会的に抹殺されるわけでもない。だけど私は生まれながらの小心者。オッサンにもなって乙女チックな趣味を公にされるのは辛い。知られる事で、笑われたり、呆れられたりするくらいならまだいいけど……ね。

 ヂマリちゃんは、そんな私の動揺を知ってか知らずか、かまわず話を続ける。


「ワタクシ、巫女姫に選ばれて以来、地上に出たことがないんです。地下にはきれいなお花なんて咲きませんし…。ですから地上の花園やお花畑って、ワタクシには憧れなんです。そんな素敵なところをお父サマとお散歩できたら……幸せすぎて死んじゃうかもしれません♪」

「いやいや! 死んじゃぁいかんでしょ! 死んじゃぁ!」


 ヂマリちゃんは嬉しそうにほほえむと、先ほどのことを思い出したか、再び頬を赤らめ困った顔になった。


「あ、あのですね、ワタクシが困ってしまったのは……お父サマの脳内イメージなんです」

「へ? どゆこと?」

「お父サマの脳内イメージのお花畑、凄くきれいでした。まるで極楽浄土のようでした」

「それって仏教用語だけど、褒め言葉って受け止めていいんだよね?」


 女神の子孫とのいわれがある野薔薇ノ民にとって、褒め言葉であるはずの『天使』が屈辱に当たるだけに、ついつい用心深くなってしまう。


「問題はそこじゃありません! ワタクシです! お父サマの脳内イメージのワタクシのことです!」

「え、え、え、……そんなにひどい妄想だったかな」

「その逆です! 美化しすぎです! ぷに萌えしすぎです! 笑顔が眩しすぎです!!! ワタクシ、あんなにキラキラ萌え美少女じゃありませんよう!」


 顔を真っ赤にしながら抗議するヂマリちゃんが、これまた愛おしい。

 でも……おかしいな。私は見たまんま、ありのままのヂマリちゃんを脳内で再現してるつもりなんだけどな。

 私は改めてヂマリちゃんを見つめ直す。うん。凄く可愛らしい。


「そ、そんなに見つめないでください~~~!!!」


 私の視線に耐えられなかったのか、ヂマリちゃんは、慌てて顔を両手で隠すと背中を向けてしまった。やっぱりめっちゃ可愛いよなぁ。誇張じゃないと思うんだけどなぁ。

 あれ? そう言えば誤解って何だっけ?

 するとヂマリちゃんは両手で顔を隠しながら振り返り、指と指の隙間から私を見つめながらこう答えた。悪気が無いことは重々承知している。だけど私の心はその負荷に耐えられなかったのだ。


「ですから、私が困ってしまったのは、そう言うわけでして……決してお父サマを『拒絶』したわけでは……ので…よ……」


 その言葉が突き刺さった瞬間、私は意識を手放してしまった。

 嗚呼、私は駄目なオッサンだよ。本当に、本当に、情けない……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ