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オトギ生活 〜オッサンだけど異世界《トンデモナイトコロ》に来てしまった。どうしよう〜  作者: 風炉の丘
雄斗次郎の長い一日 第3章 王国内地下迷宮にて全滅した探索者の定例回収業務
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3-28 第二関門・第2階層

 階段を下りると、第1階層とほぼ同じ大きさの広い空間が現れた。単純計算で25m×25mだ。バレーボールやミニバスならコートが二つ作れる広さ…と言えばイメージ出来るだろうか。

 空間を見回すと、上り階段が他に二つあるのがわかる。第1階層の下り階段は全てこの空間に繋がっているのだ。下の階層に進むには必ず通らねばならない場所。いかにもボス戦やりますよって感じの広さ。さしずめ、第二関門といったところか。


「この、いかにもボス戦がありますよって大広間はですね~、初めて大型妖魔が出没するポイントです~♪」


 第1階層は、中央十字路のトラップを除けば、極めてシンプルな迷宮だった。どう見ても初心者向け。多分、出没する妖魔も大して強くはないのだろう。私の力では到底倒せないだろうけど。だけど第2階層に降りた途端、ボス級の妖魔とご対面とは、なかなか手厳しい。


「確かにボス級の強さなんですけどね〜♪ 大きい分、動きが鈍いんですよね〜♪ ハナナさんのようにスピード特化の冒険者ならカモですよ〜♪ 持久戦に持ち込めば5時間くらいで倒せるんじゃないですかね〜♪」


 5時間って……。体力と集中力の維持が勝利の鍵ってことか。マラソンバトルだな。

 

「ま〜、普通の冒険者なら戦わないでしょうね〜♪ とっとと通路に逃げ込んで、先に進んじゃいます〜♪ なにしろ大型妖魔は多く過ぎるせいで、通路に入れませんからね〜♪」


 ちょっ! ちょっと待て! 5m×5mの通路に入れない? 大型妖魔ってどんだけでかいのよっ!

 通路も大広間も、高さは第1階層と変わらない5m。ということは……横幅か? お腹がつかえちゃうのか? なるほど、確かに動きは鈍そうだ。


 大広間を見回すと、角に通路が二つ見える。四角に二つずつあるとして、合計八つもあるのか。

 ……何で八つもあるんだ?

 大広間で集団行動をすれば、大型妖魔に気付かれ、阻止されるだろう。でも、みんながバラバラに動いて別々の通路に向かえば、大型妖魔は反応できず、あっさり通路にたどり着けるのではないか?

 気になった私は、ナリザさんに第二階層の地図を見せてもらう。


「うええええっ、なんだこれ!」


挿絵(By みてみん)

 広さは第1階層の約5倍か。通路が複雑に入り組んで交差している。地図が無かったから確実に迷うだろう。地図があっても一度はぐれたら、合流は至難の業だ。あらかじめ合流場所を決めていても、移動する途中で妖魔が現れ、戦いを挑まれるだろう。おまけに十字路もあちこちにあるぞ! 全てがトラップではないとしても、結構やばくないか? 

 第二階層の狙いが分かった。これは、チームの分断を狙ったトラップなのだ。これは結構えげつないぞ。


 チームで行動する場合、攻撃役、回復役、補助役と、メンバーそれぞれが役割分担を受け持つ。当然、それぞれの能力に特化したメンバーでパーティーを組んだチームもあるだろう。チームで行動するからこそ力を発揮できるメンバーが、迷宮内で分断されたら……。全滅は不可避だろう。

 第二階層から先に進む方法は二つ。

 チームプレイに特化して、常に一体で居続けられるか。まあ、JRPGの基本中の基本だな。

 一人一人の基礎能力を底上げして、独りでも戦えるようになるか。ぶっちゃけ聖闘士星矢みたいな感じだな。

 どちらを選ぶかによって探索チームの未来が決まるんだろうな。きっと。


「地図を見ただけですのに〜、よく気がつきましたね〜!! 凄いデスヨお父さん〜!」

「くっそ〜! アタシは気付かなかった……」

「そりゃしょうがないよ。ソロで行けるハナナちゃんにとっちゃ、こいつは全く意味の無いトラップだし」

「そっか。それもそうだなっ!」

「ハナナさんは単純ですね〜♪」

「あ? なんか言ったかエロ修道女」

「な〜んにも〜♪」

「二人とも喧嘩は止めろよ。おっさん泣いちゃうぞ。ふえええって泣いちゃうぞ」


 なんだかこんなアホなやりとりも、だんだん板に付いてきたな。

 気がつけば、それなりに良いパーティーなんじゃないかって思えてきた。異なる種族の3人が力を合わせてミッションに挑むか。まるで伝説の勇者みたいだ。

 野薔薇ノ民の音速剣士のハナナちゃん。

 帝国出身で元格闘家にして、現在見習い修道女のナリザさん。

 そしてガングワルド出身の私。……え〜っと、職業は何だ? フリーターか?

 さしずめ、世のため人のため、人手不足で悩む職場を救済するために来た勇者様ってところか。

 自分で言っといてなんだが、何ともしょぼくれた勇者様だな。

 こんな冗談を政府高官のアルビン氏に聞かれたら「男不足で悩む乙女達を救済するためですよ」って真顔で言われそうだ。

 ………ああ、あの人なら本当に真顔で言いそうだわ。勘弁してほしい。私にハーレムは荷が重すぎる。


「それで行きますよ〜♪ 第二階層の遭難者は二組です〜♪」


 そう言うと、ナリザさんは大広間に足を踏み入れた。

 さあお仕事だ。私も雑念は捨てて、気合いを入れるとしよう。

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