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オトギ生活 〜オッサンだけど異世界《トンデモナイトコロ》に来てしまった。どうしよう〜  作者: 風炉の丘
雄斗次郎の長い一日 第3章 王国内地下迷宮にて全滅した探索者の定例回収業務
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3-4 冒険者家族

仕事疲れで、今日はほとんど眠ってましたが、何とか間に合いました!


■4/29 文章をちょびっと修正

 中央には大柄の青年。二十歳ぐらいだろうか。戦士のようで、ウォーハンマーを抱えている。

 青年の右側には中年女性。服装からして僧侶系のようだ。

 青年の左側には十五~六の若い娘。お洒落な感じの服飾から察するに魔法使いだろう。


「なあハナナ、あの左の子って魔法使いだよな? 唯一神教にとって魔法使いは異端じゃないのか?」

「魔法使いまではオッケーって事らしいよ。流石に魔道士はダメだけど。それと、冒険者は自分の命は自分で守らないといけないからね。生き残るためならなりふり構ってはいられないのよ。だから二足どころか、三足や四足の草鞋だって履いちゃうさ。アタシはやってないけど」

「ふ〜ん……。ところで、魔法使いと魔道士の違いってなんだっけ?」

「魔法使いはその名の通り、魔法を使う者。それ以上でもそれ以下でもな〜い。で、新たな魔法や魔法具を開発するのが魔道士のお仕事。あたしらが使ってる魔法紙も魔道士が作ってるんだぜ。だけど、唯一神様はそれが気に入らないんだってさ」

「なるほどねぇ。奇跡で人心を支配しようと企むなら、便利な魔法グッズを提供する魔道士は邪魔っ気だもんなぁ」

「おいおい、オトっつぁん。そう言うことは思っても口にしちゃいかんでしょ。ここ教会だよ?」

「おお、そうだったな。いかんいかん」


 私は慌てて口のチャックを閉めると、目の前で起きている奇跡に視線を戻した。


「お帰りなさい。みなさん」


 ミュリエルラ司祭のその一言で、三人は意識を取り戻した。しかし、自分たちがどこにいるのか、状況を飲み込めていない様子だ。


「うわぁ~~~~~っ!! わぁ~~~~っ!! あ~~~~~っ!!」


 突然、中央の青年が悲鳴を上げ始めた。倒された時の記憶が蘇ってパニックを起こしているのだろうか。そこに老剣士バルカスがつかつかと歩み寄ると、拳骨でいきなり青年の顔面を殴りつける。


「正気に戻らんか! この馬鹿息子がっ!」

「あ、と…父さん。ここ、どこ? どうなってるの?」

「お前はデカブツ妖魔になぎ払われて死んだ。母さんとフローレンもな。そしてここは教会だ。お前達は『復活の儀』で生き返らせてもらったんだよ!」

「そ、そうか。よかった……」

「良いわけがあるかこの馬鹿息子! お前が先走ったせいで、あやうく家族が迷宮で全滅する所だったんだぞ!」

「でも父さん、たとえ全滅したって回収してくれるわけだし…」

「バッカモ〜〜〜ン!!

 お布施と経費で、所持金の半分を徴収されてしまうんだぞ! 分かっておるのかこの馬鹿息子が! 危うく一週間の稼ぎがパーになるところだったと言うにっ!」

「まあ、まあ、お父さん、それくらいで許してあげてください。フランツだって反省していますよ。ね、そうでしょうフランツ」

「母さんも母さんだぞ! フランツがバラバラにされたくらいで取り乱して! 母さんが前衛に出てしまったら、誰が回復役を務めるんだ!

 フローレン! お前もだぞ! 戦闘魔法ばかり身に付けおって! 回復系や補助系をおざなりにするからこんなことになるんだっ!」

「だったらお父さんも回復の魔法紙くらい使えるようになってヨッ! 簡単な呪文なのにどうして覚えてくれないノッ!」

「これ、フローレン! お父さんに口答えしてはいけません!」

「と、父さんは、剣一筋で生きてきたんだ。今更呪文なんて覚えられないんだよ!」


 多分、よくある普通の親子ゲンカだと思うんだけど、何気に発言内容が過激である。それにしても家族で冒険者やってるなんて凄いな。正に異世界版アドベンチャーファミリーだよ。

 しかし、どうするんだこれ? ミュリエルラ司祭も必死に仲裁しようとしてるけど、家族の皆さん、ヒートアップしちゃってて、止まりそうにないけど。


「うわぁ~~~~~っ!! な、なんだよこれっ!」


 すると突然、息子の戦士フランツが叫び声を上げる。何ともメンタルの弱そうな若者だな。


「指が! 僕の左手の指がないよ! どうしてなの父さん!」

「お前がバラバラにされたせいだろうが! 時間が無くて拾いきれなかったんだよ! ワシはお前達の死体だけでなく、ジャックも連れ帰らなければいけなかったんだぞ!」

「そうだジャック! お父さん、私のジャックはどこなんです!?」

「そこの長椅子で、疲れて眠っておるよ」

「ああ、ジャック! 私のジャック!」


 僧侶系お母さんは、長椅子に眠るジャックを抱き起こす。5歳くらいの幼い男の子だった。

 おいおい! あんな子を連れて迷宮に潜ってたのかよ! なんかスゲェなぁ。

 

「司祭さん! 僕の指どうなっちゃうの!?」

「ははは、まだ慌てることはありませんよ。1週間以内に迷宮に落とした指を取り戻せば、元通りくっつきます。一週間以降ですと個人差があって何とも言えませんが、多分大丈夫です。ですが一ヶ月を過ぎますと…、自分の指だと認識できなくなって、くっつかなくなるかもしれません」

「なに、時間は最低でも1週間ある。指のことは後回しだ。今ワシらに必要なのは休息だ。今日はホテルに泊まるぞ! 身体をじっくり休めて、対策を練る。いいな、フランツ!」

「ヤッター♪ ホテルだァ〜〜♪ 野宿じゃないゾ〜! お風呂は入れル? 入れるよネ? お母さン!」

「母さんは家族一緒ならどこでもいいけど、お風呂はありがたいわねぇ」


 気落ちしている兄のフランツに対し、妹のフローレンははしゃぎまくっている。ハナナちゃんも斡旋処の裏口で野宿していたけど、野宿は冒険者のデフォなのだろうか?

 それにしても冒険者って凄いな。彼らにとっては、旅や、モンスター退治や、ダンジョン探索こそが何気ない日常。これが冒険者家族のオトギ生活なのだ。

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