3-3 復活の儀
前回はちょっとイマイチだったんですが、今回はちょっとペンが走ってきました。
実際にはキーボードで打ち込んでいるんですけどね(^^;
「これが教会? 普通の建物にしか見えないんだけど……」
「マルバツ教の都合なんて、アタシが知るわけないじゃん」
見た目は斡旋処の入っている建物と大して変わりがなかった。三階建て+屋根裏の洋風建築。正面から見ると、一階は左右に大きな窓が2つずつあり、中央に観音開きのドアがある。これがゲームだったら3Dデータを使い回しだろってツッコミたくなるくらいにそっくりだ。
ただ、一階と二階の間に付けられた看板には、横書きで大きく『唯一神教団 野薔薇ノ王国支部教会』と書かれていた。そしてその横に、マルとバツを組み合わせたマーク。先ほどリンゴン・ベルから預かり、胸に付けているバッジと同じデザインだった。つまりこれが、唯一神教の宗教的シンボルってことか。
唯一神教はキリスト教に似た宗教だと勝手に思っていたけど、私の勝手な先入観だったようだ。
それにしてもマルバツ教とは言い得て妙…。
それでは行こうかと教会に歩み寄った矢先、突然教会の扉が開いた。中から現れたのは黒服を着た男性。年齢は30代くらいだろうか。
「そのバッジは……ああよかった! お二人とも、斡旋処からいらしたのですよね?」
「え〜〜っと……はい。遅れてしまい申し訳ありません」
「おお、父なる神よ感謝いたします。今日はもう来ていただけないのかと思っていました。私はこの教会で司祭をしておりますミュリエルラと申します。さあどうぞ中へ!」
訂正する。ミュリエルラ司祭のファッションは、頭のてっぺんから爪先まで、キリスト教の神父そのものだった。
首からぶら下げている、マルバツシンボルのネックレスを除けば。
「先ほどナリザを……私と共にこの教会を守っております見習修道女ですが、ナリザをついさっき送り出したばかりなのですよ。ですが、迷宮に潜るには準備だけでも時間がかかりますので、今からでも十分に間に合います」
なるほど、これはいかにも教会だ。一階は、右側にいくつかの小部屋と階段がある事を除けば、壁などの仕切りが一切無いぶち抜きの空間で、礼拝堂になっていた。
礼拝堂は、入り口付近に椅子が沢山置かれており、奧の壁にはマルバツのシンボルが掲げられ、その下に祭壇があり、その側に説教などで使う台がある。それらはキリスト教の教会と何ら変わらない。
気になったのは、椅子と祭壇の間にある広めの空間があることだ。礼拝堂の1/3程の広さがその空間にあてられているのだ。それこそお芝居でもやれそうなくらい広い。そして今、ミュリエルラ司祭が足早に、その空間へと向かっていた。
「司祭さん、スマンが急いでくれるかい」
「はい! ただちに! 斡旋処の方、少しの間、椅子に座って待っていてください」
見ると、椅子の最前列に初老の男性が一人座っていた。一目で外国人だとわかる。紅いマントの端から金属製のショルダーアーマーが覗いている。恐らくは剣士。冒険者なのだろう。
どうやらこれから何かが始まるらしい。私とハナナちゃんは前から3列目の長椅子に座り、様子をうかがうことにした。
「大変お待たせいたしました。それでは『復活の儀』を執り行いましょう。冒険者、剣士バルカスさん、復活させたい方の『信者の棺』を聖法陣の中においてください」
「愚問じゃな、家族全員に決まっておる」
バルカスと呼ばれた老剣士は、立ち上がると懐から小箱を三つ取り出した。よく見ると小箱は棺の形をしてる。バルカスは棺の小箱を、広めの空間の中央付近に三つ、等間隔に置いた。それをミュリエルラ司祭が一つ一つ確かめる。
「おや、この棺は息子さんですね? 回収率98%と出ましたが……本当に復活させてもよろしいのですか? 足りない部位が脳や心臓のような重要基幹ですと、最悪の場合、復活した途端に死んでしまう可能性もありますよ?」
「大丈夫じゃ。むしろ愚息には良い薬になる。やってくれ」
「分かりました。それではまいります」
ミュリエルラ司祭は聞いたことのない言葉で呪文を唱え始める。……いや、唯一神教では祈祷と言うらしい。
魔法は奇跡で、呪文は祈祷。そして魔法陣は聖法陣か…。魔道士達との差別化を図るためとはいえ、似て非なる言葉をよくも考えるものだ。
「神の威において命じます。煉獄よりお戻りなさい!」
その言葉がミュリエルラ司祭から放たれた瞬間、聖法陣が光に包まれる!
そして棺の小箱が置かれていた場所に、三つの人影が現れるのだった。




