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イノセント・スカイ  作者: もちもちな魔族
Part2

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#ハインツ8

 ハインツは、地下居住区という存在を初めて知った。ミア司令官に連れられるまま、この場所まで来てしまった。機密に近づくことの、ある種の不安を感じていた。恐怖に近いが、そうではない。興奮とも言えそうだが、それとも言い切れなかった。


 ミア司令官は手を引くアリサに向かって、優しそうに尋ねた。


「今回の家出は楽しかったですか、アリサ?」


「うん、あのね。アイカとマリナは優しくしてくれたけど、カイは全然優しくなかったよ?」


「それは酷い。ちゃんと処分しておきますね」


「うん」


 と、アリサは頷いた。


「もちろん、冗談です」


 という台詞は、ハインツに向けたものらしい。危うい冗談だなと、ハインツは内心苦笑した。できれば自分は、冗談でも言われたくない台詞だった。少なくとも、直属の上官であるミア司令官には。


「ではお休みなさい、アリサ。慌てなくとも、出番はいつか来ますよ」


「うん。お休み、ミア」


 まるで遺言のようだとさえ思ってしまった。その言葉を残したアリサの姿は、一瞬で消えてしまったのだ。


 ハインツはその光景に、絶句しないではいられなかった。確かに、エデンには謎が多い。だが、このようなことを可能にする技術まであったのか。驚くとともに、場違いな自分の存在に不安を感じ始めていた。


「ミア司令官、あの子は一体……」


自分が知っていい存在だったのか。疑問は尽きなかったが、それ以上の言葉を口にすることは憚られた。


「いずれ、そのときが来れば説明します。今はどうか、見なかったことにしてください」


 薄暗い室内の中で、ミアのその微笑みだけが、ハインツの不安を和らげていた。

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