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【5章】昌泰の変・前編
やがて、三人の運命を変える事件が起こる。
昌泰の変。
都を脅かす強大な妖がいた。
そして、その妖を鎮めるために生贄が必要とされた。
藤原一派の謀略。
朝廷から、菅原一派へ命令が下る。
強い妖力を持つ子供を、生贄として差し出せ。
その話を聞いたヒメは激怒した。
「ふざけんな!」
周囲の空気が震える。
ミコトも怒っていた。
だが、冷静に別の方法を探そうとしていた。
「ヒメ、待って」
「何で!」
「方法を考える」
しかし道真は、二人へ言った。
「手を出すな」
「でも!」
「駄目だ」
道真の声は静かだった。
ヒメは唇を噛む。
道真は一族から生贄を選ばなかった。
昔の道真なら、もしかしたら「捨ててもいい命」を選べたかもしれない。
しかし、今の道真にはできない。
ヒメやミコトと過ごした時間。
人間と笑うことを知った日々。
それが道真を変えていた。
「捨ててもいい命など無い」
その言葉と共に、道真は別の道を選ぶ。
自分がどうにかする。




