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さらば宇宙ヤギュウ一刀斎!お前は私の強敵(とも)だった

激突する『鬼包丁』とレーザーソード。ブリッジ内に凄まじい剣戟の音が響き渡り、火花が嵐のように吹き荒れる。宇宙一の剣豪を前に、さしものカグヤも防戦の一手を強いられた。一刀斎の鋭い太刀筋が、カグヤのパステルピンクのミニスカ忍び装束をかすめ、少しずつ切り裂いていく。

破れた布地の隙間から、眩いばかりの白い肌と、鎖帷子風の全身編みタイツが露出していく。


「いやぁんでござる!」


「ふふふ、良い気味だな小娘! やれヤギュウ一刀斎よ! ひん剥いてしまうのだ!」


カグヤの露出が増えるのを見て、それまで机の影で震えていた提督と艦長が急に強気になって野次を飛ばし始めた。そのセクハラ発言に、カグヤの額に青筋が浮かぶ。


「うるさいでござる! えっち!」


カグヤは懐から「宇宙棒手裏剣」を掴み、問答無用で艦長へと投げつけた。だが、それはただの棒手裏剣ではなかった。棒手裏剣のケツから猛烈な炎が噴き出す。


「ひぎぃっ!?」


艦長の首が綺麗に千切れて遥か後方の壁に突き刺さり、さらにワンテンポ置いて、壁ごと大爆発を起こして四散した。


「いっけなぁいでござる! 間違えて『噴進徹甲爆砕棒手裏剣』を使ってしまったでござる! オーバーキルでござるぅぅ、てへっ☆」


あまりにもグロテスクな「てへっ」を目の当たりにした提督は、ついに恐怖のキャパシティを超え、その場に尻餅をついて泡を吹きながら気絶した。


「油断したなくノ一!」


背後から一刀斎の凶刃が迫る。鋭い一閃が、カグヤの忍者装束の背中を大胆に切り裂いた。


「やったでござるな! お返しでござる! 忍法・煙玉!」


カグヤが床に叩きつけた球体から、濃密な紫色の煙が爆発的に広がる。


「何? 目眩しか! しかし剣の道に生きる私からしたら、目をつぶっても小娘一人――あへ? あえ? あひゃひゃ!?」


一刀斎の硬派な声が、一瞬で締まりのない裏返った声へと変わる。


「ははは! 煙を吸ったらお終いでござるよ? 強力な幻覚作用が含まれた『宇宙チョウセンアサガオ』の成分を吸ってしまえば、どんな剣豪でも――あひゃ? ……って、ちょっと拙者も吸ってしまったでござるよぉぉ! この馬鹿ぁ!!」


カグヤは自分自身のうっかりに激怒し、幻覚で千鳥足になりながらも、凄まじい筋力のストレートを一刀斎の顔面に叩き込んだ。

ドガァァァン!!!

殴られた宇宙ヤギュウ一刀斎は、ブリッジの壁を突き破って遥か彼方の通路まで吹き飛んでいき、ピクリとも動かなくなった。ここに、宇宙ヤギュウ一刀流は事実上の廃嫡(物理)となった。


「あひゃ、あひゃひゃ……ハッ! 拙者としたことが!」


自分の頬を両手で叩いて正気に戻ったカグヤは、指をパキパキと不穏な音を立てて鳴らしながら、生き残った最後の獲物へと歩み寄る。

「さて、後は提督殿だけでござるな?」

床で泡を吹いている提督の影が、カグヤのパステルピンクのシルエットに覆われていく。


「な、なぜだ! なぜこんな真似をする! ちゃんと法的な手続きを踏んで我々を告訴すれば良いだろう! こんな、こんな、酷すぎるよ、うわぁん!」

銀河帝国の最高幹部であるはずの提督が、床にしがみついて、靴も脱げかけの幼児のように泣き出した。

その姿を見ながら、各自の椅子や計器盤の下にうずくまって息を殺していたブリッジの生き残りクルーたちの心が一つになる。

(((((お前らが先に主砲でやらかしたんだろ!!!!)))))


「ふん、往生際が悪いでござるな」


カグヤは『鬼包丁』の血を払い、冷徹に見下ろす。


「あの屋台には拙者の師匠も居た。師の仇討ちは武士の誉! さぁ提督殿、お覚悟!」


「お前は忍者だろ! 雇い主の命令も無しにこんな私闘をして良いのか!?」


必死の提督のツッコミに、机の下のクルーたちも無言で激しく同意の首を縦に振った。

しかし、カグヤはどこ吹く風で、手を合わせて目を閉じる。


「南無大師遍照金剛、南無大師遍照金剛、南無大師遍照金剛……あ、お前の代わりに念仏を唱えていて聞こえなかったでござる。では、お覚悟!」

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