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花の想ひ出  作者: 栖旅アヲ


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森の奥

足跡は、森の奥へ続いていた。


キヌヤは一つ一つ確認しながら進んでいく。


「前に見た時も、ここを通っていました。」


玄灯が周囲を見渡す。


「何か変わったところはないか。」


「……今のところは。」


少し進むと、木々の間から小さな祠が見えた。


キヌヤが立ち止まる。


「ここです。」


祠の周囲には、白い花がいくつか咲いていた。


玄灯は花には触れず、その周囲を見る。


「この花が異変の原因なのか?」


「分かりません。」


キヌヤはしゃがみ込む。


「ただ、最初に見つけたのはここでした。」


祠の裏側を確認していると、玄灯が何かに気付いた。


「キヌヤ。」


「はい?」


祠の脇。


木の根元に、小さな布切れが引っ掛かっている。


キヌヤはそれを手に取った。


白い衣の切れ端だった。


「……やっぱり。」


「何か分かったか。」


「昨日の者の衣と同じです。」


玄灯が布を眺める。


「ここを通った証拠、ということか。」


「おそらく。」


キヌヤは周囲を見渡す。


「でも、これだけではいつ来たのかまでは分かりません。」


「そうじゃな。」


二人はしばらく黙って周囲を調べた。


やがてキヌヤが立ち上がる。


「もう少し奥を見てみましょう。」


「ああ。」


二人は再び歩き出した。


その先には、まだ誰も調べていない森が広がっていた。

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