第七区画へ
翌朝。
キヌヤは第七区画へ向かう準備をしていた。
玄灯も同行する。
「花組はどうする?」
キヌヤが尋ねる。
「今日は連れて行かん。」
玄灯が答えた。
「まだ立ち入りを許す場所ではないからの。」
「分かりました。」
二人が神殿を出ようとすると、庭から丹奈の声が飛んでくる。
「おキヌ、どこ行くの?」
「第七区画です。」
「へえ。」
丹奈が近付いてくる。
「危ない?」
「危険がないとは言えません。」
「じゃあ気をつけてね。」
「ありがとうございます。」
丹奈は少し考えてから、キヌヤの尻尾を見る。
「……帰ってきたら触らせて。」
「そこは変わらないんですね。」
「変わらない。」
玄灯が笑う。
「では行くぞ。」
「はい。」
二人は神殿を出た。
しばらく歩くと、景色が変わっていく。
木々が増え、人の気配がなくなる。
やがて、赤い印が刻まれた境界が見えてきた。
キヌヤが立ち止まる。
「ここから先です。」
玄灯は境界の向こうを見る。
「花組には、この先へ入らせるな。」
「もちろんです。」
キヌヤは一歩踏み出す。
玄灯も続く。
静かな森の中。
しばらく進んだところで、キヌヤが足を止めた。
「……ここです。」
地面には、いくつかの足跡が残っていた。
玄灯がしゃがみ込む。
「確かに人のものに近い。」
「でも、人間ではありません。」
「なぜ分かる。」
「この場所を歩ける人間はいませんから。」
玄灯は立ち上がる。
「なるほどの。」
キヌヤは周囲を見回す。
「前に見たものと同じです。」
「白い衣の者か。」
「はい。」
二人は足跡を追って、森の奥へ進んでいった。




