連携
武器の確認が終わる。
玄灯はしばらく黙っていた。
花組全員を順番に見る。
誰も話さない。
さっきまで指摘された内容を考えていた。
「では」
玄灯が杖をつく。
「次じゃ」
丹奈が嫌そうな顔をした。
「まだあるの?」
「当然じゃ」
即答だった。
玄灯は地面に杖で円を描く。
「おぬしらの欠点は何じゃと思う」
誰も答えない。
すると椿希が口を開いた。
「連携?」
「そうじゃ」
玄灯が頷く。
「武器は悪くない」
「身体能力も悪くない」
「じゃが周りを見ておらん」
桜子は昨日の戦闘を思い出す。
確かにそうだった。
自分は自分。
他の皆も自分。
そんな戦い方だった。
「花組は十人じゃ」
玄灯が続ける。
「ならば十人で戦え」
「一人で勝とうとするな」
静かな声だった。
だが重い。
「桜子」
名前を呼ばれる。
「はい」
「おぬしは前衛じゃ」
「じゃが突っ込む役ではない」
桜子は少し驚く。
玄灯は続けた。
「周りを見る余裕がある」
「その目を使え」
「朝佳」
「はい」
「おぬしは後ろを見る」
「全体を見る」
「ならば見るだけで終わるな」
朝佳が少し眉をひそめた。
「丹奈」
「なに」
「前に出るのは構わん」
「じゃが一人で出るな」
「菊音」
「はい」
「おぬしは味方を見る癖がある」
「それは良い」
菊音が少し驚いた顔になる。
玄灯が誰かを褒めるのは珍しかった。
そして。
一人ずつ。
十人全員に役割を話していく。
初めてだった。
武器の話ではなく。
花組としての話をするのは。
「明日からは」
玄灯が最後に言う。
「個人の訓練ではない」
花畑を風が吹く。
「花組の訓練を始める」
誰も返事をしない。
でも。
全員の表情だけは少し変わっていた。
昨日までの訓練とは違う。
そんな予感がしていた。




