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花の想ひ出  作者: 栖旅アヲ


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最初の任務

サクヤヒメの家へ戻った直後だった。


玄関へ入ろうとした瞬間。


サクヤヒメが足を止める。


空気が変わった。


全員が気付く。


さっきまでの案内の時とは違う。


「どうしたの?」


桜子が聞く。


サクヤヒメは空を見る。


「亡き色です」


全員の表情が固まる。


一気に現実へ引き戻された。


「近いの?」


菊音が聞く。


「はい」


短い返事。


サクヤヒメは続ける。


「規模は小さいです」


「じゃあ楽勝?」


丹奈が言う。


「いいえ」


即答だった。


「油断すると怪我をします」


丹奈が口を閉じる。


サクヤヒメは全員を見る。


「今回は実戦です」


「前も実戦だったじゃん」


椿希が言う。


「前回は偶然遭遇しただけです」


「今回は違います」


少しだけ緊張が走る。


今までは流れで戦った。


でも今回は。


最初から戦うために向かう。


意味が違った。


サクヤヒメが手をかざす。


花びらが舞う。


次の瞬間。


景色が変わった。


見覚えのある商店街。


夏祭りの日にも見たような町並み。


ただし人はいない。


音もない。


空だけが薄暗い。


「ここは」


「現世と天界の狭間です」


サクヤヒメが答える。


「亡き色はここへ現れます」


全員が周囲を見る。


静かだった。


静かすぎる。


その時。


遠くで何かが動いた。


黒い影。


建物の陰を横切る。


「いた」


柳羽が小さく言う。


緊張が走る。


武器が現れる。


桜色の槍。


黄色の鉤爪。


青紫の鎌。


赤い大鎌。


それぞれの花色が薄暗い町に浮かび上がる。


「一体だけです」


サクヤヒメが言う。


「落ち着いて対処してください」


その言葉を合図に。


花組はゆっくり前へ進んだ。


初めての任務が始まった。

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