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漂流者  作者: 熊さん
第一章:珍しい渡来人
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伊勢へ

伊勢へ



翌日、弓男と狩りをする。

今回は、森を二人で歩いて、小動物を狩る。

弓男が、弓で仕留め、俺がとどめを刺す。

簡単に狩れる。弓男の目が凄いのだ。


キツネを二匹、ウサギを三匹。


俺は感心したが、弓男曰く、俺の気に殺意が無いからだそうだ。

俺は、弓男に頼っていただけだ。


弓男は、説明が少ないが、する事をする。

それが、互いの意気があったのだろう。


森の狩りは、楽しかった。


穴に戻り、捌いた肉を焼いた。


婆様が言った。


「弓男と気があったようだな」


俺と弓男のコンビに感心していた。

俺も気分が良くなった。


「そこで、二人で行って欲しい所があるんじゃが。どうだ」


ここから遠いが、伊勢に大きな動きを感じた。

見て来てくれないか、というのである。


「伊勢って、何処だ」


「昔から海のものが集まる場所で、弓男は、知っている。どうじゃ」


「変化とは、なんだろう」


「そうじゃなぁ、巫女に違う血が混じったという感じなんじゃが、見つけて確認して欲しいんじゃ」


俺なら、特別だから、相手もわかるだろうという事だった。


10日以上かかる場所らしい。

遠くだが、海のものが見たくなった。


移動するグループには、諏訪の巫女に近い内に、新しい動きがある事を告げて欲しいらしい。


俺は、リーダーと別れて、弓男と動くことに決めた。



佐久平に降りて、弓男が、茅を刈ろうという。


佐久平では、茅が伸び放題だった。

適当な長さに束ねて二人で背負って、伊勢に向かうことになった。

弓男は、この作業に慣れていた。


八ヶ岳から諏訪に抜けて、移動するグループと分かれた。


諏訪湖は、風に煽られ、波立っていた。


そこから、伊那を抜け、山を越え、愛知に入った。


弓男といると食べるのに困らない。

簡単に弓で刈ってくれる。


左側に海が見えてきた。

何本かの川を渡りながら海沿いを下った。


気候が変わった。暑くなってきた。

顔に当たる風が生温かい。


海辺に小屋が立ち並ぶ。

海には、小さな船が浮いている。


小屋の前で焚き火をしていた者に、俺は声をかけた。


「ここに巫女様がいると聞いたんだが、分かるか?」


「宮川を渡った奥に祠がある」


宮川、河口は海に流れ込んでいるが、清流っていうのか、綺麗なさざ波がキラキラと光っている。


暫く行くと道の脇に竹が茂っていて、奥に屋敷が建っていた。


弓男が前に出て、声を上げた。


「浅間山から婆様の使いで参りました。

茅を持ってまいりました。お収め下さい」


侍女らしい女が出て来た。


弓男は、背負っていた茅を降ろし、頭を下げた。

俺も続いた。


侍女に連れられ奥の部屋に入った。

侍女に囲まれて、座っている女がいた。


彼女が、大巫女か。


弓男が膝をついたので、俺も続いた。


「浅間山とな、婆様はお元気か?」


低いが、優しい声が響いた。


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