武士との戦い
武士との戦い
真は、里に戻ると、沙羅にも話をする。
「父が助けた子供が、源氏として平家と戦うらしい。」
沙羅は、真の言葉を予期していた。
しかし、いま、戦いに参加するのは、世間にバレて隠れ里をなくしてしまうのでは、と説得した。
しかし真の考えは違った。
「いまは、隠れ里を表に出すつもりはない。だが、武士という勢力に我らが贖いられるのか、知りたい。
義仲殿にも、人のいないところで確認した。試したいのだ。沙羅、頼む」
沙羅は、真の決心の強さに折れた。
分かりましたと返すだけであった。
暫くして、東山道を木曽義仲の軍が行進して、京都を目指して進む事が分かった。
真は、弓を持つものを二人加え、全員で十名が、列の前後に近くに農民の姿そのままで、弓は藁で包隠して背負って、ついて行った。
上田盆地で、義仲が野営をした時、夜遅く、テントに忍び込む真がいた。
「義仲様、角間の里の真です。」
一人のテントに重心もいない義仲は、真に気が付き、喜んだ。
「おお、真殿、ようきてくれた。我らはこれから下って北陸道に出る予定じゃ」
「では、先に行って様子を確認しておきます。」
「何人来てくださってるのじゃ」
「我らはお助けするだけですよ。」
義仲は、それでも心強く思った。
次に会うことを楽しみにしていると伝え別れた。
真は、弓を担ぐ者を二人加え、十人で支援をする事に決めた。
彼らは上田盆地から千曲を抜けて山越えをして高山に入り白川の先に自分たちの陣を作った。
多分、まだ十日は掛かると感じた。
彼らは北陸道から京都に向かう金沢辺りまで見て、平家の動きを探った。
大群で押し寄せる平家を見て、倶利伽羅峠辺りでの待ち伏せが一番と確信し、義仲の動きを待った。
義仲達が野営をする頃を見計らって、また寝所に真が入り込んだ。
「義仲様、真です。お疲れさまです。平家は金沢辺りに来ております。ここから先は、倶利伽羅峠の上で待ち伏せするのが良いと思います。平家が入りましたら上から突撃してください。」
なんと、戦力まで考えてくれたのか、義仲は、ありがたいと、心から思った。
馬兵を潰してくれるという話は、誰にも言わず、倶利伽羅峠の手前で待ち構えることが出来た。
朝、早く平家が登り始めると、真は、馬兵を飛び乗り首を切り、何人か倒しておいた。
すると、平家が倶利伽羅峠を登り始めると、一気に潰れてしまった。
さらに数日後、篠原の戦いにおいても、真達は、先行して馬兵を叩き潰し、彼らの進軍を助けるのであった。
真は、考えた。
角間の里は、やはり隠しておくしかない。このような権力争いに巻き込まれたら、あっという間に人が死ぬ。
それは許容できないことだと感じていた。
その後の義仲は、角間の里の話は一切しなかった。
時代は流れるのであった。




