木曽義仲
木曽義仲
真は諏訪湖畔を見渡した。
諏訪でも豪族が武士になっていた。
直に武士の姿を見た真は、少し興奮した。
八ヶ岳から千曲に降りで角間に戻った。
角間では、狩のグループを中心に短剣を使う体術を鍛えなおし、木に向かって、投げる訓練をした。
また棒を構えた相手に対して中に入ることも訓練されていった。
角間での、この動きは、日々の鍛錬として、狩のグループを中心に大人も子供も行っていた。
京都では、平家が荘園を使って経済力を挙げて権力をつかもうとしている。豪族は武士団として自分の領地を荘園の名のもとに管理の権利を奪われそうで対抗するようになっていた。
角間でも代がかわり真の息子が継いでいた。
息子は、鍛え上げられた若者であった。父の云うことをよく聞いて、しかも備えることに慎重だった。
彼らは外の動きにとらわれず、しかし情報の力は常に広げていた。
例えば、上田盆地や長野盆地、佐久平では、農民の一人として活動する角間の里の者が現れていた。
定期的に京都にも通う手立ても用意していた。
そんな折、角間の里に突然、現れた武士がいた。
彼は見張りに見つかり、山裾で、話を聞かれた。
「数年前に木曽義仲様が助けられた里がこの辺にあると聞いてきた。」
見張りは、すぐさま真に知らせる。
真は、その事実を覚えていたので、里に迎えた。
「木曽義仲様が上野の国で源氏を名乗られます。」
平家と源氏の名は流石に分かっていた真は、詳しく聞いて分かったと答えた。
数日後、真は、自ら上野の国に向かっていた。
見ると、木曽義仲が挙兵するという話を聞いて、確認した。
夜、深夜になって、真は、屋敷に忍び込み、木曽義仲の寝所を見つけ出し、密かに入った。
まだ、義仲は眠ってはいなかった。
ろうそくの火が火が揺らめくその瞬間に姿を見せる真。
義仲は、驚くが、相手がすかさず膝をついて言った。
「我は角間の里の真と申します。貴殿が昔、東山道を逃げた時に助けた里のものです。」
間髪入れぬ言葉に義仲は、連絡が届いていたことを理解した。
「おお、よくぞ参られた。我らは挙兵することになった。どうかお力を借りたい」
里の力も知らなかったが、いまは、味方が必要であった。
義仲は、頭を下げた。
真は、それを見て頷いて、消えた。
義仲は夢でも見たのかと思ったが、まあ良い、助けになれば幸いと、その事は、誰にも言わなかった。
月のない夜であった。
義仲の屋敷を去ると、山に入り、簡易テントを作り、真は休んだ。
森は、静かで、フクロウの声が響いていた。




