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漂流者  作者: 熊さん
第五章:縄文の理
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時は流れて

時は流れて



族長の言葉は、重かった。

沙羅も真も納得していた。

翌日、皆を広場に集め、今後の事を話した。


「皆、我らの里を隠れ里とする。皆はそれぞれの動きをしっかりやってくれ、我らはこのまま成長する」


この宣言に皆は、我らは元々隠れ里の体をしていたので、理解を示した。

また、外でヤマト政権の動きがあって巻き込まれたくなった。


里の役割は、ハッキリしていた。

里を見守る体制も、狩のグループも、田んぼの耕作や窯焼きでは、壺を作ったり、炭を作ったり、鉄を加工したり、様々なことが出来るようになっていた。


湧水田んぼは既に三枚になっていた。

苗は緑色に成長して風に吹かれていた。


里はここで、自給自足が出来た。


上田盆地や長野盆地でも、支配の締付けが強くなっていて、逃げ込む農民がいた。


里は受け入れ、それなりに人が増えていった。


真や沙羅の支配が続き、支配の体制も自主的に進んでいた。


里は川の流れている谷から山に入ってようやく里が見える。

外では、角間の里は隠れ里として何気に言われるようにもなっていた。


鉄器を作ることが出来た角間では、農具など加工の他、短めの短剣が狩のグループの道具として、扱い方も含め様々な工夫が行われた。


そして隠れ里だが、移動する動きは定期的に行われていた。

だから、世間の動きには敏感に反応していた。


そして時はゆっくり、しかも確実に進んでいった。

京都みやこでは、新たな勢力として、武士が台頭する事になる。

政治を担っていた貴族は屋敷に閉じこもり、儀式だけの存在になっていた。


西の平家と東の源氏がその力を示していたが、東の源氏は仲間割れが起きて、混乱していた。


角間は、相変わらず隠れ里として、世間からは見えない里であったが、相変わらず逃げ込む民には優しい里であった。


そこに東山道を、登り幼子を庇うように逃げる人影があった。


東山道では隠れ里の角間の里の噂が広がっていた。


上田盆地で、逃亡してた者が川を登り、山にはいってきた。


見張りがその逃げてきた人物に質問すると、仲間割れで、この子を逃がすために来たが、しばらく隠してくれと頼まれた。


見張りは、山陰にその人物と子供を隠すと、里に入った。


里のリーダーは、真と沙羅を引き継いだ者であった。彼らは代が変わると男か女が跡をつぎ、その嫁や旦那が名を継いでいた。


逃げてきた人は武士の装いであったが、真はこだわりなく、空いてる小屋に招いた。


食べるものもなく、喉が渇いていたのだろう、ムシャムシャ、グビグビ飲んでいた。

子供も、お粥が出され、一息ついていた。


真は、何も聞かず、何日かたった日に、中津川へ行きたいと言うので、立科から八ヶ岳を抜けて諏訪から東山道に入るまで送ってやった。


諏訪で別れた真は、青い空を見て、考えた。我らは武士に負けない力をつけなければと感じていた。


諏訪湖の湖面が静かに揺れていた。


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