旅立ち
旅立ち
俺は、秋になり、仲間と魚捕りをしていた。
秋の漁は、冬越しの為の蓄えを作る。
保倉川を渡り、海辺に自分たちの舟を置いて、猟をする。
俺が改造した大きめの船と丸木舟、二艘で行う。
二艘は、俺の船の左右から魚を追い込み、俺が網を投げる。
収穫は、まあまあだ。
昼過ぎ、大きな船が関川に入ってきた。
俺は、大陸からの船だなと思った。
関川の右岸に着くと、人が降りてくる。
ここでは珍しい馬も2頭ぐらい下ろしている。
渡来人だな。
春日山なら、縄文巫女が相手するだろうと思った。
冬になる。獣の肉も欲しいし、木の実も集めなければならない。
対岸での動きに構ってられないと思う。
自分たちの動きに集中した。
夕方、小屋に戻ると、姉が子供をあやしていた。
俺の子も元気に泣いている。
「姉ちゃん、春日山の方に渡来人が来てたよ。」
「珍しいね。もっと南の方からって聞いていたけど」
南北に移動するグループが、良く言っていた事を思い出した。
ここまで直接来たんだな
俺は、そんなことしか思いつかなかった。
渡来人と言っても、俺たちのような漂流者とは違う。
俺は、冬支度に集中した。
冬には、草で網作業を教わりながら、始めていた。
作り方は、簡単で、足の指を使い、編み込んだ。
長靴には、鞣した毛皮を貼り付けたり、工夫を考えるのも楽しい。
この土地は、冬に閉じ込められるが、中々暮らしのリズムが出来て、励みがある。
日本海側は、豪雪地帯だか、上越市は、特異な気象条件で、雪はそんなに降らない。
この様な条件の揃った地域には、縄文の知恵のある暮らしが似合う。
春過ぎになり、移動するグループが、やってきた。
俺は、保倉川の小屋を拠点として、春から夏過ぎまで、グループに付き合うことにした。
今回は、魚や肉を乾燥してものを背負って動くことにした。
俺は、移動するグループのリーダーに頼んだ。
「ついて行っても良いか?行きたいんだ。」
「もちろんだ。お前の拠点はここで良いよ。一緒に行こう」
俺は、感謝を伝え、姉や妻に、子供達を頼んで、拠点を保倉川の小屋に拠点を置いて、活動することを頼んだ。
懐にナイフ、そして魚や肉の干したものを背中に背負って動き出した。
春の空は青く、白き雲がポカ、ポカと浮いていた。
海の波が俺を押し出してくれた。




