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漂流者  作者: 熊さん
第五章:縄文の理
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族長達の暮らし

族長達の暮らし



国分尼寺は、ヤマト政権とのつながりが悪くなり、尼は、自由な時間がとれるようになった。


国分寺や国府は二年ごとに入れ替わり立ち代りとしていたが、国分尼寺には、交代の話も来なかったようだ。


国分尼寺が、建ってから、暫くすると、尼は、族長に相談した。


「族長、森の民の生活を見せてくれませんか?」


「尼様は、森の暮らしに興味があるのか?米作はしてないぞ」


尼は、上田盆地の米耕作があまり上手くいってない事を知っていた。


それでも、何かと国分尼寺に来てくれる族長達を直に見てみたいと思った。


特に周りの状況に詳しい族長が気になっていたのだ。


族長達は、実は本当の拠点より、国分尼寺に近い場所に小屋を建てて、通っていて、そこに尼を呼んだ。


一見すると、森の木々に隠れていて、分からなかった。

尼は、彼らの小屋に初めて入った。


国分尼寺の隣に国分寺があり、その先に街道としての東山道が整備されつつあった。

その先に暫く行くと森が見えてきて、木を何本か過ぎると突然小屋が見えた。


尼が驚いていると族長が、入ったので、尼も続いた。


小屋の中に入ると焚き火の跡があり、族長は、前に燃えそうなクズをおいて、カチカチと火花を出して、火をつけた。


焚き火が燃え広がると、小屋の奥から鍋を乗せて、さらに水を鍋のなかに入れた。


また、さらに干し肉を出して木に差し込み、焚き火にかかるように周りに刺した。


水が沸騰すると尺で器に盛り、座ってる尼に渡した。

火の加減をみて、焼いた干し肉も渡した。


「族長、ここが拠点なのですか」


「いや、拠点はもっと山奥だ。ここは、国分尼寺に行くために用意した場所だ」


尼は器のお湯を飲んで干し肉を食べて続けた。


「狩りは、見せられますか」


「いいよ、大丈夫だよ」


小屋を出ると、仲間がいて、族長の合図で、森の中に入っていった。


尼は、仲間の女性に連れられ、付いていった。


森に入っていく途中に小屋がいくつかあり、その奥に入っていった。


森に入っていくと、族長や仲間が見え隠れする。

族長が、指笛で合図を送ると、仲間が左右に消えた。


尼を引き連れていた女性が尼の動きをとめると、族長が、弓を構えた。


すると、シュっという音がした。


族長が、弓をおろして、前に歩いて屈んだ。

そして足を持ち上げこちらを向いて、


「尼様、キツネです。」


と、見せた。


族長は、キツネをぶら下げながら、血抜きをして、空いている場所に仲間が火をつけていた。


平らな石の上でキツネを捌いて、焚き火の上の石の上に肉をのせた。


バーっと塩をふりかけ、焼き具合を見ながら、尼に木の葉の上に肉をのせ、ふるまった。


尼は、初めての狩りをみて、驚いてる暇もなく、食べた。


「美味しい。」


尼は、彼らが米作に頼らないのが、なんとなく分かったような気がした。


こんなに簡単に食べ物が得られる。現実の厳しさとは別に、そうも思った。


森は夕方の空が赤く、木々の間から風が吹いていた。


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