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漂流者  作者: 熊さん
第4章:豪族の世界
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新たな動き

新たな動き




笑う大巫女が、答えた。


「茅があるなら、馬飼いを入れれば良いぞ。」


族長が、馬は簡単には、育てられない。

しかし、佐久平なら可能性はあるのか。

海彦は、馬の存在は知っていたが、佐久平に来てくれるだろうか。と思った。


「内海に行けば、私の名を出せば良い。どうじゃ。」


族長が聞いた。


「あの内海とは何処ですか?」


「そうじゃ、伊勢の漁師に船を出してもらい。半日で行けるぞ。」


族長も馬彦も、佐久平を駆ける馬を想像した。


「内海の族長に私の名を言えば良い。小矛を見せれば信用する」


茅を半分返してくれて、二人は伊勢の海辺に向かった。


海辺の小屋で大巫女に言われて、内海に行きたいと言うと、大巫女の頼みなら、俺が乗せてやるという人間が直ぐに見つかった。


舟は板を張り合わせたもので、底板もあった。

後ろに艪のようなものがあり、前に二人を乗せた。

後ろでは、艪を交代で使う為にもう一人乗っていた。


伊勢湾は内海だからだろうか。波が静かで海に出た感じがしなかった。


穏やかな海を交代で半日ほど進むと、対岸の内海に到着した。


漁師二人に礼を述べ、陸を見ると青々とした草原が広がっていた。


佐久平とは違い、草が低い。

気が付くと、馬が走っている。


族長と海彦は、草原の端にある小屋を目指した。


カンカンカンという音が小屋の中から聞こえた。


馬飼いの族長と思われる者が、若い蹄鉄職人を見守っていた。


「すまん邪魔をする。大巫女様から教えてもらってここに来た。私たちは浅間山の者だ。」


海彦が伝えると、族長が、小矛を見せた。

馬飼いの族長は、小矛を確認すると答えた。


「大巫女の願いか。そうか。分かった。何が望みだ。」


海彦は、茅を見せて、大巫女の言葉を告げた。


「大巫女は佐久平の茅を見せて、ここを紹介した。私たちは、佐久平に来てくれる馬と馬飼い、蹄鉄を扱える者を探している」


「ほほう、馬飼いと蹄鉄師がお望みか。大巫女様は、我らの願いを聞き入れてくれたんだな。この茅は佐久平のものか?」


海彦が答える。


「そうだ。春に野焼きをして、秋に収穫するようになっている。そして佐久平は、高地だが、とても広い草原がある。」


「分かった。ちょうど良い。いま、馬を引き連れてるのが馬飼いで、蹄鉄師は、こいつで良いだろうか。若いが技術は充分だ。今日はここで寝て、明日の出発でどうだ。」


族長や海彦は、笑顔で了承した。

海彦は、佐久平を駆ける馬の姿を見た。


その夜は、馬乳の酒が出て、魚を焼いたものが夕食となった。

甘酸っぱい酒が、焼き魚の焦げた匂いと混ざり合っていた。

馬飼いや蹄鉄師がたくさんいた。

若手の馬飼いとも挨拶ができた。

彼らの牧草地体に馬が植えてしまい、新たな土地を望んでいたようだった。

馬飼いの族長たちに馬を選んでもらった。


海からの風が吹いていて、波の音が聞こえた。


草原の方は真っ暗だったが、馬たちの気配もザワザワしていた。


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