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漂流者  作者: 熊さん
第4章:豪族の世界
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御影新田の苦悩

御影新田の苦悩



夫婦古墳を建てた後、新しく美和、海彦が御影新田の集落を治めていた。


しかし、墓を建てて先代を祀っても、現状は停滞が続き、食べさせるのにやっとだった。


海彦が森に入った。


狩りをする約束だった。

狩りは順調で、小動物は、浅間山の森には、完全に戻っていた。

しかし、山の恵みで集落は食べさせられない。海彦が族長に相談した。


「ようやく、安定した収穫が出来ているが、ギリギリの暮らししか出来ない。何とかしたいのだが、何か出来る事はあるかな」


「俺たちは、森の暮らししか分からない。いまは、何処に行っても米作だけだかな、、、そうだ。婆様の洞穴に行くか?」


族長が言うのももっともで、海彦は、桜婆様の洞穴に向かった。


洞穴の中は、焚き火がユラユラと揺れ、桜婆様が見えてきた。


「そなたは、海彦か、先代たちの墓は、良い考えだ。食べられないが、茅を育てるのが良いと思う」


桜婆様からの助言を受け、米作を維持しながら、茅の育成にも力を入れることにした。


まず、茅を育てる場所とした所の木を伐採し、春に野焼きを行った。

水利は、田んぼとは違い、そのままにした。


米の収穫の後から、茅を伐採し、冬場は乾燥させていた。


順調に育った。


一方、佐久平での豪族の集落が、広がっていた。


諏訪や山梨からの最初は農民の動きを見て、佐久平に来たが、土地の争いが増えて、いつしか武力を優先し、力で治める集落になっていた。


海彦が森で族長と狩りをする約束の日。

族長が海彦に桜婆様が会いに来いと言ったと伝えた。


二人は、洞穴に入った。


石で組まれた炉の焚き火がカチッと音を立てた。


桜婆様が見えてきた。


「おお海彦よ、伊勢の大巫女が気にしておった。族長と言ってくれぬか?」


「桜婆様のお言葉、しっかりと承りました。」


海彦が、族長と頷き、穴を出ようとすると、桜婆様が続けた。


「茅を忘れるなよ」


二人は、頭を下げ、わかりましたと言って、出ていった。


海彦は、美和に伝え、族長と伊勢へ行くことにした。


茅を束ね、それを背負って伊勢へ向かった。

茅の香りが、海彦の背に広がっていた。


まず、八ヶ岳を経由して諏訪に入った。

諏訪は米作の田んぼが増え、大きな屋敷も幾つか増えていた。


河畔で休憩し、休んだ。


翌日は、伊那を抜け、飯田まで進み、山に入り休んだ。


そして、愛知に入り、伊勢へ向かった。


何泊かへて宮川にたどり着いた。


宮川は、いつものようにキラキラと光り輝いていた。


風が海から吹き付け、青空が爽やかに晴れ渡っていた。


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