桜の帰還
桜の帰還
寒冷化どころか浅間山の噴火で森も佐久平も住めなくなった。
いまは、ここで暮らすしかない。
巫女が小屋ぐらしをしていたので、長も管理者たちもそのままにしていたが、伊勢に行くという巫女を見て、皆は考えた。
この地を我らの土地として住むなら、神殿を作るべきだと。
夏になり、手も空いている。しかも侍女たちはここにいる。
広場を作り、その奥に神殿を建てることにした。
巫女が出てからひと月が経った。
巫女が戻ってきた。
三人は、千曲で川を渡り、歩いてきた。夕方だった。
新しく整えられた広場に人が集まり、長や管理者たちも待っていた。
皆が巫女に向かって、お帰りなさいと声をかける。
桜は、海彦と顔を見つめて何事がという感じで、広場の中央に到着した。
長が、発言する。
「巫女様、お帰りなさい。新しい神殿をお使いください。侍女が待機しています。お疲れさまでした。」
桜はこの地の、この民の巫女なんだと実感させられた。
その覚悟で戻っては来た。
しかし、嬉しかった。
「ありがとう。こんな事があるとは思ってもいなかったから、驚いたけど、本当に嬉しい。ありがとう」
海彦もリコも、一緒に喜んだ。
長が話した。
「皆、巫女様は旅をされてきたんだ。今日は、これで解散してくれ」
「皆さん、本当にありがとう」
桜は皆に帰るように伝え、手を振り感謝を伝えた。
長が促し、新しい神殿に入るよう伝えた。
神殿に入ると広い部屋がまずあった。
祈りの部屋にする予定だ。
そこに長が桜を奥に促し、周りに管理者たちが座った。
海彦だけが残った。
桜は、皆を見渡し、話し始めた。
「長をはじめ、私のわがままで席を空けてしまい、すみませんでした。そして、神殿まで作ってくれてありがとございます。
私は、桜として、この地の巫女を続けるたいと思います。伊勢の大巫女様にも支持されました。」
皆はオーッと喝采を上げた。
大巫女様の支持されたことに驚いた。
「それも浅間山の森の民が、我らを守ってくれてるからです。海彦、本当にありがとう」
オーッと海彦に向かい、皆が感謝の言葉を投げかけた。
海彦は、頭を下げて、感謝を伝えた。
「我らはこの集落の利にかなうやう、これからも動く、よろしくお願いする」
皆も、こちらこそよろしくと伝えた。
この後、森の民の一部は、桜の警護の形をとるようになった。
また、桜を中心とした支配の構図がハッキリでき、独特な豪族化の形が見えてきたのである。
まだ暑い日が続いていた。
秋の収穫が楽しみであった。




