佐久平へ
佐久平へ
翌日の朝、俺と弓使いは、館を出た。
これ以上の近畿圏への接触は、今後の佐久平への影響を考えると辞めといた方が良いと思った。
俺と弓使いは、帰ることにした。
伊賀や鈴鹿を抜け四日市に入り愛知に入る。そして山を抜けると伊那に出て、諏訪に入る。八ヶ岳を抜けると、佐久平に出た。
これまで、様々な集落を見てきた限りでも田んぼの耕作地が増えているし、平地に人々が集まってることも実感した。
そして千曲川を渡り、佐久平に入った。
この時も、あれっと感じた。
佐久平の広さは分かっていたが、他の集落が、増えている。
長野盆地の集落で、見た顔があった。
噴火のあと、洪水が起きたり、直江津王国への対応があったり、すっかり時代の流れに追いついていない現実に唖然とした。
神殿に戻り、巫女や海彦、長などが集まってくれた。
巫女に長野盆地の者が佐久平で集落を作っていることを話すと
彼らの挨拶は受けている。新しい耕作地が欲しいらしい。という事だった。
俺は改めて、今回の旅の話をした。
婆様の指示で伊勢の大巫女の所に行き、九州勢力の兵と出会ったこと。その後、近畿圏の屋敷を訪ねたことなどを伝えた。
皆は沈黙した。
俺は、さらに各地で広がる米作や平地の集落が増えてることも話した。
巫女が聞いてきた。
「近畿圏や九州勢力の影響が佐久平にも及ぶんでしょうか?」
俺は、兵隊みたいな連中は、伊勢や奈良盆地でしか見なかった。
影響があるとしたら、米作の集落が増えることだろう。
と、言った。
巫女は、それなら、我らはこの集落で平和に暮らすしかないなと、言った。
長も海彦も賛同していた。
俺は、浅間山の森でこのまま移動するグループは、続ける事を述べ、森に戻った。
婆様は、報告を聞いて頷くばかりであった。最後に言った。
「よう世の中の動きを感じてきたな。ご苦労じゃった」
婆様は、悲しそうな顔をしたが、その意味は分からなかった。
もう森は、冬が来る時期になっていた。
冬越しの作業を進めていた。
俺と弓使いは、狩りを進めて、冬越しの足しにするために動いた。
秋の青い空が、森の木々の間から見えた。
強い風、森の奥から吹いてきていた。
寒い。もうすぐ冬だ。




