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漂流者  作者: 熊さん
第三章:弥生集落の陰
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大巫女の願い

大巫女の願い



伊勢の大巫女の神殿は、竹林に囲まれていた。

警備の兵に小矛を見せ、弓使いが話した。


「我らは、浅間山から大巫女に会いに来た。」


警備は小矛を確認し、侍女に顔を向けた。


侍女の促しで、大巫女の祈りの部屋に入った。

俺と弓使いは挨拶し、大巫女が返してくれた。


「お主は、海彦か?浅間山のものだろう」


俺は、海彦は息子に譲った事を語った。弓使いが続けた。


「浅間山の婆様が大巫女の様子を見てこいと言うので来ました。」


「おう、ありがたい。気にかけてくれとるのじゃな、ありがたい」


大巫女は、深く頭を下げ続けた。


「それにしても海彦、いや族長は、動きが早いな。弓使いも鋭い。

本当に助かったぞ」


俺は、九州のものという事を聞いた。


「九州勢力じゃ。彼らは乱暴でな、困ったもんだ。」


俺は九州が何処か分からなかった。


新しく兵共が入って来て、勢力になった事を教えてくれた。すると


「そうじゃ、海辺に泊まっていたろう船が、奈良盆地に行って、伝えてくれないか?」


弓使いが頷いた。

大巫女が、紙に筆を使って、サラサラすると、その紙を渡した。


「南の国の者が直江津王国にやられたみたいじゃな、何か知らんか?」


「ああ、それは我らが片付けてしまった。まずかっかな」


「いや、大丈夫。近畿圏が後片付けをしていた。もう兵を出したりしない。安心せい。」


俺と弓使いは、大巫女の神殿を出た。


太陽はまだ高く、風が山から吹いていた。ザーッと笹の揺れる音がした。


大巫女の感じが急いでいるような気がしていたので、急いで向こうと小走りになっていた。


櫛田川迄来ると左に曲がり、川沿いに登り、途中で川を渡り、山頂を目指した。暗くなったが、月が出ていたので登れるなら登ろうと頑張ったが、森が切れ、山頂あたりになったので、休むことにした。


焚き火を起こし、眠った。


日が昇り始めると目が覚めた。

山頂に出ると、奈良盆地が広がっていた。収穫の後なので、空の田んぼが広がっていたが、遠くに大きな館が見えた。周りを囲まれた遠くから見ても広い大きな建物だ。


その右側に小屋が並んでいて、わずかに煙が登ってるのが見えた。


急いで降りた。森の獣道は、障害もなく降りれた。森を抜けて、平地に出ると、道が見えた。


館を囲むように建物が立っていた。

入り口らしい場所があった。

門になっている。


前に警備の兵が立っていた。

俺と弓使いは、近づき、問いかけた。


「大巫女の使いで来た。」


弓使いが小矛を見せると、警備の兵は、中に通してくれた。


中は広く大きな空間のような感じで、その先に建物があり、入り口の扉が見えた。


周りを取り囲むように建物があり、倉庫のようになっていて、米の俵だろうか。積み重なって置いてあるのが分かった。いくつもある。


真ん中に焚き火の後のように黒く焦げた場所があった。


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