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漂流者  作者: 熊さん
第三章:弥生集落の陰
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浅間山の婆様

浅間山の婆様



洪水を上手く過ごした翌年、毎日の生活が戻り、田植えも終わった頃、海彦が神殿に来た。


侍女に促され、巫女に挨拶をした。


「巫女様、婆様が浅間山の森を訪ねよと申しております。」


巫女に案内は海彦がすると告げると、侍女を一人連れて、巫女が付いてくることになった。


森の手前に入ると、岩がゴツゴツしてくる。

森の入り口は、外からの回り込むようなところにあり、道が出来ていた。


森はさらに深くなる。

巫女は不安な顔になる。

海彦が巫女を見て話した。


「森は不安ですか?」


「はい、初めての景色にびっくりしてしまって、ごめんなさい」


「婆様の所は、もう直ぐですよ。頑張って下さい」


深い森が続く、と急に平地が広がり、小屋が出てきた。

小屋には人の気配がしていた。

その小屋の先に大岩が二つ重ねたような洞穴があった。


「巫女、ここが婆様の洞穴です。」


海彦に促され、巫女は洞穴に入った。


「婆様、巫女を連れてまいりました」


巫女は暗くなった洞穴にキョロキョロしている。

巫女は分からないながら、答えた。


「佐久平の巫女です。よろしくお願いします」


は、は、はと婆様が笑いながら答えた。


「巫女様、我が分かるかな?」


巫女は、ゆっくりと声の方向に顔を向けて答えた。


「は、はい、見えます。お婆様、巫女です、よろしくお願いします」


「うむ、やはりお主には見えるのじゃな。良かった。婆様で良いぞ」


「見える?とはどういうことですか?」


「それはどうでも良い、巫女様は、この森をどう思う」


「はい、私は先代からこの森を大切にせよと言われています。私は初めて森に入り、優しい所だと思いました」


「賢いのぉ、佐久平の巫女は。森を大事に思うこと、良いことじゃ」


巫女は、婆様の優しい答えにホッとして続けた。


「婆様、佐久平はこの後どうすれば良いですか?」


「近畿圏の動きは知ってるか?」


「はい、勢力として強い存在なのは理解してます。しかし、近畿圏は、遠い所の話だと思っています」


「なるほど、そうじゃなぁ。では、春日山の集落はどうじゃ。」


「私たち佐久平の集落は春日山の集落から生まれました。でも、どう思うかと言われましても、言いようが無いです」


「海彦、森に若い者を巫女に付け、警護をした方が良い。いかがじゃ?」


いきなり振られた海彦だったが、直ぐに答えた。


「わしの息子では、いかがでしょうか?」


婆様は、うむと大きく頷き、巫女に切り返した。


「巫女、森の者を警護に付けるが、大丈夫か」


巫女は突然のことだが、必要なのかと納得し答えた。


「はい、よろしくお願いいたします」


婆様に気に入られたようだ。

巫女は、嬉しそうに笑い、婆様に向かい笑顔を向けた。


森の木の隙間に太陽が光、爽やかな風が吹いていた。


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