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漂流者  作者: 熊さん
第三章:弥生集落の陰
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洪水

洪水



落ち着け。


俺は、佐久平の神殿の前で深呼吸した。


神殿に入り、巫女に挨拶し、話した。


「巫女、長岡で洪水が起きてしまった。同じ川の下流の集落だ。」


巫女は、長を通じて管理者達に気を引き締めるように伝えた。


夏だ。暑い日が続いた。


青い空に雲が広がり、強い風が吹いてきた。


雨がくる。


俺は、巫女に伝える。


皆には伝えても危機感まで伝わらない。


集落を捨てて、逃げる。

簡単には出来ない。


でも、巫女には準備が出来る、いまが大切だった。

巫女は、皆に頼み込んだ。

長や管理者達は、巫女の必死の頼みに動かされた。

農民も巫女の言葉を信じた。

皆の腰を上げる時、風に混ざり、雨が振ってきた。

大粒の雨だ。

集落全体が動き出した。長たちが先頭に立って、浅間山の森前まで来て、簡易テントを作ります。

背の高さぐらいより少し長い木を三本立て、早めに切った茅を束にして、屋根のかわりにする。


次々に人が逃げて入る。


雨の音がザーッと雨の音が響いてきた。

坂になってるこの地の横に雨が流れ落ちる。

凄い雨だ。


雷が、ガガーンと響く雷、雨がまた強くなった。

子供が泣き出す小屋もあった。


夜になっても、雨はやまない。


焚き火は、小さく静かだ。雨の音だけが続いた。


翌日も雨が続いた。


そして静かに、水が迫ってきた。

川の氾濫が見えるわけじゃないが、水の高さが上がってくる。


静かに、しかも確実に水の高さが上がると、水田が、小屋が水に飲まれていく。


雨がやんだ。

まだ曇り空だ。


巫女は、皆の様子を見て回った。

皆に時間はかかるが必ず水は引くからと、話して回った。


地面の上に水が迫り、テントを動かすグループもあった。


日が沈み、暗くなった。

心細い時間が続く。


翌日になった。

太陽が眩しい。

翌日まで、眠れない夜が続いていた。

日が昇り、水の高さは落ち着いたようだ。

皆は、ようやく眠りについた。


昼過ぎに皆が自分達が生き延びたことを理解し始めていた。

石を並べて焚き火して、鍋をかける。

ようやく火の煙が立ち上がるようになった。

安堵の気持ちが広がってきた。


俺は森で、小動物が混み合ってきたので、仲間と狩りをした。


血抜きをして捌いた肉は、夜になって、巫女の小屋に届けた。

朝になって、気がついた巫女は、長を通して、配れるだけ配った。


肉は、1日おきに届いた。


巫女は、浅間山の森に感謝するのであった。


佐久平の洪水は、10日ぐらい水が引かなかった。

小屋を片付け、グチャグチャの田んぼを整備して、苗がまだ充分に回復した。


まだ暑い日が続いた。

浅間山の噴煙が白く、青い空に吸い込まれていた。


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