千曲川の動き
千曲川の動き
保倉川の小屋は健在だった。
時代が代わり、いまは女性が小屋の主人だ。小屋は相変わらず、三つ建ってた。
海彦は、冬になる前にやってくる南に移動するグループの奴からが冬越しで来る。
小屋の主人に海彦が聞いた。
「叔母さん、南の連中はまだかい?」
「いや、来てるよ。海で漁するって言ってた」
俺は、焚き火の前に座った。
すると、小屋に南に移動するグループの男が入ってきた。
「叔母さん、魚を捌いてくれ」
男が魚を渡すと、海彦に気がついた。
「おう、来てたのか。どうだ噴火は落ち着いたか?」
「ああ、佐久平の集落の収穫はまぁまぁだったみたいだ。森は落ち着いてる」
「そうか。南の敦賀で、大きな集団が出来て、米作が進んでる。」
「近畿圏とは別なのか?」
「そうだな、後から来て敦賀で勢力をつけてるみたいだ」
俺は、こうして情報収集している。
この小屋は故郷みたいな所だ。
魚を食べて、酒を飲んで、話を弾ませた。
南に移動するグループは、敦賀に拠点があって、冬越しをこの小屋を使うことがあった。
「信濃川って千曲川のことだよな。千曲川は、色んな所で、崩れていて、長岡は、どんな感じだった?」
「長岡は、順調に米作が出来てるよ。噴火の影響は、無かったよ」
「そうか、気になってたんだ」
信濃川と千曲川が同じ川だと縄文の者には知られていた。
千曲川での異変が長岡に影響ないなら大丈夫かな。
俺は、感謝を伝え、小屋を出た。
塩尻湖を抜け、長野盆地の二つの弥生集落を見て、丘の上で川の流れから避けてるのが分かった。千曲川の先の縄文集落に入り、川の流れについて、集落の長に聞いてみた。
「長、千曲川は、どうだい?大分と崩れたろう。」
「海彦、こっちはうまく蛇行に沿って作ってるから、弥生集落の連中も大丈夫だろう」
俺は、長野盆地の大きな蛇行のある所へ向かった。
八ケ岳などの山間から降りてきた集落ができ始めていた。
こちらも、川の流れに沿って出来てるので大丈夫かな。と感じた。
冬の時期に上流にはいけないなと、思ったので、浅間山の森に戻ることにした。
巫女は川の異変に何かを感じていたようだ。しかし、今のところは何も大きな異変は無かった。
だけど、佐久平に入り、集落は離れているけど、この辺で氾濫したらと考え、森に入った。
本格的な冬の前。
まだ雪は深くない。
俺は、上流も見なければと決意していた。
雪がシンシンと振り出していた。




