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漂流者  作者: 熊さん
第二章:移動するグループ
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佐久平の変化

佐久平の変化



「よいか、鍋に水を入れ、火にかける。」


婆様が、巫女に言った。

巫女は、石を丸く組み合わせた窯に水を入れた鍋を置いた。


「この実を削ってくれ。強くだぞ」


石臼の上に実が、置いてあり、それを石の棒でゴリゴリ擦る。


「出来たら、鍋に入れる」


婆様が鍋に手にあった粉を振りかける。


巫女は不思議そうに鍋を見て、グツグツしてくるのを待った。


食事を作るか。こういう事か。

俺は、みこに何をさせるべきか分かってきた。

そこで婆様が続けた。


「外にいって森を見てこい」


俺は、巫女を連れて外に出た。

森が湿気ていた。

巫女は気が付かないようだ。

弓使いが草を持って巫女に渡した。


「婆様が喜ぶぞ」


巫女は、ありがとうと感謝して喜んだ。

まだ子供なんだな。俺は思った。

弓使いが雨が降りそうだと言って、洞穴に促した。


「巫女よ、外はどうだった。」


巫女は弓使いに渡された草を差し出すと、外で雨の音がザーッと降ってきた。

巫女は驚いた。


「外が湿気ていたのに、気が付かなかったな。よいよい。だが森は簡単なことは教えてくれる」


婆様はもらった草を鍋に入れた。


巫女は深く頷いた。


鍋をかき混ぜ、器に移し、巫女の前に出した。

器をすくって飲んだ。

巫女が美味しいと叫んだ。


「よいよい、巫女は賢いのぉ。我は気に入ったぞ、また来い」


外に出ると、雨は上がっていた。

森は湿気ていたが、青空が眩しかった。


季節毎の祈りを忘れず、婆様の森へ通うようになった。


米作は、順調に収穫を増やしていき、集落も成長していった。


こうして、渡来人がもたらした技術や新しい作物は、弥生集落を生んだ。

しかし、縄文の魂があったからこそ、争いも少なく、成長が促された。


春日山でも近畿圏の勢力であった奈良盆地でも、そして、それは社会に認められた、増えていったのであった。


時が経ち、時代は進み、紀元前1世紀を迎えていて、浅間山の噴火の予兆が続き、地震が続いていた。


佐久平では、弥生集落が発展して人口も増えていった。

巫女も自らの娘に世代を移し、浅間山の森の理を引き継いでいた。


また、浅間山の森には、密かに海彦達の子孫が少人数の集落が隠れていた。


何度目かの大きな地震が佐久平を揺らした。


季節は夏前、田植えが終わり、稲が緑色になりかけていた。


巫女は、田んぼから虫の声が消えたことに気が付き、胸騒ぎが襲ってきていた。


そこに浅間山の森から男が神殿に来た。

「噴火が起きる。覚悟しろ」


すると途端に、浅間山の噴火口から赤い炎が噴き上がった。

遅れてドガンと、大きな音が鳴り響いた。


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