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漂流者  作者: 熊さん
第二章:移動するグループ
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豊穣祭

豊穣祭



弓男と俺は、吉野川を見つけた。

川を渡り、山深い森へ入って行った。


吉野川はそれなりの川の流れがあった。冬だけの雪が解けたのか。


山の奥に入ると、あちこちに湧水が溢れていた。

竹筒に水を汲み入れ、薬草を探した。

夕方まで、小動物の狩りもして、朝方に戻ることにした。

簡単なテントで一晩過ごした。


翌朝、近畿圏の館に向かった。

田んぼは、馬を使い耕す様子が、春日山の方法に似てるなと感じた。


昼前に館に着いた。


弓男が、竹筒と薬草を差し出し、俺は、保倉川から持って来た魚の干物を出した。


巫女が俺に向かって言う。


「ありがとう。これで明日の豊穣祭の準備が整う。お前は、名前がないと困るので海彦と呼ぶことにする」


海彦か、まぁなんでもいいやと思った。


「茅も編んで、明日の祭りに使う」


集落の皆が喜んでいるようで、渡来の者どもに気圧されていた自分を恥じていた。


お前らも祭りにいてくれと言われたので、館の外側に簡易のテントを建てた。


翌日の朝早くから準備が始まっていた。

大きな広間になってる庭に櫓が建ててあった。

手前に板が引いてあり、奉納の籾、草、干物が並べてあった。


茅で編んだだろうものが上に乗っている。


櫓に火がかけられ、太鼓の様なものがタンタンタン、と合図の様になり始めた。


すると、渡来の者どもが左側に四、五名が並び、右側に侍女が三名、並んだ。

櫓の反対側には、集落の皆が集まりだした。

タンタンタン、と太鼓の音がタン、タタンとリズムが変わると、侍女が櫓の前に進み出て、音に合わせて、タン、タタンと踊り始めた。


巫女が入り口の扉を開けて登場して、櫓の前に立った。


「皆のもの、この集落も順調に栄えてきておる。儀式を始める。」


奉納物の籾、草、干物に膝混付いて竹筒の水をかける。周りでは侍女の踊りが続いている。

巫女は奉納物の一つ一つに頭を下げて、起き上がり、気合を入れて、バァーっと白い粉のようなものを投げ入れると、ボッと青い火が立ちのぼり、祈りを続けた。


炎が上がると皆はワーッと声を上げた。


見ていた渡来の者どももビクッとした。


タン、タタン


音が続いた。


朝もやが晴れて、太陽が真上に昇り、風が吹き抜けていた。


こうして、巫女としての力を示す巫女は、自信を取り戻していた。

渡来の者どもにも、それが分かった。

巫女は、何を恐れていたのだろうと感じていた。


民をまとめる力は見事だった。縄文巫女の力、そのものが政治に使えると思い直していた。


青い空は高く、白い雲が糸のように広がっていた。


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