蜂蜜
蜂蜜
伊勢に向かう道中に昨年から息子を仲間に入れた。
姉の娘は、今回は置いてきたが、仲間になった。
諏訪を抜け、伊那を通過すると山を登る。結構険しい。
愛知に入って、速度をゆっくりにした。
息子が初めての道に声をかけてきた。
「大巫女の館まで、どのくらい?」
「伊勢までは、海が見えたら、山に入りるが、後三日ぐらいだ。」
大巫女が縄文巫女で、浅間山の婆様との繋がりがある事は理解していた。
息子には、付いてくる力を付けさせたい。
山を抜けると、再び海が左側に広がり、その後、何本か川を渡り、櫛田川が出てきて、海岸線に小屋が見えた。
田んぼがある。
よく見ると、山側に屋敷の様な建物が増えていた。
少し様子が変わったと感じた。
宮川に出た。
清流である川に、ホッとした。
奥に入ると竹林が深くなり、細い道が出来ていた。
館の前に警備の兵だろうか。立っていた。
弓男が伝えた。
「浅間山から来た。茅を大巫女様に届けに来た。」
弓男が小矛を見せて伝えた。
「大巫女様がお待ちだ。」
茅を降ろし、侍女に従い、中に入った。
奥の大きな部屋に入る。
「よう来た。婆様には感謝じゃな。おお、そっちは息子か?よう似てる」
大巫女は、息子を見て言った。
弓男が答えた。
「婆様が、顔を見せてこいと言っていた。」
「お陰で、伊勢の集落でも米が作れるようになった。お前たちが近畿圏へ伝えてくれたからだ。ありがとう。
また、面倒だか、母に届けてもらいたいものがあるのじゃ。」
「大巫女様の願いなら、行きます」
弓男の答えに、俺も頷いた。
大巫女は、侍女に言って、二つの壺を弓男に渡した。
「これは、熊野の蜂蜜じゃ。ひとつを近畿圏の館に行って、母に届けてくれ。もう一つは、婆様に御礼として奉納したい。」
壺を渡すと、侍女が小皿に乗せた蜂蜜を前に出した。
三人が舐めてみた。
「甘い。それに香ばしい。」
息子が大きな声を出して驚いてる。弓男も俺も初めての味で、驚いた。
「どうじゃ、熊野が奉納してきたので、お裾分けじゃ。面倒をかけるが、よろしく頼む」
兵達には見せられないし、浅間山の婆様にも渡したいからと、大巫女が、頭を下げた。
三人は、しかと届けるというと出ていくのであった。
日が高く、真上にあった。
竹林から風が吹いて来て、早くいけと言ってるようだった。
宮川の水は透き通って、キラキラと光っていた。
田んぼの稲穂が、見ながら、櫛田川を左折し、国見山へ向かった。




