表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
59/65

4

「……日比谷宗介、もう一度問います。大人しく降伏するつもりはないですか」


 神奈の静かな問いかけに、日比谷はハッと鼻を鳴らして「あるわけないだろ!」と大声で叫ぶ。直後、神奈は「そうですか」と呟くと、刀の柄を握り直して冷徹な視線を日比谷に向けた。


「では、仕方ありませんね。我々の手で貴方を捕らえる他ありません」


 そう言って身構えた神奈に日比谷は目を見開いた後、嘲笑を浮かべて御幸を見る。


「見ろ、お前の婚約者はお前のことを見捨てて、帝都を救うつもりだぞ! たった一人の命よりも、大勢の人間を優先する女じゃないか! 何が愛だ! 結局、愛を信じたお前がその愛する人間によって死ぬことになるとはな!」


 日比谷はそう言うと、御幸の首筋をぐいと抑え付け周囲を見渡した。その後ろからは、日比谷が用意したらしい魔鬼がどこからともなく湧いてきており、周りの退魔師たちも刀を取る。


「いいか、お前ら! よく見ておけ! お前らが選択を誤ったせいで、この男は今から死ぬぞ!」


 緊迫した空気が流れ、誰もがその場から動けずにいた。けれど、次の瞬間――。


「うぐっ!」


 人質だった御幸が肘で日比谷の腹を突き、拘束が一瞬弱まった。そのまま間髪入れずに蹴りを入れた御幸に、日比谷が憎たらしそうな視線を向ける。


「神奈さん!」


 御幸の叫ぶ声が響いたかと思うと、神奈はもう走り出していた。一瞬できた隙を見逃さず、すでに鞘から刀を抜いた状態で。


「ふざけた真似をしやがって!」

「くっ……!」


 すぐさま体勢を取り直した日比谷は呪符を放ち、御幸を地面に抑えつけ足蹴にして、小刀をその体に突き刺そうとした。


 御幸の横顔が痛みに耐えるように歪められ、日比谷は絶対にこの男をあいつの前で殺してやると、湧き上がる怒りをぶつけるように力を込める。


 周りには魔鬼たちが多数おり、神奈がここまで辿りつけるわけがない。そう思って御幸を手に掛けることを優先した日比谷だったが――。


「ぐっ!」


 突如、横から与えられた衝撃に地面へと伏す。何が起こったのかと分からぬまま体を起こそうとすると、後ろで両手を締め上げられて体を動かすことが叶わない。日比谷の手が離れた隙に、正宗はすぐに御幸を助け出し安全を確保した。


 同時に、そのタイミングを狙っていたかのように反逆者たちは全員捕らえられ、今度は神奈が日比谷に刃を向けた。わずか一瞬とも思える間に繰り広げられた連携プレーで、一気に形成が逆転する。


「おとなしく投降なさい、日比谷宗助」


 冷たい声で神奈がそう告げると、日比谷は俯き、その場に高笑いを響かせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ