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「やはり、その呪符で魔鬼を操っていたのか」
そう言って前に出てきたのは、技術部長の水無瀬正宗だった。怒りがこもった冷たい視線を向ける上司に、日比谷は目を見張った後、ふんと鼻を鳴らした。
「……水無瀬部長もおでましとは。せっかく隊舎に軟禁していたのに、もう見つかってしまいましたか。お世話になった部長には、害が及ばないようにと俺なりに配慮したつもりなんです――」
「一体どういうつもりだ、日比谷!」
正宗はいまだに自分の部下が、こんな悪事を企んでいたことを信じられないようで苦悶の表情を浮かべて日比谷を見つめている。
一方の神奈も調伏刀についた汚れを払いながら、ゆっくりと日比谷へと近づいていく。射貫くような鋭いその瞳には、正宗同様に静かな怒りが込められていた。
「……まさか今回の首謀者が、貴方だったなんて」
神奈の呟きに、日比谷は裏の顔を隠そうともせず、ふと口元を緩めて「ああ、そうだよ」と笑った。
「俺の才能を帝都中に知らしめてやるため計画した。……すべては俺たちを無能者だと見下した愚か者たちに、この力を見せつけるためにな!」」
その顔には、以前技術部長の水無瀬正宗の後ろに隠れるように佇んでいた、気弱な様子は一切ない。日比谷の後ろには、神奈たちと同じ東雲の隊服を身に纏う隊員たちが数名いた。彼らも日比谷と同じように、威嚇するような目で見つめてくる。
「力を認められたいというのなら、上層部にその能力を示せばよかったはずだ」
「禁術に手を出した呪符など、上に報告すればもみ消されるに決まってる。誰にも邪魔されずに、ことを遂行し俺の力を示すには、俺が作った呪符で操る魔鬼を使って、帝都中を恐怖に陥れた方が分かりやすいでしょう?」
上司の苦言に、部下らしい口調でそう告げた日比谷。にこやかな笑みを浮かべる彼に、いくら説いてもムダなような気がした。ねじが一本飛んでしまったような思考に、神奈は一片の同情もできなかった。
「このような組織や帝都への反逆は重罪だ。速やかに武器を下して投降しろ」
刀を構え、臨戦態勢の退魔師たちが周囲を取り囲む中、正宗が日比谷たちに投降を促す。だが、そんなものに屈するつもりはないと言わんばかりに、ククッと笑みを零した日比谷。




